底本
Terence. Publii Terentii Comoediae Sex. Parry, Edward St. John, editor. London: Whittaker and Co.; George Bell, 1857.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
Humanitext がクローン・再構成し、継続的に更新しています。
要旨
本作は、アテナイを舞台に二人の若者の複雑な恋愛と結婚の騒動を描いた古代ローマの喜劇です。厳しい父親たちが旅に出ている間に、息子のアンティポは貧しい孤女と結婚し、もう一人の息子パイドリアは竪琴弾きの少女に恋をします。父親たちが帰国して激怒すると、機知に富んだ食客であるポルミオが若者たちを助けるために立ち上がり、奇策を講じて父親たちから金を騙し取ろうとします。物語の後半、アンティポの妻が実は父親の一人であるクレメスの隠し子であることが判明し、事態は急展開を迎えます。ポルミオはこの秘密を武器に父親たちの抵抗を退け、最後には妻に秘密を暴露された父親たちが屈服することで、若者たちの恋はすべて叶い、大団円を迎えます。
目次
20 チャンク
引用方式:line
- §cast-subject_1
登場人物一覧と二人の老兄弟の家族背景
劇の登場人物の一覧と、二人の老兄弟クレメースとデミポーの複雑な家族関係、および彼らが旅に出た間に若者たちの教育が奴隷のゲタに委ねられた背景を描く導入部。
- §subject_2
若者二人の恋の苦難とアンティポーの結婚
パイドリアは竪琴弾きの少女と恋に落ちるが、一文なしのために絶望する。一方、アンティポーは親を捜しにアテナイへやってきた孤児のパニウムと出会い一目惚れし、居候ポルミオの策を用いてアテナイの法律を盾に彼女と結婚することに成功するが、父親の帰国を恐れる。
- §subject_3
デミポーの帰国とポルミオの策略による大団円
デミポーの帰国に伴い、ゲタとポルミオはパイドリアの資金調達のために新たな計画を立てるが、クレメースの娘の発見とポルミオによる秘密の暴露によって事態は急展開する。最終的に、ポルミオの機転によって若者たちの望みは叶い、老人たちは和解を余儀なくされる。
- §production-69b
制作記録と序幕、ダヴスとゲタの対話
本作の制作・上演情報が示された後、プロローグにおいて対抗者である老詩人の批判に対する反論と劇の導入がなされ、第1幕では奴隷ダヴスとゲタの対話を通じて主人たちの不在と最近の旅の経緯が語られ始める。
- §70-143
不在中の若者たちの恋と結婚を語るゲタ
ゲタは二人の若者の現状をダヴスに説明する。パイドリアが竪琴弾きの少女に恋したこと、そしてアンティポが貧しい孤女と恋に落ち、食客ポルミオの策謀によって結婚するに至った経緯を語る。
- §144-199
若者たちの苦悩と父の帰還を知らせるゲタ
ダヴスとゲタが去った後、恋と結婚の悩みを語り合うアンティポとパイドリアの前に、ゲタが父親の帰還という衝撃的な知らせを携えて急ぎ走ってくる。
- §199b-257c
アンティポの逃走と激怒するデミポの帰還
ゲタからデミポの帰港を聞いたアンティポは、動揺のあまりパニウムへの愛を語りながらその場から逃げ去る。その後、戻ってきたデミポが息子の無断結婚に激怒しながら登場し、パイドリアとゲタは彼をなだめるべく対面する。
- §258-326
デミポの頑迷と食客ポルミオの登場
デミポはパイドリアとゲタによる説得を拒み、証人を得るべく家と広場へ向かう。その後、ゲタの呼びかけに応じて食客ポルミオが登場し、デミポの怒りをすべて自分に引き受けてアンティポを救うための策略を練る。
- §327-391
ポルミオによるデミポへの挑発と親族の名
