- 底本
- Euripides. Euripidis Fabulae, Vol. II. Murray, Gilbert, editor. Oxford: Clarendon Press, 1913. (Reprinted 1921-1962)
- 翻訳
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- 言語
- 日本語 · English · 简体中文 · 한국어
- CTS URN
- urn:cts:greekLit:tlg0006.tlg008.humanitext-grc2:762-863
- 出力
- Humanitext Reader · reader.humanitext.ai · 2026-10-27
アドラストスと使者はテーセウスが死者に施した慈悲深い扱いを語り合い、到着した遺体を見て母親たちとともに激しく嘆く。その後、テーセウスが登場し、死者たちがどのように勇敢であったかをアドラストスに尋ね、カパネウスの気高い人柄が語られ始める。
ἦ που πικρῶς νιν θέραπες ἦγον ἐκ φόνου;
アドラストス:「きっと召使いたちが悲痛な面持ちで、彼らを戦場から運んできたのだな?」
οὐδεὶς ἐπέστη τῷδε δοῦλος ὢν πόνῳ.
使者:「奴隷でこの仕事に携わった者は一人もいませんでした。」
φαίης ἄν, εἰ παρῆσθʼ1 ὅτʼ ἠγάπα νεκρούς.
「もし彼が死者たちに慈しみを示していた時に居合わせられたなら、あなたもそう言われたでしょう。」
ἔνιψεν αὐτὸς τῶν ταλαιπώρων σφαγάς;
アドラストス:「彼自身が哀れな者たちの傷口を洗ったのか?」
κἄστρωσέ γʼ εὐνὰς κἀκάλυψε σώματα.
使者:「そして寝床を整え、その遺体を覆いました。」
δεινὸν μὲν ἦν βάσταγμα κᾀσχύνην ἔχον.
アドラストス:「それは恐ろしい重荷であり、恥辱を伴うものであったろうに。」
τί δʼ αἰσχρὸν ἀνθρώποισι τἀλλήλων κακά;
使者:「人間の間でお互いの不幸の何が恥ずべきことでしょう?」
οἴμοι· πόσῳ σφιν συνθανεῖν ἂν ἤθελον.
アドラストス:「ああ!どれほど彼らとともに死にたかったことか。」
ἄκραντʼ ὀδύρῃ ταῖσδέ τʼ ἐξάγεις δάκρυ.
使者:「あなたは無駄に嘆き、この女たちから涙を誘い出している。」
δοκῶ μέν, αὐταί γʼ εἰσὶν αἱ διδάσκαλοι.
アドラストス:「確かにそうだが、彼女たちこそがその教師なのだ。」
ἀλλʼ εἶἑν· αἴρω χεῖρʼ ἀπαντήσας νεκροῖς
「だが、よし。私は死者たちを迎えて手を上げ、
Ἅιδου τε μολπὰς ἐκχέω δακρυρρόους,
ハデースの涙に濡れた調べを注ぎ出そう、
φίλους προσαυδῶν, ὧν λελειμμένος τάλας
取り残された哀れな私を置き去りにした愛する者たちを呼びかけながら。
ἔρημα κλαίω· τοῦτο γὰρ μόνον βροτοῖς
孤独に泣く。これだけは、人間にとって
οὐκ ἔστι τἀνάλωμʼ ἀναλωθὲν λαβεῖν,
一度失われたら、取り戻すことのできない出費なのだ、
ψυχὴν βροτείαν· χρημάτων δʼ εἰσὶν πόροι.
すなわち人間の命は。だが財産なら調達する道がある。」
— τὰ μὲν εὖ, τὰ δὲ δυστυχῆ.
コーラス:「一方は幸い、他方は不幸せ。
πόλει μὲν εὐδοξία
都には良き名声と、
καὶ στρατηλάταις δορὸς
戦の将軍たちには
διπλάζεται τιμά·
二倍の誉れが与えられる。
ἐμοὶ δὲ παίδων μὲν εἰσιδεῖν μέλη
だが私にとっては、我が子の体を見ることは
πικρόν, καλὸν θέαμα δʼ, εἴπερ ὄψομαι,2
苦痛である。しかし、もしこれを見るならば美しき光景であろう、
τὰν ἄελπτον ἁμέραν
あの思いがけない日を
ἰδοῦσα, πάντων μέγιστον ἄλγος.
