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兄弟

§565-622

シルスの嘘の道案内とエスキヌスの苦悩

シルスはデメアを嘘の道案内で遠ざけ、その間に自分は飲食を楽しもうとする。一方、ミキオとヘギオーは誤解を解くために処女の母親の元へ向かい、エスキヌスは琴弾き女を巡る誤解から引き起こされた苦境に独り苦悩する。

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565

​Laudo, Ctesipho; patrissas:1 abi, virum te iudico.

デメア:よくやった、クテシポ。父親譲りだな。よし、お前を一人前の男と認めよう。

​Laudas? Nae ille continebit posthac si sapiet manus.

シルス:お褒めになるのですか?本当に、あの若旦那も賢ければ、今後はその手を控えなさるでしょう。

​Fortiter.

デメア:見事だった。

​Perquam! quia miseram mulierem, et me servulum​Qui referire non audebam, vicit: hui, perfortiter!

シルス:全くその通りで!何しろ、哀れな女と、打ち返す勇気もない奴隷の私を打ち負かしたのですから。おやまあ、実に見事な勇気です!

​Non potuit melius: idem quod ego sensit te esse huic rei caput.

デメア:これ以上のことはない。私と同様、お前がこの件の張本人だと気づいたのだ。

570

​Sed estne frater intus?

だが、弟は中にいるか?

​Non est.

シルス:おりません。

​Ubi illum quaeram cogito.

デメア:どこで奴を探したものかと思案している。

​Scio ubi sit; verum hodie nunquam monstrabo.

シルス:どこにいるか知っていますが、今日は絶対に教えませんよ。

​Hem, quid ais?

デメア:おい、何と言った?

​Ita.

シルス:その通りです。

​Diminuetur tibi quidem iam cerebrum.

デメア:お前の脳みそを今すぐ叩き出してやるぞ。

​At nomen nescio

シルス:ですが、その方の名前は知らないのです。

​Illius hominis; sed locum novi ubi sit.

でも、いらっしゃる場所は知っています。

​Dic ergo locum.

デメア:では、その場所を言え。

​Nostin porticum apud macellum hanc deorsum?

シルス:この下の方、市場のそばにある柱廊をご存じですか?

​Quidni noverim?

デメア:知らないはずがなかろう。

575

​Praeterito hac recta platea sursum: ubi eo veneris,

シルス:この通りをまっすぐ上へ通り過ぎてください。そこに着いたら、

​Clivus deorsum versus est: hac te praecipitato: postea

下り坂があります。そちらへ急いで下りてください。そのあと、

​Est ad hanc manum sacellum; ibi angiportum propter est.

こちら側に小さなお堂があります。そのすぐそばに路地があります。

​Quonam?

デメア:どの道だ?

​Illic ubi etiam caprificus magna est: nostin?

シルス:あそこですよ、大きな野いちじくの木があるところ。ご存じですか?

​Novi.

デメア:知っている。

​Hac pergito.

シルス:そちらへ進んでください。

​Id quidem angiportum non est pervium.

デメア:しかし、その路地は通り抜けできないぞ。

​Verum hercle. Vah,

シルス:ヘラクレスにかけて、本当ですね!おやまあ、

580

​Censen hominem me esse? erravi. In porticum rursum redi:

私もまともな人間だと思いますか?間違えました。柱廊までもう一度お戻りください。

​Sane hac multo propius ibis, et minor est erratio.

実はこちらから行く方がずっと近いですし、迷うことも少ないでしょう。

​Scin Cratini huius ditis aedes?

この金持ちのクラティヌスの家を知っていますか?

​Scio.

デメア:知っている。

​Ubi eas praeterieris

シルス:そこを通り過ぎたら、

​Ad sinistram hac recta platea: ubi ad Dianae veneris

この通りをまっすぐ左へ。ディアーナのお堂のところに来たら、

​Ito ad dextram: priusquam ad portam venias apud ipsum lacum

右へ行ってください。門に着く手前、貯水池のすぐそばに、

585

​Est pistrilla et exadversum fabrica: ibi est.

