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兄弟

§882-945b

デメアの過剰な親切とミキオへの再婚の強要

デメアは奴隷のシルスやゲタに愛想よく振る舞い始め、息子のエスキネスのために、ミキオの家と花嫁の家の壁を取り壊して合併させる。さらにデメアはミキオに、花嫁の母親である年老いた未亡人と結婚するよう強引に迫る。

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882

​Si id fit dando atque obsequendo, non posteriores feram.

デメア:もしそれが、与えることや従うことによってなされるのなら、私は後れを取るつもりはない。

​Deerit. Id mea minime refert qui sum natu maximus.1

金は足りなくなるだろうが、最年長である私にはどうでもよいことだ。

​Heus, Demea, rogat frater ne abeas longius.

シルス:おい、デメアさん、旦那が、遠くへ行かないでくれと言っていますよ。

885

​Quis homo? O Syre noster salve: quid fit? quid agitur?

デメア:誰かね?おお、わがシルスよ、ごきげんよう!どうかね?調子は?

​Recte.

シルス:順調です。

​Optime est. Iam nunc haec tria primum addidi

デメア:(独り言)素晴らしい。今、私の本性に反して、まずこれら三つの言葉を付け加えたぞ。

​Praeter naturam: "O noster! quid fit? quid agitur?"

「わがシルス!どうかね?調子は?」とな。

​Servum haud illiberalem praebes te; et tibi

(シルスに)お前は実に立派な奴隷の態度を見せている。お前のために、

​Libens bene faxim.2

喜んで何か良いことをしてやりたいものだ。

​Gratiam habeo.

シルス:ありがとうございます。

​Atqui, Syre,

デメア:いや、シルスよ、

890

​Hoc verum est; et ipsa re experiere propediem.

これは本心だ。近いうちに身をもってそれを知るだろう。

​Hera, ego huc ad hos provisam quam mox virginem

ゲタ:(独り言)奥様、お嬢様をいつお迎えに来るか、こちらの様子を見に行きましょう。

​Arcessant: sed eccum Demeam. Salvus sies.

おや、デメア様だ。ごきげんよう。

​O, qui vocare?

デメア:おお、名前は何と言ったかね?

​Geta.

ゲタ:ゲタです。

​Geta, hominem maximi

デメア:ゲタよ、お前がこの上なく価値のある

​Preti te esse hodie animo iudicavi meo:

男だと、今日私は心の中で判断したのだ。

895

​Nam is mihi profecto est servus spectatus satis

というのも、主人のことを気にかける奴隷こそ、

​Cui dominus curae est, ita uti tibi sensi, Geta:

私にとって確かに十分に信頼できる奴隷なのだ。ゲタよ、お前がそうであると私は感じた。

​Et tibi ob eam rem, si quid usus venerit,

それゆえお前に対しても、何か機会があれば、

​Libens bene faxim. Meditor esse affabilis;

喜んで良いことをしてやろう。(独り言)愛想よくすることを練習しているのだ。

​Et bene procedit.

そして、実によくうまくいっている。

​Bonus es quum haec existimas.

ゲタ:そう思ってくださるとは、ご親切に。

900

​Paulatim plebem primulum facio meam.

デメア:(独り言)少しずつ、まずは庶民を私の味方に引き入れているぞ。

​Occidunt me quidem dum nimis sanctas nuptias

エスキヌス:(独り言)彼らはあまりにも厳格な結婚式をしようとして、私をいらいらさせる。

​Student facere: in apparando consumunt diem.

準備のために一日を費やしているのだ。

​Quid agitur, Aeschine?

デメア:どうしたね、エスキネス?

​Ehem, pater mi, tu hic eras?

エスキヌス:おや、父さん、ここにいらしたのですか?

​Tuus hercle vero et animo et natura pater,

デメア:そうだとも、心においても本性においても、本当にお前の父親だ。

905

​Qui te amat plus quam hosce oculos: sed cur non domum

この目よりもお前を愛している父親だ。だが、なぜ花嫁を家に

​Uxorem arcessis?

迎え入れないのだ?

​Cupio: verum hoc mihi morae est;

エスキヌス:そうしたいのですが、これが遅れている原因なのです。

​Tibicina, et Hymenaeum qui cantent.

