底本
Euripides. Fragmenta. Tragicorum Graecorum Fragmenta. Nauck, August, editor. Leipzig: Teubner, 1889.
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0006.tlg020.1st1K-grc1
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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日本語訳を再翻訳したチャンク:1
最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、古代ギリシア悲劇(主にエウリピデスの散逸した劇)から伝承された膨大な断片や格言を集めた作品群である。収録された断片は、富と貧困、老い、愛の力、運命の受容といった普遍的な倫理的・哲学的省察から、劇的な神話の場面まで多岐にわたる。前半では、アンドロメダの救出劇やアムピオンとゼトスの論争などが展開され、人間の限界や運命の不確実性が説かれる。中盤以降も、自国のために娘を犠牲にする母親の決意や、ファエトンの悲劇的な墜死といった、感情を揺さぶる劇的対話が描かれている。さらに、自然哲学的な死生観や神々の不条理な裁きに対する問いかけも繰り返される。全体を通じて、不条理な現実に直面する人間が抱く普遍的な知恵と葛藤が、鮮烈な詩句と対話によって描き出されている。
目次
35 チャンク
引用方式:fragment
- §1-42
出自や富と老いおよび運命をめぐる格言
出自、再婚、貧富、老い、沈黙と雄弁、そして運命の甘受といった道徳的かつ哲学的な主題を扱う、古代ギリシア悲劇の短い格言や対話の断片群。
- §43-81
奴隷の性質や悲哀と運命の逆転に関する断片
本チャンクには、エウリピデスの失われた悲劇からの断片群が収められており、奴隷の性質、高貴さと富、親殺しの悲劇、中傷の害、人間の限界や運命の逆転などに関する哲学的な省察や、劇的な対話の断片が含まれている。
- §82-124
道徳的教訓と岩に繋がれたアンドロメダの嘆き
親子の情愛や道徳、奴隷の性質、富の不条理に関する教訓的な断片に続き、海の怪物の生贄として鎖に繋がれたアンドロメダの悲痛な嘆きと、ペルセウスの飛来による救出の始まりが描かれます。
- §125-167
ペルセウスによるアンドロメダの発見と救出
ペルセウスによるアンドロメダの救出の対話、愛や幸運をめぐる様々な哲学的・倫理的発言、および他の悲劇断片を含んでいます。
- §168-204
アムピオンとゼトスの論争と人生の知恵
庶子の地位や説得の力などの普遍的真理に続き、ディオニュソスへの言及、そして実践的労働と芸術活動の対比をめぐるアムピオンとゼトスの著名な論争が展開され、知恵の優位性と人生の不確実性が説かれる。
- §205-240
真実と言葉の力および労苦による卓越性
このチャンクは、真実と言葉(雄弁さ)の不一致、自己の被る運命に対する受容、沈黙の価値、そして安逸を排して苦労(労働)によってのみ名声や卓越性が得られるという倫理的教訓などを描く劇の断片からなる。
- §241-281
自由と富貧および正義と情念に関する箴言
この断片群では、将軍としての高潔さや自由の尊さ、富と貧困の対比、僭主権の限界、正義(ディケー)の遍在、節度や怒りの抑制、エロースの偉大さなど、人生と道徳に関する多様な知恵や断章が語られます。
- §282-292
競技者の無益さと神々の正義についての省察
ギリシャ社会におけるアスリートの無益さ、生まれや境遇による幸福の比較、そして神の不在や僭主の繁栄といった理不尽な現実について論じ、計略の必要性や年長者の知恵、神々の倫理性を説く。
- §293-324
嫉妬と富の不確実さおよび家族と愛についての省察
この断片群では、嫉妬の性質、富や出自による幸運の不確実さ、老いる前に子供をもうけることの重要性や男女の役割の違い、そして愛や黄金が人間の心に及ぼす影響について多様な視点から語られている。
- §325-346
富と高貴さへの批判と貧しき賢者の価値
富と高貴さの関係、貧しくとも賢い者の価値、宇宙(アイテール)と人間の運命の不確実性、愛の抑えがたさと家族の絆の強さを語る詩片群。
- §347-361
祖国への愛と娘の犠牲を決意するプラクシテア
自国を侮り他国を称える者を非難する断片、アテナの守護を求める声、犠牲の正当性を説く断片、そしてアテナイの独立と名誉のために娘を生贄に捧げることを決意したプラクシテアの崇高な独白が描かれている。
- §362-382
父の処世訓とテセウスの綴りを解く謎
父から息子への実践的な処世訓に始まり、苦労の価値や慎みについての短い断片が続き、最後には文字を読めない者が「テセウス」の名前の綴りを視覚的に描写する有名な謎かけが提示される。
- §383-413
冥府の恐怖と愛や婚姻をめぐる処世訓