小さな製粉所があり、その向かいに作業場があります。そこにいらっしゃいます。

​Quid ibi facit?

デメア:そこで何をしているのだ?

​Lectulos in sole ilignis pedibus faciendos dedit.2

シルス:陽の当たる場所で、樫の木の脚のついた寝台をいくつか作らせているのです。

​Ubi potetis vos? Bene sane. Sed cesso ad eum pergere?

デメア:お前たちが酒を飲むためのだな?まさに結構なことだ。だが、私は何をぐずぐずして奴のところへ行かずにいるのだ?

​I sane. Ego te exercebo hodie ut dignus es, silicernium.3

シルス:どうぞお行きください。今日はあなたにふさわしく、たっぷり走り回らせてあげますよ、この棺桶に片足突っ込んだお年寄りめ。

​Aeschinus odiose cessat: prandium corrumpitur.

エスキヌスが嫌になるほど遅れている。昼食が台無しになってしまう。

590

​Ctesipho autem in amore est totus. Ego iam prospiciam mihi:

クテシポは恋に首ったけだし。私は今や自分のことを考えるとしよう。

​Nam iam adibo, atque unumquicquid quod quidem erit bellissimum

というのも、これから中へ入って、最も極上の食べ物を一つ一つ平らげ、

​Carpam; et cyathos sorbilans paulatim hunc producam diem.

酒を少しずつすすりながら、この一日を過ごすとするからな。

​Ego in hac re nihil reperio quamobrem lauder tantopere, Hegio:

ミキオ:ヘギオー、私はこの件でこれほど褒められる理由が何一つ見当たらない。

​Meum officium facio; quod peccatum a nobis ortum est corrigo:

私は自分の義務を果たしているだけだ。我々から生じた過ちを正しているのだ。

595

​Nisi si me in illo credidisti esse hominum numero qui ita putant,

それとも、自分から犯した不義について抗議されると、逆に自分が不義を働かれたと思い込み、

​Sibi fieri iniuriam ultro si quam fecere ipsi expostules,

挙句の果てに相手を非難するような、

​Et ultro accusant: id quia non est a me factum agis gratias?

あの一連の人間の一人だと私を思っていたのかね?私がそうしなかったからといって、感謝するのか?

​Ah, minime: nunquam te aliter atque es in animum induxi meum.

ヘギオー:あぁ、とんでもない。私はあなたのことを、実際と異なるように考えたことは一度もありません。

​Sed quaeso ut una mecum ad matrem virginis eas, Micio,

しかしミキオ、私と一緒にあの娘の母親のところへ行っていただき、

600

​Atque istaec eadem quae mihi dixti tute dicas mulieri;

あなたが私に言ってくれたのと全く同じことを、あなた自身から彼女に話していただきたいのです。

​Suspicionem hanc propter fratrem eius esse et illam psaltriam.

つまり、あの疑いは彼の弟とあの琴弾き女のせいなのだ、と。

​Si ita aequum censes, aut si ita opus est facto, camus.

ミキオ:君がそうするのが適当だと思うか、あるいはそうする必要があるなら、行きましょう。

​Bene facis;

ヘギオー:ありがたい。

​Nam et illi animum iam relevabis, quae dolore ac miseria

悲しみと苦しみで衰え果てている彼女の心も、これで和らぐでしょうし、

​Tabescit; et tuo officio fueris functus:4 sed si aliter putas,

あなたもご自身の義務を果たされたことになります。しかし、もし別の考えをお持ちなら、

605

​Egomet narrabo quae mihi dixti.

私自身が、あなたが私に話してくれたことを伝えます。

​Immo ego ibo.

ミキオ:いや、私が行こう。

​Bene facis.

ヘギオー:ありがたいことです。

​Omnes quibus res sunt minus secundae magis sunt nescio quomodo

不遇な境遇にある人々は皆、どういうわけか、

​Suspiciosi; ad contumeliam omnia accipiunt magis;

疑い深くなりやすいものです。何事もより侮辱と受け取りがちになります。

​Propter suam impotentiam se semper credunt negligi;

自分たちに力がないために、常に無視されていると思い込むのです。

​Quapropter te ipsum purgare ipsis coram placabilius est.