ポルミオは自らの寄食者としての生き方の不敵さを語りつつ、怒るデミポを待ち受ける。デミポが来ると、彼は親戚の娘を見捨てたデミポの強欲さを非難する芝居を打ち、親戚の父親の名を問われると、ゲタの助けを借りて「スティルポ」と答える。
- §392-459
デミポの金銭提示の拒絶と三人の助言者の不一致
ポルミオとデミポは親戚を巡る法的な義務について口論を続け、デミポが妥協案として金を提示するもポルミオは一蹴する。デミポは助言を求めて三人の法律家に相談するが、三者の意見は割れ、デミポはさらに深い混乱に陥る。
- §459b-515
アンティポの後悔とドリオに懇願するパイドリア
デミポは法律家たちの意見が割れたためさらに悩み、弟の帰国を待つことにする。一方、アンティポはゲタから状況を聞いて己の臆病さを深く悔やみ、パイドリアは恋人パンピラを売り払おうとする女衒のドリオを引き留めようと必死に懇願する。
- §515b-567
パイドリア救済のためのゲタの金策と計略
パイドリアがパンピラを失いかける絶望的な状況に、ゲタとアンティポが立ち上がります。ゲタは父親(デミポ)から金を騙し取る計画を思いつき、アンティポにはファニウムを慰めるよう促し、パイドリアを救うためにポルミオに助けを求めに向かいます。
- §568-636b
クレメスの帰国と老人たちを欺くゲタの策動
レムノス島から帰国したクレメスは、妻に知られることを恐れつつ、アテナイに到着したはずの隠し娘の状況を心配する。一方、ゲタはペイドリアのための資金調達のため、ポルミオと共謀してデミポとクレメスから金を騙し取る策略を仕掛け始める。
- §637-708
ポルミオの金銭要求とクレメスによる支払いの承諾
ゲタは、ポルミオが債務返済などのために多額の持参金を要求していると報告し、クレメスはその要求額を自分が支払うと提案する。これを聞いたアンティポは、妻を失うことになるとゲタに怒るが、ゲタは婚礼の準備期間を利用した時間稼ぎの計画を明かす。
- §709-761
ソプロナとの再会とクレメスによる娘の発見
ゲタがアンティポにファエリアへの吉報を伝えるよう促し、デミポとクレメスは持参金支払いのための契約とナウシストラタへの説明を急ぐ。その後、クレメスはレムノス島時代の乳母ソプロナと遭遇し、アンティポの妻ファニウムが自分の実の娘であることを知って歓喜する。
- §762-813d
クレメスの秘密保持とデミポの困惑
クレメスはパニウムが自分の実の娘であることを確信し、その事実を妻に隠そうとする。一方、事情を知らないデミポはナウシストラタを連れてきてパニウムを説得させようとするが、クレメスの不可解な態度とパニウムを「親戚」とする主張に混乱する。
- §814-866
クレメスによる告白とゲタの吉報
ナウシストラタが去った後、クレメスはデミポに、アンティポの妻が実は自分の娘(パニウム)であることを告げる。その後、アンティポとポルミオの前に興奮したゲタが現れ、クレメスが家の中で真実を確認したことを知らせる。
- §867-933b
アンティポの歓喜とポルミオの持参金要求
ゲタはアンティポに、彼の妻パニウムが実はクレメスの実の娘であったという衝撃の事実を知らせ、アンティポは歓喜して家の中へ入る。ポルミオは老人たちから金を騙し取る好機を見出し、デミポらに嘘の破談による損害賠償として持参金を要求する。
- §933c-1001
ポルミオの脅迫とナウシストラタの呼び出し
ポルミオはクレメスの隠し子の秘密を暴露すると脅して形勢を逆転させ、老人たちの必死の抵抗を排して、ついに彼の妻ナウシストラタを大声で呼び出す。
- §1001b-1055c
クレメスの重婚の暴露と大団円
ポルミオがナウシストラタにクレメスの重婚の事実を暴露し、彼女は夫を激しく非難して息子のパイドリアに全権を委ねることを決意し、ポルミオを晩餐に招いて劇が幕を閉じる。