笛の奏者や、婚礼歌を歌う人たちのせいで。

​Eho,

デメア:おい、

​Vin tu huic seni auscultare?

お前はこの老人の言うことを聞く気はあるか?

​Quid?

エスキヌス:何をですか?

​Missa haec face,

デメア:そんなものは放っておきなさい。

​Hymenaeum, turbas, lampadas, tibicinas;

婚礼歌も、人だかりも、松明も、笛の奏者たちもな。

910

​Atque hanc in horto maceriam iube dirui,

そして、庭にあるこの石壁を大急ぎで取り壊させなさい。

​Quantum potest; hac transfer; unam fac domum;

できる限り早く。そこから連れてくるのだ。家を一つにしなさい。

​Traduce et matrem et familiam omnem ad nos.

母親も、召使いたち全員も、私たちの家へ移らせるのだ。

​Placet,

エスキヌス:それはいいですね、

​Pater lepidissime.

最高に素敵なお父さん!

​Euge! iam lepidus vocor.3

デメア:(独り言)よし!もう「素敵(lepidus)」と呼ばれたぞ。

​Fratri aedes fient perviae: turbam domum

弟の家は通り抜けられるようになり、多くの人が押し寄せ、

915

​Adducet; sumtum admittet; multa. Quid mea?

出費がかさみ、いろいろなことが起きるだろう。それが私に何の関係がある?

​Ego lepidus ineo gratiam. Iube nunc iam

私は「素敵な人」として感謝されるのだ。今すぐ、

​Dinumeret illi Babylo viginti minas.

あのバビロに彼のために20ミナを支払うよう命じるがよい。

​Syre, cessas ire ac facere?

(シルスに)シルス、すぐに行ってやらないのか?

​Quid ago?

シルス:何をすればいいのですか?

​Dirue.

デメア:取り壊すのだ。

​Tu illas abi et traduce.

(エスキネスに)お前は行って、彼女たちを連れてきなさい。

​Di tibi, Demea,

エスキヌス:神々があなたに、デメアお父さん、

920

​Bene faciant quum te video nostrae familiae

恵みを与えてくださいますように、あなたが私たちの家族のために

​Tam ex animo factum velle.

これほど心から尽くしてくださるのを見て。

​Dignos arbitror.

デメア:お前たちはそうされるに値すると思っている。

​Quid ais tu?

エスキヌス:どうですか?

​Sic opinor.

デメア:そう思うよ。

​Multo rectius est

あの産婦を、病身のまま

​Quam illam puerperam nunc duci huc per viam

通りを通って連れてくるよりは、ずっとこちらのほうが

​Aegrotam.

いいだろう。

​Nihil enim vidi melius, mi pater.

エスキヌス:これ以上の名案は見たことがありません、お父さん。

925

​Sic soleo: sed eccum Micio egreditur foras.

デメア:私はいつもそうさ。おや、ミキオが外に出てくるぞ。

​Iubet frater? ubi is est? Tun iubes hoc, Demea?

ミキオ:兄さんが命じたと?彼はどこだ?お前がこれを命じたのか、デメア?

​Ego vero iubeo et in hac re et aliis omnibus

デメア:そうだとも、私はこのことにおいても、他のすべてのことにおいても命じるのだ。

​Quam maxime unam facere nos hanc familiam,

私たちの家族をできるだけ完全に一つにし、

​Colere, adiuvare, adiungere.

敬い、助け合い、結びつけることをな。

​Ita quaeso, pater.

エスキヌス:どうぞ、そうしてください、お父さん。

930

​Haud aliter censeo.

ミキオ:私も異存はない。

​Immo hercle ita nobis decet.

デメア:いや、まさにそれが私たちにふさわしいのだ。

​Primum huius uxoris est mater.

まず、この子の妻の母親がいる。

​Quid postea?

ミキオ:それがどうした?

​Proba et modesta.

デメア:立派で慎み深い女性だ。

​Ita aiunt.

ミキオ:そう言われているね。

​Natu grandior.

デメア:かなり高齢だ。

​Scio.

