← テレンティウス

兄弟

§511-564

デメアの帰還とシルスによる狂言の嘘

デメアとヘギオーはそれぞれミキオを探しに立ち去る。田舎に行ったと思っていたデメアが予期せず戻ってきたため、クテシポは身を隠し、シルスはクテシポに殴られたという嘘をついてデメアを騙そうとする。

表示 ▾
表示
訳
訳の書体
AI ↗
← 前次 →
511

​Ibo ac requiram fratrem, ut in eum haec evomam.

デメア:行って弟を探し出し、この怒りをすべて奴にぶちまけてやろう。

​Bono animo fac sis,1 Sostrata; et istam, quod potes,

ヘギオー:ソストラタ、元気を出してください。そして彼女を、あなたにできる限り、

​Fac consolere. Ego Micionem, si apud forum est,

慰めてあげてください。私はミキオがもし広場にいるなら、

​Conveniam; atque ut res gesta est narrabo ordine.

彼に会い、事の顛末を順序立てて話しましょう。

515

​Si est facturus ut sit officium suum,

もし彼が自分の義務を果たすつもりがあるなら、

​Faciat: sin aliter de hac re est eius sententia,

そうさせるがよい。だが、もしこの件に対する彼の考えが異なるなら、

​Respondeat mihi; ut quid agam quamprimum sciam.

私に返答をいただきたい。そうすれば、私がどうすべきか一刻も早く分かるでしょう。

​Ain patrem hinc abisse rus?

クテシポ:父上がここから田舎へ行かれたというのは本当か?

​Iamdudum.

シルス:ずいぶん前に行かれました。

​Dic sodes.

クテシポ:頼むから、本当のことを言ってくれ。

​Apud villam est.

シルス:農場にいらっしゃいます。

​Nunc cum maxime operis aliquid facere credo.

今頃はちょうど何か仕事をなさっていることでしょう。

​Utinam quidem,

クテシポ:本当にそうであってほしい。

520

​Quod cum salute eius fiat,2 ita se defatigarit velim,

父上の健康を損なわない範囲で、それほどまでに疲れ果ててほしいものだ、

​Ut triduo hoc perpetuo prorsum e lecto nequeat surgere.

この丸三日間、ベッドからまったく起き上がれなくなるほどに。

​Ita fiat, et istoc si quid potis est rectius.

シルス:そうなりますように。それ以上に良いことがあれば、それもまた。

​Ita: nam hunc diem

クテシポ:そうだ。なぜなら、私はこの一日を、

​Misere nimis cupio, ut coepi, perpetuum in laetitia degere:

始めた時のように、このままずっと喜びの中で過ごすことを、ひどく熱望しているのだ。

​Et illud rus nulla alia causa tam male odi, nisi quia prope est:

それに、あの田舎がこれほどひどく嫌いなのは、近いという以外の理由はない。

525

​Quod si abesset longius,

もしあそこがもっと遠くにあれば、

​Prius nox oppressisset illic quam huc reverti posset iterum.

彼がここへ再び戻って来られるようになる前に、あちらで夜が更けていただろうに。

​Nunc ubi me illic non videbit iam huc recurret, sat scio.

今は、あちらで私に会えないと分かると、すぐにここへ走って戻ってくるだろう。よく分かっている。

​Rogitabit me ubi fuerim; quem ego hodie toto non vidi die.

彼は私にどこにいたのかと問い詰めるだろう。私は今日、一日中彼に会っていないのに。

​Quid dicam?

何と言えばいいのだ?

​Nihilne in mentem?

シルス:何も頭に浮かびませんか?

​Nunquam quicquam.

クテシポ:何一つ浮かばない。

​Tanto nequior.

シルス:それはいけませんね。

530

​Cliens, amicus, hospes, nemo est vobis?

保護民、友人、客など、どなたもいないのですか?

​Sunt: quid postea?

クテシポ:いる。それで、どうするのだ?

