エウリピデス · Euripides
ヘラクレスの子供たち
Children of Heracles
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底本
Euripides. Euripidis Fabulae, Vol. I. Murray, Gilbert, editor. Oxford: Clarendon Press, 1902.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
Humanitext がクローン・再構成し、継続的に更新しています。
要旨
本作は、大英雄ヘラクレスの死後、その子供たちが迫害の手から逃れるため、老イオラオスに率いられてアテナイに庇護を求める物語を描いたギリシア悲劇です。舞台はアテナイのマラトンにある神殿で、アルゴス王エウリュステウスの脅威に対抗し、アテナイの王デモポーンが彼らの保護を決意することから事態が動き出します。戦争を避けるための神託により、ヘラクレスの娘マカリアが自ら進んで生贄となる悲壮な決意を固める一方、老いたイオラオスは奇跡的な若返りを遂げて戦場へと赴き、敵将エウリュステウスを捕らえることに成功します。結末では、捕虜となったエウリュステウスの処遇を巡り、アテナイの法遵守とヘラクレスの母アルクメネの復讐心が対立し、妥協的な処刑によって幕が閉じられます。
目次
13 チャンク
引用方式:line
- §1-79
イオラオスの独白と使者コプレウスの襲来
イオラオスはヘラクレス亡き後、その子供たちを守りながら追放の日々を送り、アテナイのマラトンにある神殿に逃れたことを独白する。そこへエウリステウスの使者コプレウスが現れて強引に身柄を引き渡そうとし、イオラオスは抵抗してアテナイの長老たちに助けを求める。
- §80-162
デモポーンの登場とコプレウスの引き渡し要求
コプレウスはアテナイに乗り込み、ヘラクレスの子供たちを力ずくで引き渡そうとするが、コーラスに制止される。そこへアテナイの王デモポーンが到着し、コプレウスに素性と目的を問い正すと、コプレウスはアルゴスの強大な権勢を背景に、戦争を辞さない態度で引き渡しを要求する。
- §163-239
イオラオスの嘆願とデモポーンの庇護の誓約
コプレウスはアルゴスとの開戦の愚をデモポーンに説き、イオラオスは血縁と恩義を盾にアテナイへ保護を哀願する。デモポーンはこれを受け入れ、保護を約束する。
- §240-317
使者への拒絶とイオラオスの感謝
デモポーンは使者の脅しに屈せず、嘆願者たちを保護し戦いも辞さない姿勢を示す。使者が去った後、イオラオスはアテナイに深く感謝し、子供たちに将来アテナイへの恩義を忘れないよう諭す。
- §318-402
イオラオスの称賛とアルゴス軍への迎撃準備
イオラオスはデモポーンの家柄と義侠心を称え、アテナイのために祈る。一方、アルゴス軍の接近を聞いたコーラスが敵の傲慢さを歌い、デモポーンは十分な迎撃準備を整えたことを報告する。
- §401-479
処女犠牲の神託とマカリアの登場
デモポーンは、アテナイを救うためにはデメテルの娘(コレー)に貴い処女を犠牲として捧げねばならないという神託を伝えるが、自国から犠牲者を出すことは拒む。イオラオスは絶望し、身代わりに自分を引き渡すよう提案するが却下され、そこへイオラオスの嘆きを聞いたヘラクレスの娘(マカリア)が現れる。
- §480-559
身代わりの生贄を自ら志願するマカリア
マカリアは神託の内容を聞き、自ら進んで犠牲になることを申し出る。イオラオスは姉妹間のくじ引きを提案するが、彼女は自発的な死にこそ価値があるとしてこれを拒み、死への決意を貫く。
- §560-642
マカリアの出立とヒュロスの従者の到着
マカリアはイオラオスや兄弟たちに最後の別れを告げ、自ら進んで犠牲の祭壇へと向かう。残されたイオラオスが悲嘆に暮れる中、コーラスは運命の無常を歌い、そこへヒュロスの従者が吉報を携えて現れる。
- §643-717
アルクメネの歓喜とイオラオスの出陣決意
アルクメネはヒュロス到着の知らせに歓喜するが、老齢のイオラオスが自ら戦場へ赴くことを決意すると、従者やコーラス、アルクメネは必死になって彼を引き留めようとする。
- §718-807
イオラオスの出撃と若返り勝利の報告
イオラオスは従者から受け取った武具を身にまとい、若かりし頃の力を願いつつ戦場へと赴く。その後、コーラスが祖国とアテナへの祈りを捧げる中、戦場から使者が現れ、味方の勝利と、イオラオスが奇跡的に若返ったことをアルクメネに報告する。
- §808-888
戦闘の報告とエウリュステウスの捕縛
使者はアルクメネに対し、アテナイ軍とアルゴス軍の激しい戦闘の経過と、イオラオスが神々の恩寵によって若返り、敵将エウリュステウスを捕らえた奇跡を報告する。アルクメネはゼウスに感謝し、子供たちの解放を喜ぶとともに、エウリュステウスを生かして連行した意図を使者に問う。
- §889-975
連行されたエウリュステウスとアルクメネの断罪
アルクメネは生け捕りにされたエウリュステウスと対面し、かつての非道を糾弾して死罪を求める。しかし、アテナイの使者は戦闘中の捕虜を殺害することを禁じる国法を盾にそれを拒む。
- §976-1055
エウリュステウスの神託の開示と処刑の決定
アルクメネはエウリュステウスの処刑を強硬に主張するが、エウリュステウスは自らの行いを宿命として弁明しつつ、死後にポリスを守護するという神託を明かす。これを聞いたアルクメネは、遺体を遺族に返すことでポリスの不戦遵守と自身の復讐を両立させる妥協案を提示し、刑が執行される。