目にして、何よりも大きな苦痛を受けるとしても。」
— ἄγαμόν μʼ ἔτι δεῦρʼ ἀεὶ
コーラス:「これまでずっと、私を結婚させないままに
Χρόνος παλαιὸς πατὴρ
古き父なる『時』が
ὤφελʼ ἁμερᾶν κτίσαι.3
日々のうちに留めておいてくれたならよかったのに。
τί γάρ μʼ ἔδει παίδων;
なぜ私に子供が必要だったのか?
τὸ μὲν γὰρ ἤλπιζον ἂν πεπονθέναι
かつては、もし結婚から免れていたなら、
πάθος περισσόν, εἰ γάμων ἀπεζύγην,
過分な苦しみを被るだろうと思っていたが、
νῦν δʼ ὁρῶ σαφέστατον
今や私は極めて明白な
κακόν, τέκνων φιλτάτων στερεῖσα.
不幸を目にしている、愛する我が子らを奪われて。」
ἀλλὰ τάδʼ ἤδη σώματα λεύσσω
コーラス:「だが、見よ、今や逝った子らの
τῶν οἰχομένων παίδων· μελέα
遺体が見える。哀れな私は
πῶς ἂν ὀλοίμην σὺν τοῖσδε τέκνοις
いかにして、この子らとともに滅び、
κοινὸν ἐς Ἅιδην καταβᾶσα;
ともにハデースへと下っていけるだろうか。」
στεναγμόν, ὦ ματέρες,
アドラストス:「母親たちよ、地下の死者たちに向けて
τῶν κατὰ χθονὸς νεκρῶν
うめき声を上げ、
ἀύσατʼ ἀπύσατʼ ἀντίφωνʼ ἐμῶν
私のうめきに答えて、叫び声を響かせよ、
στεναγμάτων κλύουσαι.
これを聞きながら。」
— ὦ παῖδες, ὦ πικρὸν φίλων
コーラス:「おお、我が子らよ、愛する母たちを
προσηγόρημα ματέρων,
悲しく呼ぶ声よ、
προσαυδῶ σε τὸν θανόντα.
死せるお前を私は呼ぶ。」
ἰὼ ἰώ.
「イオー、イオー。」
τῶν γʼ ἐμῶν κακῶν ἐγώ.
アドラストス:「私自身の不幸のゆえに、私は叫ぶ。」
αἰαῖ.
コーラス:「アイアイ。」
ἐπάθομεν ὤ
アドラストス:「私たちは被った、おお、」
τὰ κύντατʼ ἄλγη κακῶν.
コーラス:「数ある不幸の中でも、最も無残な苦痛を。」
ὦ πόλις Ἀργεία, τὸν ἐμὸν πότμον οὐκ ἐσορᾶτε;
アドラストス:「アルゴスの都よ、お前たちは私の運命を見ないのか?」
— ὁρῶσι κἀμὲ τὰν τάλαι-
コーラス:「彼らは哀れな私をも見ている、
ναν, τέκνων ἄπαιδα.
子供を失った母親を。」
προσάγετε τῶν δυσπότμων
アドラストス:「運運んできなさい、あの不運な者たちの
σώμαθʼ αἱματοσταγῆ,
血のしたたる遺体を、
σφαγέντας οὐκ ἄξιʼ οὐδʼ ὑπʼ ἀξίων,
受けるに値せぬ、また値せぬ者たちによって殺され、
ἐν οἷς ἀγὼν ἐκράνθη.
そこで闘争が決着したその地から。」
— δόθʼ, ὡς περιπτυχαῖσι δὴ
コーラス:「私に抱かせておくれ、
χέρας προσαρμόσασʼ ἐμοῖς
我が腕に、
ἐν ἀγκῶσι τέκνα θῶμαι.
子供たちを乗せられるように。」
ἔχεις ἔχεις.
アドラストス:「お前は抱いている、抱いている。」
— πημάτων γʼ ἅλις βάρος.