​Hisce opera ut data sit.3

シルス:彼らのために時間を費やしていた、とするのです。

​Quae non data sit? non potest fieri.

クテシポ:実際には費やしていないのにか?そんなことはできない。

​Potest.

シルス:できますとも。

​Interdiu: sed si hic pernocto, causae quid dicam, Syre?

クテシポ:昼間ならな。だが、もし私がここで夜を過ごしたら、シルス、どんな口実を言えばいいのだ?

​Vah, quam vellem etiam noctu amicis operam mos esset dari.

シルス:おや、夜でも友人たちのために尽くすのが習慣であればよかったのに、と思います。

​Quin tu otiosus es: ego illius sensum pulchre calleo.

いや、気楽にしていなさい。私はあの旦那の気性をよく心得ています。

535

​Quum fervit maxime tam placidum quam ovem reddo.

最も怒り狂っている時でも、羊のように大人しくさせて見せます。

​Quo modo?

クテシポ:どうやって?

​Laudarier te audit libenter: facio te apud illum Deum:

シルス:旦那はあなたの誉れを聞くのがお好きなのです。私は彼に、あなたが神のようだと話します。

​Virtutes narro.

あなたの美徳を語るのです。

​Meas?

クテシポ:私の美徳をか?

​Tuas: homini ilico lacrimae cadunt

シルス:あなたのですよ。するとすぐにあの人は、

​Quasi puero gaudio. Hem tibi autem.

子供のように喜びで涙をこぼすのです。おや、大変だ。

​Quidnam est?

クテシポ:一体何事だ?

​Lupus in fabula.

シルス:噂をすれば影です。

​Pater est?

クテシポ:父上か?

​Ipsus est.

シルス:ご本人です。

​Syre, quid agimus?

クテシポ:シルス、どうする?

​Fuge modo intro: ego videro.

シルス:とにかく中へ逃げてください。私がなんとかします。

540

​Si quid rogabit, nusquam tu me: audistin?

クテシポ:もし何か聞かれても、お前は私をどこでも見ていない、いいな?聞いたか?

​Potin ut desinas?

シルス:もう黙っていられませんか?

​Nae ego homo sum infelix: primum fratrem nusquam invenio gentium:

デメア:本当に私は不幸な男だ。まず弟は天下のどこを探しても見つからん。

​Praeterea autem dum illum quaero a villa mercenarium

そのうえ、彼を探している間に農場から来た雇い人に

​Vidi: is filium negat esse ruri: nec quid agam scio.

会ったが、そいつは息子が田舎にはいないと言う。どうすべきか分からない。

​Syre.

シルス。

​Quid est?

シルス:何でしょうか?

​Men quaerit?

クテシポ:私のことを探しているのか?

​Verum.

シルス:そうだ。

​Perii!

クテシポ:おしまいだ!

​Quin tu animo bono es.

シルス:気をしっかり持ってください。

545

​Quid hoc, malum, infelicitatis? nequeo satis decernere;

デメア:一体この不幸は何だ、ちくしょう?十分に判断がつかん。

​Nisi me credo huic esse natum rei, ferendis miseriis.

私はこのため、つまり不幸に耐えるために生まれてきたと信じるほかない。

​Primus sentio mala nostra; primus rescisco omnia;

私が最初に我が家の不幸に気づき、最初にすべてを知り、

​Primus porro obnuntio: aegre solus si quid fit fero.

さらに最初に悪い知らせを告げる。何かあると私一人が辛い思いをするのだ。

​Rideo hunc: primum ait se scire; is solus nescit omnia.

シルス:この人を笑ってやる。最初に自分が知っていると言うが、あの人だけが何も知らないのだ。

550

​Nunc redeo: si forte frater redierit viso.

デメア:今、戻ってきた。ひょっとして弟が帰っているか、見に行こう。

​Syre,

クテシポ:シルス、

​Obsecro vide ne ille huc prorsus se irruat.

