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兄弟

§259-311

クテシポンの兄への感謝とゲタの激怒

クテシポンは兄エスキヌスの献身的な愛を深く称賛し、エスキヌスもまたクテシポンを力強く励ます。一方、ソストラタの家では娘の陣痛が始まり、絶望に駆られた奴隷のゲタがエスキヌスの裏切りを誤解して激怒しながら帰宅する。

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259

​Fratrem homini nemini esse primarum artium1 magis principem.

一流の素質において、これほど優れた兄を持つ者は、他には誰もいないということだ。

260

​O Ctesipho.

おお、クテシポン。

​O Syre, Aeschinus ubi est?

おお、シュルス、エスキヌスはどこだ?

​Ellum, te exspectat domi.

見ろ、あそこにいる。お前を家で待っているぞ。

​Hem.

おお。

​Quid est?

どうしたのだ?

​Quid sit? illius opera, Syre, nunc vivo: festivum caput,

どうしたのか、だと?シュルス、私は彼の尽力のおかげで、今こうして生きているのだ。愛すべき男よ、

​Qui omnia sibi post putavit esse prae meo commodo;

彼は私の利益に比べれば、自分にとってのすべてのことを二の次だと考えたのだ。

​Maledicta, famam, meum amorem, et peccatum in se transtulit:

(浴びせられる)悪口、悪評、私の恋愛、そして私の犯した罪を、彼は自分自身に引き受けたのだ。

​Nihil pote supra. Quidnam foris crepuit?

これ以上のことはあり得ない。外で何の音がしたのだ?

​Mane, mane: ipse exit foras.

待て、待て。彼自身が外に出てくるぞ。

265

​Ubi ille est sacrilegus?

あの不届き者はどこにいる?

​Men quaerit? numquidnam effert? Occidi:

私を探しているのか?何か持って出てくるのか?破滅だ。

​Nihil video.

何も持っていないな。

​Ehem, opportune; te ipsum quaero. Quid fit, Ctesipho?

おや、良いところに。お前自身を探していたのだ。調子はどうだ、クテシポン?

​In tuto est omnis res: omitte vero tristitiam tuam.

すべて万事うまくいっている。だから憂鬱な顔はもうやめろ。

​Ego illam hercle vero omitto qui quidem te habeam fratrem. O mi Aeschine,

ヘラクレスにかけて、本当にそれはやめるよ、君のような兄がいるのだからな。おお、私のエスキヌス、

​O mi germane; ah, vereor coram in os te laudare amplius,

おお、我が兄弟よ。ああ、面と向かってこれ以上君を称えるのは気が引けるよ、

270

​Ne id assentandi magis quam quo habeam gratum2 facere existimes.

それを私が、感謝しているからというよりは、お世辞でおもねるためにしていると、君が思わないようにね。

​Age inepte; quasi nunc non norimus nos inter nos, Ctesipho.

よせ、馬鹿な奴め。まるで私たちが互いのことを今さら知らないかのようだな、クテシポン。

​Hoc mihi dolet, nos paene sero scisse, et paene in eum locum​Redisse ut si omnes cuperent nihil tibi possent auxiliarier.

私を苦しめるのは、私たちがこれを知るのがあまりに遅すぎ、たとえ全員が望んだとしても、お前に何の助けも与えられないような境遇に、もう少しで陥りかけていたことだ。

​Pudebat.

恥ずかしかったのだ。

​Ah, stultitia est istaec, non pudor. Tam ob parvulam

ああ、それは愚かさであって、恥ではない。あんなに些細な

275

​Rem paene ex patria!3—Turpe dictu. Deos quaeso ut istaec prohibeant.

出来事のために、もう少しで祖国から逃げ出すところだったとは!――口にするのも忌わしい。神々がそのような事態を阻んでくださるよう祈るばかりだ。

​Peccavi.

私が悪かった。

​Quid ait tandem nobis Sannio?

ところで、サニオーは我々に何と言っている?

​Iam mitis est.

もうおとなしくなっています。

​Ego ad forum ibo ut hunc absolvam: tu intro ad illam, Ctesipho.

私は広場へ行って、この男への支払いを済ませよう。お前は家の中に入って彼女のところへ行け、クテシポン。

​Syre, insta.

シュルス、しっかり頼むぞ。

​Eamus; namque hic properat in Cyprum.

行きましょう。この男はキプロスへ急いでいるのですから。

​Ne tam quidem;

それほど急いでもいない。

​Quamvis etiam maneo otiosus hic.

いくらでも私はここで暇にして待つぞ。

​Reddetur; ne time.

返されます。心配なされるな。

280

​At ut omne reddat.

だが、必ず全額を返すようにしてくれよ。

​Omne reddet: tace modo, ac sequere hac.

全額返します。ただ黙って、こちらについて来てください。

​Sequor.

ついて行くよ。

​Heus, heus, Syre.

おい、おい、シュルス。

​Hem, quid est?

おや、何ですか?

​Obsecro hercle, hominem istum impurissimum​Quamprimum absolvitote; ne, si magis irritatus siet,

ヘラクレスにかけて頼む、あのこの上なく不潔な男への支払いをできるだけ早く済ませてくれ。彼がこれ以上怒らされて、

​Aliqua ad patrem hoc permanet, atque ego tum perpetuo perierim.

何らかの形でこのことが父の耳に漏れ伝われば、そのとき私は永久に破滅してしまう。

​Non fiet; bono animo es: tu cum illa te intus oblecta interim;

そんなことにはなりません。安心してください。あなたはその間、中で彼女と楽しんでいてください。

285

​Et lectulos iube sterni nobis, et parari caetera.

そして、私たちのために宴会の寝椅子を用意させ、他のものも準備させておいてください。

​Ego iam transacta re convertam me domum cum obsonio.