コーラス:「この苦難の重さは、もう十分だ。」
αἰαῖ.
アドラストス:「アイアイ。」
τοῖς τεκοῦσι δʼ οὐ λέγεις;
コーラス:「生みの親たちに向かって言っているのではないのか?」
ἀίετέ μου.
アドラストス:「私の言うことをお聞きなさい。」
στένεις ἐπʼ ἀμφοῖν ἄχη.
コーラス:「あなたは双方の苦痛を嘆いている。」
εἴθε με Καδμείων ἔναρον στίχες ἐν κονίαισιν.
アドラストス:「カドメイオスたちの隊列が、塵の中で私を討ち取ってくれていたならよかったのに。」
— ἐμὸν δὲ μήποτʼ ἐζύγη
コーラス:「私の体も、決して夫の床に
δέμας ἐς ἀνδρὸς εὐνάν.
結ばれることがなかったなら。」
ἴδετε κακῶν πέλαγος, ὦ
アドラストス:「禍いの海を見よ、おお、
ματέρες τάλαιναι τέκνων.
子供を持つ哀れな母親たちよ。」
— κατὰ μὲν ὄνυξιν ἠλοκίσμεθʼ, ἀμφὶ δὲ
コーラス:「私たちは爪で引っかき傷をつけ、
σποδὸν κάρᾳ κεχύμεθα.
頭に灰をかぶっている。」
ἰὼ ἰώ μοί μοι·
アドラストス:「イオー、イオー、悲しいかな。」
κατά με πέδον γᾶς ἕλοι,
「大地の底が私を飲み込んでおくれ、
διὰ δὲ θύελλα σπάσαι,
嵐が私を真っ二つに引き裂き、
πυρός τε φλογμὸς ὁ Διὸς ἐν κάρᾳ πέσοι.
ゼウスの火の炎が頭上に落ちておくれ。」
— πικροὺς ἐσεῖδες γάμους,
コーラス:「お前は苦き婚礼を目にし、
πικρὰν δὲ Φοίβου φάτιν·
フォイボスの苦き神託を聞いた。
ἔρημά σʼ ἁ πολύστονος Οἰδιπόδα
多くの嘆きに満ちたオイディプースの家を
δώματα λιποῦσʼ ἦλθʼ Ἐρινύς.
離れて、復讐の女神がお前の元へやって来たのだ。」
μέλλων σʼ ἐρωτᾶν, ἡνίκʼ ἐξήντλεις στρατῷ
テーセウス:「お前が軍勢に向かって
γόους, ἀφήσω· τοὺς ἐκεῖ μὲν ἐκλιπὼν
嘆きを吐き出していた時、尋ねようとしていたのだが、それをやめよう。あそこでの話は避けておいて、
εἴασα μύθους, νῦν δʼ Ἄδραστον εἰσορῶ·
今はアドラストスを見る。お前たちに尋ねよう。
πόθεν ποθʼ οἵδε διαπρεπεῖς εὐψυχίᾳ
これらの人々は、一体どこからこれほど勇気において傑出した
θνητῶν ἔφυσαν; εἰπέ γʼ ὡς σοφώτερος
人間として生まれたのか?教えてくれ、お前はここの
νέοισιν ἀστῶν τῶνδʼ· ἐπιστήμων γὰρ εἶ.
若い市民たちよりも賢く、事情に通じているのだから。
εἶδον γὰρ αὐτῶν κρείσσονʼ ἢ λέξαι λόγῳ
彼らが、言葉で語り尽くせぬほど素晴らしい
τολμήμαθʼ, οἷς ἤλπιζον αἱρήσειν πόλιν.
大胆な試みを行い、それによって都を陥れようとしていたのを見たからだ。
ἓν δʼ οὐκ ἐρήσομαί σε, μὴ γέλωτʼ ὄφλω,
ただ一つ、嘲笑を買わぬために、尋ねるまい、
ὅτῳ ξυνέστη τῶνδʼ ἕκαστος ἐν μάχῃ
彼らの各々が戦いで誰と対峙したか、
ἢ τραῦμα λόγχης πολεμίων ἐδέξατο.