ですから、あなた自身が直接彼らの前で身の潔白を説明する方が、より相手をなだめることになるでしょう。

610

​Et recte et verum dicis.

ミキオ:全くその通り、正しいお言葉だ。

​Sequere me ergo hac intro.

ヘギオー:では、こちらから中へついてきてください。

​Maxime.

ミキオ:承知した。

​Discrucior animi:5

エスキヌス:心が引き裂かれそうだ。

​Hocine de improviso mali mihi obiici6

これほど大きな災難が不意に私に降りかかり、

​Tantum, ut neque quid de me faciam neque quid agam certum siet!

自分をどうすればいいのか、何をすればいいのか、一向に定まらないとは!

​Membra metu debilia sunt; animus timore

恐怖で手足はすくみ、不安で心は

615

​Obstipuit: pectore consistere nil consili

呆然とし、胸の中には何の良策も浮かばない。

​Quit. Vah! quomodo me ex hac expediam turba? Tanta nunc

ああ!どうすればこの混乱から抜け出せるだろう?今やこれほど大きな

​Suspicio de me incidit;

疑いが私に降りかかっているのだ。

​Neque ea immerito: Sostrata credit mihi me psaltriam hanc emisse.

それも無理からぬことだ。ソストラタは私がこの琴弾き女を買ったと信じている。

​Id anus mihi indicium fecit.

あの老婆がそれを私に知らせてくれたのだ。

620

​Nam ut hinc forte ea ad obstetricem erat missa, ubi eam vidi ilico

というのも、たまたま彼女がここから助産婦を呼びに送られた際、私は彼女を見るや否や

​Accedo, rogito Pamphila quid agat, iam partus adsiet;

近づいて、パンフィラはどうしているか、もうお産が近いのか、

​Eone obstetricem arcessat. Illa exclamat, "Abi, abi iam, Aeschine.

そのために助産婦を呼びに行くのか、と問い詰めたのだ。すると彼女は叫んだ。「あっちへ行って、もうあっちへ行ってよ、エスキヌス!」

構文注6 件
  1. 565patrissas

    ギリシア語の πατρίζω(父親の跡を追う、父親に似る)に由来する喜劇的かつ口語的な動詞。デメアがクテシポの乱暴な振る舞いを聞き、自分に似て頑固で勇ましいと肯定的に評価している皮肉な場面で使用されている。

  2. 586faciendos dedit

    動詞 do と動形容詞(gerundive)の組み合わせによる使役表現。「〜することを他者に委託する、〜させる」の意。ここでは「(樫の木の脚のついた)寝台を作らせるよう発注した」ことを示す。

  3. 588silicernium

    本来は「葬儀の宴」を意味し、転じて老人に向けた喜劇的な罵り言葉として「棺桶に片足突っ込んだ老人、死に損ない」を指す。シルスがデメアを体よく追い出した後に吐く捨て台詞である。

  4. 604fueris functus

    接続法完了(あるいは未来完了としての代替)。先行する未来形 relevabis と対をなし、相手の心を和らげるという未来の行為に対して「義務を果たし終えていることになる」という完了した状態を強調する。なお、functus(fungor)は奪格支配(officio)を取る。

  5. 611animi

    精神や心理的苦悶を表す語(ここでは discrucior)に伴う locative(地格・定位格)の古風な残存形式。「精神において、心において」引き裂かれるという内的苦悩を表現している。

  6. 612Hocine de improviso mali mihi obiici

    感嘆を表す「対格+不定詞」構文(accusative with infinitive of exclamation)。不意に大いなる災難(mali)が投げかけられた(obiici)ことに対するエスキヌスの強い衝撃と嘆きを表す。hoc についている -ne は非難や驚きを伴う疑問・感嘆の小辞。

翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)urn:cts:latinLit:phi0134.phi006.humanitext-lat2:565-622