ミキオ:知っている。

​Parere iam diu haec per annos non potest;

デメア:彼女は年齢的にもうずっと前から子供を産むことはできない。

​Nec qui eam respiciat quisquam est: sola est.

また、彼女を気遣う者も誰もいない。孤独なのだ。

​Quam hic rem agit?

ミキオ:(独り言)こいつは何を企んでいるのだ?

935

​Hanc te aequum est ducere; et te operam ut fiat dare.

デメア:この人を、お前が妻に迎えるのが当然だ。そしてそれが実現するように努めるべきだ。

​Me ducere autem?

ミキオ:私が妻に迎えるだと?

​Te.

デメア:お前だ。

​Me?

ミキオ:私が?

​Te inquam.

デメア:お前だと言っているのだ。

​Ineptis.

ミキオ:馬鹿げている。

​Si tu sis homo,4

デメア:(エスキネスに)もしお前が一人の人間なら、

​Hic faciat.

こいつにそうさせるのだ。

​Mi pater.

エスキヌス:お父さん。

​Quid? tu autem huic, asine, auscultas?

ミキオ:何だと?お前まで、この間抜けの言うことを聞くのか?

​Nihil agis:

デメア:無駄な抵抗だ。

​Fieri aliter non potest.

他に方法はないのだ。

​Deliras.

ミキオ:正気か。

​Sine te exorem, mi pater.

エスキヌス:お願いですから、説得させてください、お父さん。

​Insanis: aufer.

ミキオ:お前たちはおかしいぞ。やめなさい。

​Age da veniam filio.

デメア:さあ、息子に免じて聞き入れてやりなさい。

​Satin sanus es? ego

ミキオ:お前は本当に正気か?私が、

940

​Novus maritus anno demum quinto et sexagesimo

​65歳にもなって、今さら

​Fiam, atque anum decrepitam ducam? Idne estis auctores mihi?

新郎になり、よぼよぼの老婆を娶るというのか?お前たちは私にそれを勧めているのか?

​Fac: promisi ego illis.

エスキヌス:お受けください。私が彼らに約束してしまったのです。

​Promisti autem? de te largitor, puer.

ミキオ:約束しただと?自分で気前よく分け与えるがよい、小僧め。

​Age; quid si quid te maius oret?

デメア:さあ。もしこの子がもっと大変なことを頼んだらどうする?

​Quasi non hoc sit maximum.

ミキオ:まるでこれが最大のことではないかのようだな。

​Da veniam.

デメア:聞き入れてやりなさい。

​Ne gravere.

エスキヌス:嫌がらないでください。

​Fac promitte.

デメア:約束してやりなさい。

​Non omittis?

ミキオ:しつこいぞ、やめないのか?

945

​Non, nisi te exorem.

エスキヌス:いいえ、あなたを説得するまではやめません。

​Vis est haec quidem.

ミキオ:これはもう脅迫だな。

構文注4 件
  1. 883qui sum natu maximus

    主格関係代名詞 qui の先行詞は、前文の id mea minime refert における所有形容詞 mea(私の)に内包されている一人称単数の意味上の主語「私」である。そのため、関係節内の動詞 sum が一人称単数になっている。

  2. 889bene faxim

    faxim は古風あるいは喜劇的な完了接続法(fecerim に相当)の一人称単数形。ここでは、親切な振る舞いをしたいという「話者の望み・意志(希求接続法)」を表している。

  3. 913biam lepidus vocor

    lepidus はテレンティウスなどの喜劇で好まれる形容詞で、「気の利いた、素敵な、洗練された」を意味する。厳格だったデメアが息子の望みを叶えたことで、一転して「最高のお父さん(pater lepidissime)」と褒めそやされたことを自嘲気味に、また作戦の成功を喜んで反芻している。

  4. 936fSi tu sis homo

    sis は接続法現在(仮定・条件)、faciat は主節の接続法現在(命令・意思)。「もしお前が一人の人間(一人前の男)であるなら、こいつ(ミキオ)にそうさせる(結婚させる)のだ」という促し。

翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)・修正履歴(1 件・最終 2026-09-22)
  • 2026-09-22 AI校閲 — 原文 1 件
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