底本
Terence. Publii Terentii Comoediae Sex. Parry, Edward St. John, editor. London: Whittaker and Co.; George Bell, 1857.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
Humanitext がクローン・再構成し、継続的に更新しています。
要旨
本作は、対照的な教育方針を持つ二人の父親と、彼らに育てられた二人の兄弟をめぐる葛藤と和解を描いたローマ喜劇です。厳格な父親デメアは田舎で息子クテシポンを厳しく育て、その兄弟ミキオは都会で甥のエスキヌスを寛大に養育しました。物語は、エスキヌスが弟クテシポンの愛する琴弾き女を強奪したことから始まります。この奔放な行動は周囲に様々な誤解を与え、デメアを憤慨させますが、やがて品行方正と信じられていたクテシポンも放蕩に加担していたことが発覚します。最終的に誤解は解け、エスキヌスは身重の恋人との結婚を許されます。自身の教育方針を深く反省したデメアは、一転して極端な寛大さを演じることでミキオの放漫さを皮肉りつつ、最後には真の愛情と指導の重要性を示して劇を締めくくります。
目次
18 チャンク
引用方式:line
- §cast-subject_1
登場人物一覧とあらすじの導入
テレンティウスの喜劇『アデルポイ』の登場人物一覧と、教育方針の異なる二人の父親と彼らに育てられた二人の兄弟をめぐる劇の背景および導入部のあらすじ。
- §subject_2
劇全体の筋書と登場人物の和解
都会に来たデメアが息子たちの実態を知って激怒するが、紆余曲折の末に自身の頑なな態度を改めて全員が和解と幸福に至るまでのあらすじを解説している。
- §production-70
詩人の弁明とミキオによる教育方針の対比
テレンティウスの喜劇『兄弟』のプロローグで、他の喜劇からの借用とパトロンとの共同執筆の疑惑に反論した後、都市で寛大な生活を送る老人ミキオが登場し、厳しい兄弟デメアとの教育方針の対立を語る。
- §71-141
デメアの告発とミキオによる息子の擁護
ミキオが教育方針についての独白を終える頃、憤慨したデメアが登場し、エスキヌスの起こした暴力事件を告発する。ミキオは若者の過ちを大目に見て寛大に育てるべきだと抗弁し、それぞれ一人の息子に専念しようと提案する。
- §142-198
ミキオの独白とエスキヌスによるサニオへの威圧
ミキオはデメアとの対話の後、エスキヌスの放蕩について独白し、広場へと向かう。一方、エスキヌスはパルメノを引き連れ、ポン引きのサニオから連れ去った女の自由を強硬に主張し、サニオを威圧する。
- §199-258
シュルスとサニオの交渉とクテシポンの登場
サニオーはキプロス渡航を控えて妥協の道を探り、シュルスは十ミナでの和解を持ちかけて揺さぶりをかけます。サニオーは原価だけでも返してほしいと懇願し、そこに兄への深い感謝を捧げるクテシポンが登場します。
- §259-311
クテシポンの兄への感謝とゲタの激怒
クテシポンは兄エスキヌスの献身的な愛を深く称賛し、エスキヌスもまたクテシポンを力強く励ます。一方、ソストラタの家では娘の陣痛が始まり、絶望に駆られた奴隷のゲタがエスキヌスの裏切りを誤解して激怒しながら帰宅する。
- §312-366b
ゲタによるソストラタへの報告とデメアの嘆き
怒り狂うゲタは、エスキヌスが別の女性を連れ去ったという誤解をソストラタに伝える。一方、デメアはもう一人の息子クテシポンがその連れ去りに加担したと聞き、絶望してシュルスに接近する。
- §367-437
シュルスの嘘とデメアへのへつらい
シュルスがミキオの寛大な対応を報告してデメアを怒らせ、さらにクテシポンが兄を厳しく叱責したと偽って彼を喜ばせる。その後、デメアは自慢の教育方針を語るが、シュルスは台所の魚を口実にそれをあしらい、デメアはクテシポンを追って田舎へ向かう。
- §438-510
ヘギオーによるエスキヌスの悪行の告発
デメアは、旧友である誠実な市民ヘギオーから、息子エスキヌスが自由市民の娘を手ごめにして妊娠させた上に彼女を捨てようとしているという衝撃的な事実を知らされます。ヘギオーは彼らの家柄に相応しい道義的責任を果たすようデメアに強く要求します。
- §511-564
デメアの帰還とシルスによる狂言の嘘
デメアとヘギオーはそれぞれミキオを探しに立ち去る。田舎に行ったと思っていたデメアが予期せず戻ってきたため、クテシポは身を隠し、シルスはクテシポに殴られたという嘘をついてデメアを騙そうとする。
- §565-622
シルスの嘘の道案内とエスキヌスの苦悩
シルスはデメアを嘘の道案内で遠ざけ、その間に自分は飲食を楽しもうとする。一方、ミキオとヘギオーは誤解を解くために処女の母親の元へ向かい、エスキヌスは琴弾き女を巡る誤解から引き起こされた苦境に独り苦悩する。
- §623-684
ミキオによるエスキヌスの試練と許し
パンフィラの家へ釈明に行こうとするエスキヌスは養父ミキオに遭遇し、彼女が親戚の男に連れ去られるという作り話を聞かされて動揺し涙するが、すべてを知っていたミキオから愛と許しを与えられる。
- §685-745
ミキオによる婚姻の許可とデメアの憤慨
エスキヌスは自責の念に駆られながらも、養父ミキオから愛する女性との結婚を許されて感謝を捧げる。一方、ミキオを探して歩き回ったデメアが現れ、新たな市民の娘との醜聞を責め立てるが、ミキオは人生をサイコロに例えて冷静に事態を収拾しようとする。
- §746-817
クトゥシポンの放蕩の発覚と兄弟の激論
デメアはミキオの放漫な教育方針と、エスキヌスが琴女と同居することに激しく憤る。ミキオの家に入ったデメアは、もう一人の息子クトゥシポンもそこで放蕩していることを知り、激怒してミキオを問い詰めるが、ミキオは冷静に彼らの共有関係と今後の教育についての合理的な資産管理を説く。
- §818-881
ミキオの説得とデメアの改心の独白
ミキオは財産の配分や子供たちの自律的な性質を説き、デメアの怒りをなだめる。デメアは一旦彼の方針に従って陽気に振る舞うことに同意するが、その後の独白で、これまでの過度に厳格な自身の生き方を深く反省し、今後は寛大さと優しさを持って他者、特に息子たちに接することを決意する。
- §882-945b
デメアの過剰な親切とミキオへの再婚の強要
デメアは奴隷のシルスやゲタに愛想よく振る舞い始め、息子のエスキネスのために、ミキオの家と花嫁の家の壁を取り壊して合併させる。さらにデメアはミキオに、花嫁の母親である年老いた未亡人と結婚するよう強引に迫る。
- §945c-999c
デメアの要求と厳格さの真意の告白
デメアはミキオに寛大な要求を重ねて彼の譲歩の甘さを暴き、奴隷シルスの解放などを認めさせた後、これまでの厳格な教育方針の真意を説明して若者たちへの愛と良き指導の覚悟を示し、劇を完結させる。
