底本
Aeschyli Tragoediae. Sidgwick, Arthur, editor. Oxford: Clarendon Press, 1902.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0085.tlg005.1st1K-grc1
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 8 件を修正
AI校閲 2026-10-12:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Claude Opus 5.5 — 日本語訳 1 件を修正
AI校閲 2026-10-18:検出 Gemini 4 Argon/判定 Claude Opus 5.5 — 日本語訳の修正なし
反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 9 件・読者の報告(校訂者が修正) 7 件・表記の統一 5 件・校訂者 1 件
日本語訳を再翻訳したチャンク:1
最終更新:2026-10-12・変更履歴の一覧
要旨
本作は、トロイア戦争に勝利したギリシアの総大将アガメムノンの帰還と、彼を待ち受ける悲劇的な暗殺、そしてアトレウス家に代々引き継がれる血塗られた呪いの連鎖を描いた悲劇である。舞台はアルゴスの宮殿前で、コーラス(合唱隊)がこれまでの遠征の苦難や王の娘イピゲネイアの犠牲といった過去の惨劇を語る中、王の帰還を迎える。妻クリュタイムネストラ(Clytemnestra)は偽りの愛を誓って夫を大げさに歓迎し、神々の怒りを招くような紫の敷物を歩ませて宮殿へと誘う。一方、アガメムノンが連れ帰った捕虜であり予言者でもあるカッサンドラ(Cassandra)は、狂気の中で王の暗殺と自らの死、そして未来の復讐者オレステスの到来を予言する。最終的にアガメムノンは妻とその愛人アイギストスによって惨殺され、クリュタイムネストラはそれを自らの復讐の正当な完遂として誇る。劇は、コーラスが未来の復讐を予言し、緊張感が漂う中で新たな支配者たちによる支配が宣言されて幕を閉じる。
目次
17 チャンク
引用方式:line
- §1-110
物見の独白と長老たちの入場歌の始まり
トロイア陥落を告げる烽火を待つ物見の独白と、遠征の経緯や不吉な前兆を歌う長老たちの合唱(パロドス)の始まり。
- §111-235
カルカスの予言とイピゲネイアの犠牲
カルカスの不吉な預言とアルテミスの怒り、そしてアウリスでの出港不能に直面したアガメムノンが、苦渋の末に娘イピゲネイアを犠牲に捧げる決意を固め、執行する様子が描かれる。
- §236-325
トロイア陥落の報せと篝火のリレー
コーラスがイピゲネイア犠牲の最期とカルカスの予言の有効性を語り終えた後、登場したクリュタイムネストラはトロイアが陥落したことを告げ、それを知らせた遠大な篝火の伝達経路を詳しく描写する。
- §326-434
陥落後のトロイアとパリスへの天罰
クリュタイムネストラは、トロイア陥落後の勝者と敗者の対照的な運命を語り、さらにギリシア軍が神への罪を犯さず無事に帰還することを願う。これを受けてコーラスは、パリスの不義がもたらしたトロイアの破滅を、ゼウスの正義とヘレネの去った後のアガメムノンの虚しい嘆きとともに歌う。
- §435-535
戦死者の遺灰の帰還と使者による勝報
コラスは、戦死した兵士たちの灰の帰還とそれに伴う市民の不満、過度な名声の危険性を歌い、続いて到着した使者がアガメムノン王の帰還とトロイア滅亡の知らせを歓喜とともに告げる。
- §536-618
使者の苦難の回顧とクリュタイムネストラの忠貞宣言
