底本
Plautus. Plauti Comoediae, Volume 1. Leo, Friedrich, editor. Berlin: Weidmann, 1895.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
Humanitext がクローン・再構成し、継続的に更新しています。
要旨
本作は、若き商人カリヌスと、その父親デミポーが、一人の美しい女性をめぐって引き起こすドタバタ劇を描いた古代ローマの喜劇です。交易先から帰国したカリヌスは、現地で購入した美しい奴隷少女パシコンプサを伴っていましたが、それを父親に知られることを恐れます。しかし、偶然彼女を目撃した父親のデミポーも彼女に一目惚れしてしまい、親子は互いに正体を隠したまま、彼女をめぐって買い取りの駆け引きを繰り広げます。デミポーは友人の協力を得て彼女を囲いますが、その結果、友人の家庭でも浮気疑惑の大騒動が巻き起こります。恋人を失ったと絶望し、国を去ろうとするカリヌスでしたが、友人の機転によって彼女の居場所が明らかになります。最終的に父親は自身の好色さを恥じて息子と和解し、若者たちの愛が守られて物語は幸福な結末を迎えます。
目次
16 チャンク
引用方式:line
- §1-79_80
カリヌスの口上と放蕩への父の叱責
カリヌスは観客に対して、本劇のギリシア原題とラテン語題名を明かし、かつて父から商業の修業のためにロードス島に送られ、そこで美しい女性と恋に落ちたものの、以前アテナイで娼婦に溺れて父から激しい非難と若き日の自身の辛苦の物語を浴びせられた過去を振り返る。
- §81-146
カリヌスの帰国と急報をもたらすアカンテュオ
カリヌスは父を宥めるためにロードス島へ交易に出て利益を上げ、美しい少女を買い取って帰国するが、港に彼女を残したまま、息を切らして走ってくる奴隷アカンテュオと遭遇する。カリヌスは凶報を予感し、息の上がったアカンテュオから事情を聞き出そうとするが、二人の間で噛み合わない口論が繰り広げられる。
- §147-207b
父の愛人発見の報告とカリヌスの絶望
アカンテュオはカリヌスを焦らした末に、彼の父親が船で恋人の女性を目撃し、彼女を撫でまわし始めたという衝撃の事実を伝える。カリヌスはそれを知って絶望に陥る。
- §208-276
デーピルスの奇妙な夢と女奴隷への恋心
カリヌスは父に恋人を見られたことで絶望し、父との遭遇を避けようとする。一方、登場した父親のデーピルスは、前夜の奇妙な夢を回想したのち、船で見た美しい女に一目惚れしたことを独白する。
- §277-348
リシマクスへの告白とカリヌスの苦悩
デミポーは農場への用事を奴隷に託して街に残り、隣人のリシマクスに自分が若い娘に恋をしたことを打ち明ける。一方、カリヌスは父親に恋人の存在が知られたことを嘆き、胸を痛める。
- §349-409
女奴隷の処遇を巡るデミポーとカリヌスの対話
カリヌスはロドスから連れてきた愛人の存在を父親にどう隠すか苦悩するが、そこへ父デミポーが現れる。デミポーは彼女が家事に不向きで、その美貌のせいで街の人々の嫌がらせを招くため我が家にはふさわしくないと主張し、カリヌスは焦りつつも話を合わせる。
- §410-466
女奴隷の買い手を巡る父子の競り合い
デミポーとカリヌスは、美しい女奴隷をめぐって、お互いに架空のバイヤーを口実にして購入費用を競り合う。最終的にデミポーが港で女を売却すると言い放ち、カリヌスはそれを密かに阻止するため港に向かうことを決意する。
- §467-523
エウテュクスの支援の約束と女奴隷の買い取り
カリヌスは絶望して死を口にするが、友人エウテュクスが彼の代わりに港で彼女を買い戻すことを約束し、彼を落ち着かせる。一方、リシマクスはデミポーのために女奴隷パシコンプサを買い入れ、彼女と今後の処遇について言葉を交わす。
- §523b-587
パシコンプサの処遇とデミポーの歓喜
リシマクスとパシコンプサの対話を通じて誤解が生じる一方、デミポーが恋人を手に入れた喜びを歌い、リシマクスと今後の密会計画や彼女を置く場所について議論する。
- §587b-645
パシコンプサの売却とカリヌスの亡命の決意
エウティクスを待つカリヌスは絶望的な状況にあり、戻ってきたエウティクスから恋人が他人に買い取られたことを知らされて絶望する。相手の容姿の手がかりをもとに、カリヌスは亡命を決意する。
- §646-712
カリヌスの出立とドリッパの帰宅
カリヌスはあちこちの亡命先を挙げてエウティクスの忠告を拒み、旅立ちの準備を進める。一方、デミポの妻ドリッパが田舎から戻り、家の中に娼婦がいることを知って絶望する。
- §713-784
デミポの弁明と料理人による暴露
デミポは妻のドリッパに対し、家にいる女性について言い訳を試みるが、言葉に窮する。そこへ彼が雇った料理人が現れ、デミポが先ほど言っていた妻への悪口や浮気相手への恋情を不用意に暴露してしまい、妻の怒りをさらに買うことになる。
- §785-855
ドリッパの父の召喚とエウティコスの吉報
夫リシマクスの浮気を疑うドリッパは父を呼びに戻る。一方、家を出て他国へ行こうとしていたカリヌスのもとに、友人エウティコスが幸運な知らせを持って現れる。
- §856-912
エウティコスによるカリヌスの引き留めと朗報
旅立とうとするカリヌスの前にエウティコスが現れて彼を引き留める。エウティコスは、カリヌスの愛する女性が自分の家にいることを告げ、カリヌスは喜びのあまり旅の装束を脱ぎ捨てる。
- §913-969
カリヌスの正気回復と父親たちへの報告
カリヌスはエウティコスに恋人のもとへ入るのを阻まれて妄想の旅に出るが、正気を取り戻して彼に従う。一方、父世代のデミポとリシマクスの前にエウティコスが現れ、リシマクスの妻の怒りが収まったことと、デミポの恋人がいなくなったことを告げる。
- §970-1026
デミポの悔悟と若者の恋愛を認める新たな法
デミポは自分の非を認めて息子カリヌスとの和解を望み、エウティコスとリシマクスに懇願する。最後にエウティコスが老人たちの好色を制限し若者の恋愛を保障する法を宣言して劇を締めくくる。
