底本
Euripides. Euripidis Fabulae, Vol. II. Murray, Gilbert, editor. Oxford: Clarendon Press, 1913. (Reprinted 1921-1962)
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0006.tlg008.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、テーバイとの戦いで敗死したアルゴス将兵の遺体回収と埋葬をめぐる葛藤を描いた悲劇である。エレウシースの神殿を舞台に、戦死者の母親たちがアテナイ王テーセウスの母アイトラに哀訴し、アルゴス王アドラストスもまたテーセウスに助力を求める。テーセウスは当初、無謀な戦争を起こしたアルゴス側を批判して拒絶するが、母アイトラの説得によって神聖な法と人道主義のために介入を決意する。テーバイの使者との民主政と僭主政をめぐる激しい政治的論争を経て、アテナイは武力行使によって遺体を取り戻すことに成功する。悲痛な葬儀の最中には、将軍カパネウスの妻エウアドネーが夫の火葬壇に身を投げるという悲劇も重なり、戦争の虚しさと悲惨さが強調される。最後には女神アテーナーが現れ、戦死者の遺灰を手にした子供たちに将来の復讐を促す誓約を結ばせ、深い哀悼の中で劇は幕を閉じる。
目次
14 チャンク
引用方式:line
- §1-95
アイトラへの嘆願とテーセウスの到着
アテナイ王テーセウスの母アイトラは、エレウシースの神殿で、テバイの地で倒れた戦死者の返還を求めて嘆願するアルゴスの白髪の母親たちと出会う。急報を聞いて駆けつけたテーセウスは、異様な哀哭の光景を目の当たりにして驚く。
- §96-177
テーセウスとアドラストスの対話
テーセウスが登場し、母アイトラから祭壇の前にいる嘆願者たちの事情を聴く。その後、アルゴスの王アドラストスから遠征の経緯と失敗について聞き、彼からの死者回収の嘆願を受ける。
- §178-258
アドラストスの救援要請とテーセウスの拒絶
アドラストスはアテナイのみが嘆願を受け入れられる正義の都市だと主張して支援を求めるが、テーセウスはアドラストスが神託を誤解し、若者の熱狂に流されて不義な戦争を起こした愚行を批判して拒絶し、アドラストスは判決を求めたのではないと弁明する。
- §259-338
アイトラによるテーセウスへの説得
アドラストスは共通の先祖を引き、哀訴する母たちはアイトラの膝にすがって、死した息子たちの埋葬を嘆願する。アイトラは息子テーセウスに対し、神々の正義とアテナイの名誉のためにこの哀訴を受け入れるよう熱心に説得する。
- §339-423
テーバイへの出兵決定と使者との政体論争
テーセウスはアイトラの説得を容れ、死者の埋葬を求めてテーバイへ武力行使を含む使節の派遣を決定する。そこへ到着したテーバイの使者との間で、民主政と僭主政の優劣をめぐる激しい論争が展開される。
- §424-503
テーセウスの民主制擁護とクレオーンの通告
テーセウスとテーバイの伝令は、民主制と僭主制の長短をめぐって論争を繰り広げ、テーセウスはアテナイの自由と法治の優位性を説く。一方、伝令はクレオーンの命令としてアドラストスの追放とアルゴス戦死者の埋葬拒否を突きつける。
- §504-582
死者の埋葬を巡るテーセウスと伝令の決裂
テーセウスとテーバイの伝令は、死者の埋葬を巡って激しく対立し、テーセウスはアテナイの独立とギリシアの共通法を主張して、力ずくでも遺体を引き取り埋葬する決意を示します。この対話は、両都市間の不可避な軍事衝突を予感させて幕を閉じますが、次の場面の要約もご覧になりますか?
- §583-676
テーセウスの出撃と使者による開戦の報告
テーセウスはアドラストスに留まるよう命じて、自ら軍を率いてテーバイへと進発する。その後、かつてカパネウスの従者であった使者が現れ、テーセウスの軍勢がテーバイ近郊で布陣し、平和的な遺体引き渡しの要求がクレオーンに拒絶されて戦闘が始まったことをコーラスに報告する。
- §677-761
アテナイの勝利と節度ある撤退の報告
アテナイ軍とテーバイ軍の激しい戦いの様子が使者によって描写され、テーセウスの活躍によりアテナイが勝利を収めたが、略奪を行わず撤退したことが報告される。これを聞いたコーラスは人間の愚かさと神々への依存について反省し、さらに死者たちの埋葬状況を尋ねる。
- §762-863
戦死者の遺体の帰還と哀悼およびその追悼の開始
アドラストスと使者はテーセウスが死者に施した慈悲深い扱いを語り合い、到着した遺体を見て母親たちとともに激しく嘆く。その後、テーセウスが登場し、死者たちがどのように勇敢であったかをアドラストスに尋ね、カパネウスの気高い人柄が語られ始める。
- §864-947
将軍たちへの追悼の演説と埋葬の取り決め
アドラストスは七人の将軍の残りの者たちの徳を称え、教育の重要性を強調し、アムピアラオスやポリュネイケースにも言及する。その後、テーセウスとアドラストスは遺体の処理方法について議論し、母親たちの安全のために彼らを変わり果てた遺体から遠ざけることで合意する。
- §948-1056
火葬壇への投身を決意するエウアドネーと父イピス
テーセウスは人間の戦争の虚しさと平和の重要性を説き、遺骨の収集を命じる。これに対し、夫カパネウスを失ったエウアドネーが絶望と狂気の中で岩壁の上に現れ、夫の火葬壇へと身を投げて追死することを決意し、それを引き止めようとする父イピスと対話する。
- §1057-1146
エウアドネーの殉死と戦死者の遺灰の帰還
エウアドネーが夫カパネウスの火葬壇に飛び降りて殉死し、遺された父イピスが絶望のあまり生きる気力を失う。その後、戦死した息子たちの遺灰が彼らの子供たちによって運ばれ、母親たちの前で哀悼の歌が交わされる。
- §1147-1234
アテーナーの顕現とアルゴスとの同盟の誓い
遺骨を手にした子供たちと祖母の哀悼が続く中、アテーナー女神が現れ、テーセウスに将来の復讐(エピゴノイの遠征)の誓約をアドラストスと交わすよう命じる。テーセウスは神意に従い、誓約を結んでアテナイを去る。
