底本
Terence. Publii Terentii Comoediae Sex. Parry, Edward St. John, editor. London: Whittaker and Co.; George Bell, 1857.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
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要旨
本作は、若き夫婦の結婚生活をめぐる誤解と、周囲の家族たちの葛藤を描いた古代ローマの喜劇である。青年パムピルスは元愛人の遊女バッキスを忘れられぬままピルーメナと結婚するが、旅に出ている間に妻は実家に帰り、人々は姑ソストラタとの不仲が原因だと疑う。帰国したパムピルスは、妻が実は結婚前に何者かに襲われ、他人の子を出産しようとしている秘密を知り、妻を愛しながらも葛藤の末に復縁を拒む。彼の父ラケースらは彼が未だバッキスに執着していると誤解し、身の潔白を立てさせるために彼女を呼び出す。そこでバッキスが差し出した指輪の来歴から、かつてピルーメナを襲った男が他ならぬパムピルス自身であったことが判明する。こうしてすべての誤解が解け、真実は当事者だけの秘密とされたまま、夫婦は幸福な復縁へと至る。
目次
17 チャンク
引用方式:line
- §cast-subject_1
登場人物一覧と物語の前半のあらすじ
テレンティウスの喜劇『義母』の登場人物一覧と、物語の前半部分のあらすじ。パムピルスとピルーメナの不遇な結婚から、パムピルスが旅立つまでの経緯が語られる。
- §subject_2-subject_3
後半のあらすじと作品の特徴
テレンティウスの劇『義母』の導入部解説で、第2幕から幕切れまでのプロットの展開と、劇の構成的・人物描写上の特異性について詳述されている。
- §production-67
上演の序幕とフィロティスとシラの会話
テレンティウスの劇『義母』の三度目の再演に際し、老俳優アンビウィウス・トゥルピオーがプロローグとして登場し、観客の妨害による過去の不遇を語りながら静粛な観劇を要請する。続く本編の冒頭では、遊女フィロティスと老娼婦シラが男たちの不実さを非難し、愛人を無慈悲に搾取すべきだと説く。
- §68-139
パルメノーが明かすパムピルスの結婚の内情
シラはピロティスに男への不信を説く。帰国したピロティスと出会ったパルメノーは、秘密を守る約束と引き換えに、パムピルスがバッキスへの愛と父親の圧力の間で葛藤した末に不本意な結婚をし、新妻に手を触れていないという事情を明かす。
- §140-208
パムピルスの心境の変化とラケースの怒り
パルメノーはピロティスに対し、パムピルスが不本意な結婚から妻の貞淑さに心を動かされていく過程と、妻の突然の里帰りに伴う新たな不和の始まりを語る。その後登場したラケースは、女性への不満を爆発させ、何も身に覚えのない妻ソストラタを激しく問い詰める。
- §208b-259
ソストラタへのラケースの叱責とフィディップスとの対峙
ラケースは妻ソストラタを、息子の結婚生活を破綻させたとして激しく非難するが、ソストラタは身に覚えがないと弁明する。そこへ嫁の父フィディップスが現れ、ラケースは彼に対しても毅然とした態度で状況の説明を求める。
- §260-309
ソストラタの嘆きと帰国したパムピルスの苦悩
フィディップスが、ピルメナはパンピルスの不在のために帰宅を拒んでいるのだと説明し、ラケースと共に去る。一人残されたソストラタが世間の姑への偏見を嘆く中、帰国したパンピルスが登場し、愛にまつわる自らの悲運と、母と妻の間の不和に苦悩する。
- §310-367
パムピルスの駆け込みとピルーメナの秘密の露見
帰還したパンピルスは、妻の急病の知らせと家の中からの叫び声を聞いて動揺しながら中に入る。後に残されたパルメノーとソストラタの対話の後、中から困惑し泣きながら出てきたパンピルスは、母を家の中へと送り出し、一人で驚愕の事実を発見したことを語り始める。
- §368-425
パムピルスの沈黙の誓約とパルメノーへの口実
パンピルスは急いで家に入り、妻ピルーメナが他人の子を出産しようとしている秘密を知る。妻の母から秘密の保持を懇願されて承諾した彼は、妻への愛を断ち切る決意をしつつ、秘密が漏れないよう奴隷のパルメノーを遠ざけるために航海の苦難を語って欺く。
- §426-486
パムピルスの苦悩と妻の引き取りの拒否
パンピルスはパルメノーを使いに出して遠ざけ、出産を隠すことと親への義務の間で苦悩する。その後、父ラーケースと義父フィディップスが現れると、パンピルスは母への義務を優先することを理由に、妻を引き取ることを拒む。
- §487-545
パムピルスの立ち去りと両親たちの口論
パンピルスは妻ピルーメナへの愛と葛藤を語りつつ、母への義務を優先して去る。残された父親たちは対立し、さらにピルーメナの母ミュッリナが登場して夫フィディップスと娘の出産やその隠蔽を巡って激しい言い争いとなる。
- §546-596
フィディップスの怒りとソストラタの退去の決意
フィディップスとミュッリナは、娘の出産の秘密や夫としての判断について議論し、夫は怒って子供を家から出すなと言い残して去る。ミュッリナは正体不明の男に娘が襲われた真相を隠す苦悩を吐露し、ソストラタは息子の夫婦関係のために都を去る決意を語るがパンピルスは引き止める。
- §597-655
男児出産の報せと妻の復帰を迫るラケース
ソストラタは田舎へ退く意思を固め、ラケースもそれに同意するが、パンピルスは葛藤を抱える。そこへ現れたフィディップスがピルーメナの男児出産を伝えたため、ラケースはパンピルスに妻を連れ戻すよう強く迫る。
- §656-721b
パムピルスの拒絶とバッキスの召喚決定
パンピルスは妻の心が離れたことを理由に復縁を拒むが、ラケースは彼が再び遊女バッキスに心を寄せていると誤解し、孫の養育を引き受けるとともにバッキスを呼び出すことを決める。
- §722-773
ラケースとバッキスの対面と潔白の誓約
フィディップスが乳母を探しに出かけた後、ラケースはパンピルスの元愛人であるバッキスと対面する。バッキスはパンピルスの結婚後は関係を断っていると厳粛に誓い、誤解を解くために妻たちの前で誓いを立てることを承諾する。
- §774-826
指輪の発見とバッキスによる真相の告白
バッキスは女性たちの誤解を解くため家に入ることを承諾し、パルメノーは徒労に終わった使いから帰る。ラケースは指輪の秘密が明らかになったことでパルメノーをパンピルスの元へ送り、バッキスは過去の出会いと指輪の来歴を語る。
- §827-880b
誤解の解消とパムピルスとバッキスの和解
バッキスの語りによって、かつてパンピルスが犯した女性がピルーメナであったこと、そしてその時の指輪が証拠となったことが判明する。喜びを隠せないパンピルスはバッキスに深く感謝し、パルメノーと共に真実を隠し通しながら、劇は終幕を迎える。