使者は帰国できた喜びを合唱隊と語り合い、遠征中の過酷な労苦を回顧する。続いてクリュタイムネストラが登場し、己の不変の忠貞を宣言しながら、夫アガメムノンを熱烈に迎える準備を整えるよう促す。
- §619-723
船団を襲った嵐の報告とヘレネへの呪詛
メネラオスの安否を尋ねられた使者は、遠征帰途の船団を襲った凄惨な嵐の様子と、メネラオスが行方不明になったことを告げる。使者が立ち去った後、コーラスはヘレネの名に秘められた破滅の予兆と、彼女がトロイアにもたらした災厄を歌う。
- §724-840
獅子の比喩とアガメムノンの帰還
コーラスは、かつて家で飼われて惨劇をもたらしたライオンの比喩を用いてヘレネがイリオンに破滅をもたらしたことを歌い、傲慢がさらなる破滅を生む運命の法則を論じる。続いて、帰還したアガメムノンをコーラスが率直な言葉で迎え、アガメムノンは神々への感謝と人間関係の偽善について演説を始める。
- §841-927
クリュタイムネストラの歓待と紫の敷物の拒絶
アガメムノンはオデュッセウスを称え、民会で都の今後を論じることを誓って館に入ろうとする。クリュタイムネストラは留守中の心労を語って夫を大げさに歓迎し、紫の敷物の上を歩くよう促すが、アガメムノンは神の嫉妬を恐れてこれを拒む。
- §928-1032
紫の敷物を踏むアガメムノンと合唱隊の不安
アガメムノンはクリュタイムネストラの熱心な説得に屈し、神々の怒りを恐れつつも紫の敷物を踏んで館に入り、カッサンドラを迎え入れさせる。その直後、コーラス(合唱隊)は言い知れぬ不安と、過去の運命の不可逆性を歌う。
- §1033-1126
沈黙するカッサンドラと館への不吉な予言
クリュタイメストラはカッサンドラに馬車から降りて館に入るよう促すが、カッサンドラは沈黙を守る。その後、カッサンドラは狂気に満ちた予言を始め、アトレウス家の過去の惨劇とアガメムノンの不吉な未来をコーラスに語る。
- §1127-1220
アガメムノン殺害の幻視とカッサンドラの呪い
カッサンドラはアガメムノンの凄惨な謀殺の様子を幻視し、自身の非業の死を嘆くとともに、アポロンから受けた呪いとアトレウス家の血塗られた歴史をコーラスに明かす。
- §1221-1303
オレステスの復讐の予言とカッサンドラの覚悟
カッサンドラは、アガメムノンの不名誉な死と自らの死を予言し、未来の復讐者オレステスの到来を告げる。そして、宮殿の門をハデスの門に見立て、自らの運命を受け入れて宮殿へと進む。
- §1304-1390
アガメムノン殺害とクリュタイムネストラの告白
カッサンドラは予言の成就を目前にして、自らとアガメムノンの不条理な運命を嘆きつつ館へと入る。直後、館内からアガメムノンの断末魔の叫びが聞こえ、コーラスの長老たちが善後策を巡って激論を交わす中、王を殺害したクリュタイムネストラが血まみれの姿で現れ、自らの凄惨な復讐劇の全貌を誇らしげに語る。
- §1391-1486
クリュタイムネストラの正当化とコーラスの非難
クリュタイムネストラはアガメムノン殺害を正当化し、カッサンドラ共々彼らの死を狂喜して称える。これに対しコーラスは国を追われるべき大罪と非難し、一族の背後にあるタンタロス家の悪霊の呪いを嘆く。
- §1487-1596
一族の復讐の霊とアイギストスの登場
コーラスはアガメムノンの非道な死を嘆き、一族の呪いについて語るが、クリュタイムネストラはそれを自身の犯行ではなく家系の復讐の精によるものと主張する。そこへアイギストスが現れ、王権をめぐる父祖の凄惨な骨肉の争いと復讐の成就を宣言する。
- §1597-1673
アイギストスとコーラスの対立と支配の確立
アイギストスはアガメムノンの殺害を自らの正当な復讐として誇るが、コーラスはこれに強く反発し、オレステスによる報復を予告する。一触即発の事態に対し、クリュタイムネストラが介入して双方をなだめ、アイギストスと共に支配者として館を統治することを誓って劇は幕を閉じる。