お願いだから、父上が突然ここに踏み込んじまわないか見張ってくれ。

​Etiam taces?

シルス:まだ黙っていられないのですか?

​Ego cavebo.

私が気をつけておきます。

​Nunquam hercle hodie ego istuc committam tibi;

クテシポ:ヘラクレスにかけて、今日ばかりはそんなことお前任せにはできない。

​Nam me iam in cellam aliquam cum illa concludam: id tutissimum est.

私はすぐにあの娘と一緒にどこかの小部屋に閉じこもる。それが一番安全だ。

​Age, tamen ego hunc amovebo.

シルス:よし、それはともかく私はあの人を遠ざけよう。

​Sed eccum sceleratum Syrum.

デメア:だが、見ろ、極悪非道なシルスがそこにいる。

555

​Non hercle hic quidem durare quisquam, si sic fit, potest.

シルス:ヘラクレスにかけて、もしこんなことになったら、ここでは誰も耐えられません。

​Scire equidem volo quot mihi sint domini: quae haec est miseria?

私はいったい主人格が何人いるのか知りたいものです。何という惨めさでしょうか。

​Quid ille gannit? quid vult? quid ais bone vir? est frater domi?

デメア:あいつは何をごちゃごちゃ言っている?何が望みだ?おい、そこの善き人よ、何と言った?弟は家にいるか?

​Quid, malum, "Bone vir," mihi narras? Equidem perii.

シルス:ちくしょう、「善き人」などと私に言わないでください。私は本当に死にそうです。

​Quid tibi est?

デメア:どうしたのだ?

​Rogitas? Ctesipho me pugnis miserum et istam psaltriam

シルス:お聞きになるのですか?クテシポ様が、かわいそうな私とあの琴弾き女を、

560

​Usque occidit.

拳でさんざん殴り倒したのです。

​Hem, quid narras?

デメア:何だと、何を言うのだ?

​Hem! vide, ut discidit labrum.

シルス:ご覧ください!唇がこんなに裂けてしまいました。

​Quamobrem?

デメア:なぜそんなことを?

​Me impulsore4 hanc emtam esse ait.

シルス:あの娘を買ったのは私がそそのかしたからだ、とおっしゃるのです。

​Non tu eum rus hinc modo

デメア:お前、さっき彼をここから田舎へ

​Produxe aibas?

送り出したと言わなかったか?

​Factum: verum venit post insaniens:

シルス:送りました。しかし、その後、狂ったように戻ってこられたのです。

​Nihil pepercit. Non puduisse verberare hominem senem,

容赦など全くありませんでした。私が、さっき

​Quem ego modo puerum tantillum in manibus gestavi meis?

ほんのこれほどの子供だった頃、この腕に抱いて育てたというのに。

構文注4 件
  1. 512fac sis

    fac(facere の命令形)の後に接続法 sis(esse の二人称単数現在接続法)が ut を伴わず直接続く構文。「どうか…してくれ」という勧告や強い懇願を表す。直後の Fac consolere も同様に consolor の接続法 consolere を伴う同じ構文である。

  2. 520Quod cum salute eius fiat

    関係代名詞 quod(先行詞は先行する事柄全体)に接続法 fiat が続く制限節。「彼の健康と両立する限りにおいて」「健康を損なわない範囲で」という制限・条件のニュアンスを表す。

  3. 531ut data sit

    独立文における ut +接続法完了。「(…のために時間を)費やしたということにして」という、仮定や口実を提示する命令・提案の用法。

  4. 561bMe impulsore

    名詞 impulsore と人称代名詞の奪格 me からなる、現在分詞の欠如を補う「主語+補語」タイプの奪格独立用法。「私が唆した者として」「私に促されて」という意味になる。

翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)・修正履歴(2 件・最終 2026-09-21)
  • 2026-09-21 AI校閲 — 訳文 2 件
urn:cts:latinLit:phi0134.phi006.humanitext-lat2:511-564