私は用事が済み次第、おかずを買い込んで、すぐに家へ戻ります。

​Ita quaeso: quando hoc bene successit, hilarem hunc sumamus diem.

そうしてくれ。これがうまく行ったのだから、今日は愉快な一日にしよう。

​Obsecro, mea nutrix, quid nunc fiet?

お願い、乳母よ、これからどうなるの?

​Quid fiat rogas?

どうなるか、とお聞きになるのですか?

​Recte edepol spero.

ポルックスにかけて、万事うまくいくと私は信じております。

​Modo dolores, mea tu, occipiunt primulum.

ただ、お嬢様、陣痛がちょうど始まったばかりでございます。

290

​Iam nunc times, quasi nunquam affueris, nunquam tute pepereris.

もう今から怖がっておいでですが、まるで以前に出産に立ち会ったことも、ご自身で産まれたこともないかのようですね。

​Miseram me, neminem habeo; solae sumus: Geta autem hic non adest;

悲しいかな、私には誰もいない。私たちは二人きり。それにゲタもここにいない。

​Nec quem ad obstetricem mittam; nec qui arcessat Aeschinum.

産婆のところに送るべき者もいなければ、エスキヌスを呼びに行く者もいない。

​Pol is quidem iam hic aderit; nam nunquam unum intermittit diem​Quin semper veniat.

ポルックスにかけて、あの方はすぐにでもここに来られますよ。というのも、一日たりとも欠かさず、必ず来られますから。

​Solus mearum miseriarum est remedium.

あの方だけが私の苦しみの救いなのだ。

295

​E re nata4 melius fieri haud potuit quam factum est hera;

事が起きてしまった以上は、奥様、これ以上うまくいくことはありませんでした。

​Quando vitium oblatum est; quod ad illum attinet potissimum

過ちが起きてしまったからには、それが他ならぬあの方に関わっているということは(不幸中の幸いでした)。

​Talem, tali genere atque animo, natum ex tanta familia.

あれほど立派で、家柄も気性も優れ、これほど名門の生まれである方に関わっているというのは。

​Ita pol est ut dicis: salvus nobis Deos quaeso ut siet.

ポルックスにかけて、あなたの言う通りだ。神々があの方を私たちのために無事でいさせてくださるよう祈るばかりだ。

​Nunc illud est quod si omnes omnia sua consilia conferant,​Atque huic malo salutem quaerant, auxili nihil afferant,

今や、たとえすべての者がすべての知恵を集めて、この災いに救いを求めたとしても、何一つ助けをもたらし得ない、

​Quod mihique heraeque filiaeque herili5 est. Vae misero mihi!

そのような状況が、私と、女主人と、主人の娘の上にあるのだ。ああ、悲しいかな!

​Tot res repente circumvallant, unde emergi non potest,

非常に多くの出来事が突然私を取り囲んでおり、そこから抜け出すことはできない。

​Vis, egestas, iniustitia, solitudo, infamia.

暴力、貧困、不義、孤独、悪評。

​Hocine saeclum? O scelera, O genera sacrilega, O hominem impium!

これが我々の生きる時代か?おお、数々の悪行よ、おお、不届きな一族よ、おお、不信心な男よ!

305

​Me miseram! quidnam est quod sic video timidum et properantem Getam?

ああ、情けない!なぜゲタがあんなに怯えて急いでいるのが見えるのだろう?

​Quem neque fides neque iusiurandum neque illum misericordia​Repressit neque reflexit, neque quod partus instabat prope,

信頼も誓いも、慈悲の心も、彼を押し留めることも思いとどまらせることもしなかった。また、出産が近づいているという事実も。

​Cui miserae indigne per vim vitium obtulerat.

その哀れな娘に対して、彼は暴力によって不当に過ちを犯したというのに!

​Non intelligo

彼が何を言っているのか、

​Satis quae loquatur.

よく分からないわ。

​Propius obsecro accedamus, Sostrata.

お願いです、もっと近くに寄りましょう、ソストラタ様。

​Ah,

ああ、

310

​Me miserum! vix sum compos animi; ita ardeo iracundia.

情けない!私はほとんど正気でいられない。これほど怒りで燃え盛っているのだから。

​Nihil est quod malim quam illam totam familiam mihi dari obviam,

あの家族全員にばったり出くわすこと以上に、私が望むことは何もない。

構文注5 件
  1. 259primarum artium

    「一流の、最高水準の」という意味の形容詞的機能を持つ「性質の属格」 (genitive of quality) で、ここでは "principem" を修飾、または文脈的に関係を限定しています。エスキヌスが人間的・道徳的資質において抜きん出ていることを強調しています。

  2. 270quo habeam gratum

    接続法 "habeam" を伴う関係代名詞の奪格 "quo"、または否認された理由を示す接続詞的な用法("non quo... sed..." 等と同様)で、「感謝を抱いているから(ということではなく)」という含みを持ちます。

  3. 275Rem paene ex patria!

    文脈上、動詞(逃げ出す、追放される等の意味の "fugere" や "exulare" の未完了過去、または歴史的不定詞)が省略されている、感嘆文的な構文です。

  4. 295E re nata

    「生じた事態からして」「現状においては」というラテン語の慣用的な前置詞句です。予想外の困難や悲劇が起きた後で、その限られた条件の中で最善を尽くすしかない状況を指します。

  5. 301mihique heraeque filiaeque herili

    関係代名詞 "quod"(§299の「状況」)の補足として、影響を受ける対象を表す「利害の与格」 (dative of interest) です。ここでは3つの名詞・形容詞句が等位接続詞 "-que" で結ばれています。

翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)urn:cts:latinLit:phi0134.phi006.humanitext-lat2:259-311