あるいは敵の槍からいかなる傷を受けたか、ということは。
κενοὶ γὰρ οὗτοι τῶν τʼ ἀκουόντων λόγοι
なぜなら、このような話は、聞く者にとっても、また、戦いの最中に身を置き、
καὶ τοῦ λέγοντος, ὅστις ἐν μάχῃ βεβὼς
目の前に雨あられと
λόγχης ἰούσης πρόσθεν ὀμμάτων πυκνῆς
槍が飛び交う中で、
σαφῶς ἀπήγγειλʼ4 ὅστις ἐστὶν ἁγαθός.
誰が勇敢に戦ったかを明確に報告できると言い張る語り手にとっても、無意味なものだからだ。
οὐκ ἂν δυναίμην οὔτʼ ἐρωτῆσαι τάδε
私はこのようなことを尋ねることもできなければ、
οὔτʼ αὖ πιθέσθαι τοῖσι τολμῶσιν λέγειν·
あえてそれを語ろうとする者たちの言葉を信じることもできない。
μόλις γὰρ ἄν τις αὐτὰ τἀναγκαῖʼ ὁρᾶν
なぜなら、敵と対峙して立っている者は、辛うじて
δύναιτʼ ἂν ἑστὼς πολεμίοις ἐναντίος.
己のなすべきことを見るのが精一杯だからだ。
ἄκουε δή νυν· καὶ γὰρ οὐκ ἄκοντί μοι
ではお聞きなさい。私としても、喜んで、
δίδως ἔπαινον ὧν ἔγωγε βούλομαι
私が心から真実を、そして正当に語りたいと望む
φίλων ἀληθῆ καὶ δίκαιʼ εἰπεῖν πέρι.
友らについて、あなたに称賛の機会を与えられたのだから。
ὁρᾷς τὸν ἁβρόν, οὗ βέλος διέπτατο;
あそこにいる、矢が貫いた優美な男が見えるか?
Καπανεὺς ὅδʼ ἐστίν· ᾧ βίος μὲν ἦν πολύς,
これがカパネウスだ。彼は多くの富を持っていたが、
ἥκιστα δʼ ὄλβῳ γαῦρος ἦν· φρόνημα δὲ
富を誇ることはいささかもなかった。そして彼の気位は
οὐδέν τι μεῖζον εἶχεν ἢ πένης ἀνήρ,
貧しい男に比していささかも大きいものではなかった。」
- 764φαίης ἄν, εἰ παρῆσθʼ
助動詞的機能を持つ ἄν を伴う希求法(潜在)と、直説法過去による仮定節の組み合わせ。文脈上、過去の事実とは異なる仮定「もしあの時あなたが居合わせていたならば、そのように言っただろう」という反実仮想の意味を表している。
- 783καλὸν θέαμα δʼ, εἴπερ ὄψομαι
この部分は前行の πικρόν と対比されており、ὄψομαι は未来直説法で「もし本当に目にするならば」という強い確信を伴う条件を示す。続く ἰδοῦσα(分詞)は ἐμοὶ に一致する。πάντων μέγιστον ἄλγος は文全体に対する同格として機能し、矛盾する感情(美しさと最大の苦痛)を強烈に示している。
- 788ὤφελʼ ... κτίσαι
動詞 ὀφείλω の過去形 ὤφελε(ν) と不定詞の組み合わせで、過去における実現不可能な願望(「〜であったならよかったのに」)を表す。ここでは「時」(Χρόνος) が主語であり、直訳すると「古き父なる時が、私を結婚させないままに留めておくべきであった」となる。
- 850ὅστις ἐν μάχῃ βεβὼς ... σαφῶς ἀπήγγειλʼ
関係代名詞 ὅστις が先行詞 τοῦ λέγοντος に係る。この関係節は一般的・仮定的な人物を指しており、「戦場に立ちながら、誰が勇敢であるかを明確に報告できるような(そんな語り手)」という意味合いを持つ。そのため、動詞はアオリスト直説法でありながら、文脈的には反事実的または不可能な仮定を含んでいる。
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)・修正履歴(1 件・最終 2026-09-30)
- 2026-09-30 表記の統一 — 注 1 件