冥府の恐ろしい怪物による脅迫や、親への哀嘆が述べられた後、愛のあり方、富と婚姻の関係、女性の運命、そして人間の節度や秘密の保持といった様々な人生の知恵と格言が語られる。
- §414-448
富の無常とエロスの力および神々の裁き
高貴さと正義、富の無常、エロスの絶対的な支配力、傲慢と慎み、神々の不条理な裁きといった人間の運命に関する様々な道徳的・教訓的テーマが、悲劇の断片として語られる。
- §449-483
生への嘆きと死の解放およびクレータ人の純潔
誕生の苦難と死による解放についての嘆き、富や女性に対する洞察、そしてクレータの神秘宗教における純潔な生活様式が語られる。
- §484-495
天地創造の神話とテアノーの息子たちの最期
天地開闢の神話や正義・思慮深さに関する対話的断片に続き、使者がテアノーの息子たちとボイオートスたちの間で起きた悲劇的な戦闘と、息子たちの最期の様子を語る。
- §497-526
結婚と女性の徳およびオイネウスの神話
女性の徳、結婚のあり方、正義の偏在、運命の甘受などの倫理的テーマをめぐる格言的な断片群。後半では、カリュドンのオイネウス王やメレアグロスに関する神話劇の導入、および男女の役割や生まれの貴賎に関する議論が提示される。
- §527-563
徳と運命の格言およびカリュドンの猪狩り
美徳、富、結婚、運命の変転に関する様々な格言的断片が語られるとともに、カリュドンの猪狩りの勇壮な場面や、ディオメデスが父テュデウスの軌跡を振り返る場面が描写される。
- §564-595
人間の苦悩と宇宙の主宰者への賛歌
悪人の繁栄や子孫を持つことの苦悩、文字の発明、富への執着などの人間社会の諸相が論じられ、宇宙の主宰者や時間の永劫回帰に対する賛歌が歌われる。
- §596-639
人間の品性と生死および支配についての格言
生死や人間の品性、老境の知恵、そして僭主政治や民衆への権力集中に関する教訓的・哲学的な対話断片群。また、鳥の兆候から子供の生死を推測する場面なども含まれる。
- §640-678
富と貧困の対比および愛と人間の欲望
ギリシア悲劇の断片群(断片640-678)。富と貧困の対比、神々の寛大さへの疑義、女性への非難と擁護、人生の多様な欲望や愛(エロース)の性質、海の生活の現実などが語られる。
- §679-722
ヘラクレスの威厳とテレポスの弁論
この断片群は、不条理な運命や病を巡る対話、奴隷市で威厳を放つヘラクレスの描写、そして変装してギリシアの将軍たちの前で自らの正当性を主張するテレポスの弁論などを描いている。
- §723-771
祖国への献身と死の必然性および神話の伝承
このセクションには、祖国への義務、美徳、死の必然性といった人生の教訓に関する対話断片と、ヘラクレスの功業、神々の賛歌、太陽が昇る東方の国に関する叙述的な断片が収められている。
- §772-779
ファエトンの出立と太陽の戦車の出発
ファエトンが太陽神の宮殿へ赴く準備をし、婚礼の歌が歌われる中、メロプスらが登場する。後半では、太陽神の戦車を駆るファエトンへの指示と、彼が天空へ飛び立つ場面が描かれる。
- §781-791
ファエトンの死体の隠匿とメロプスによる発見
クリュメネはファエトンの死体を夫メロプスの金蔵に隠し、婚礼の合唱を背景に、王が不審な煙の立つ宝物庫へ立ち入り息子の遺体を発見して嘆く悲劇的結末が描かれ、それに続く教訓的な悲劇断片が収められている。
- §792-821
人間の強欲と老境および苦難に関する断片群
多様な悲劇断片群。悪性潰瘍の苦痛、満ち足りていても更なる利益を追う強欲さ、老年の結婚の弊害、子供への権力委譲の危険、生への強い執着、そしてカドモスの系譜と苦難に飼い慣らされる老境が述べられる。
- §822-863
夫婦の調和と本性および生死に関する断片群
このチャンクは、夫婦間の和和や継母への警戒、人間の本性と理性の葛藤、万物の母たる大地とエーテルへの自然哲学的な死生観、そして親への敬意など、様々な倫理的・神話的な主題を扱った悲劇の断片群を収めています。
- §864-907
愛と自然の摂理および知恵に関する断片群
人生、愛(エロスやアプロディテ)、自然の摂理、知恵と愚行などについて、道徳的・哲学的な省察や格言的な対話が展開される断片群。
- §908-930
育児の苦痛と妻の美徳および神話的知見の断片群
子供を持つことの苦悩、妻の美徳、学問の価値、神への祈りなど、人生や道徳に関する多様な知恵と、ラミアや蛇化する父親の神話的断片が語られる。
- §931-953
神としての自然と再婚を拒む娘の弁論
エーテルやガイアを神格化する自然哲学的な洞察、親子の和合を説く格言、そして結婚を強要する父親に対して誠実さと困窮する夫への愛を主張する娘の長い自己弁護の弁論が展開されています。
- §955-1005
逆境の処世訓と必然への服従に関する格言群
逆境における処世の知恵、必然への服従、神々の不可解な支配、言葉と沈黙の価値、正義の遅い歩みなど、人生や道徳に関する多様な哲学的格言・詩的断片が並びます。
- §1006-1048
人間の知性と母の愛および運命の不条理を説く格言群
人間の不完全さ、徳や知性の重要性、運命の不条理、そして祖国への愛や普遍的な知恵について語る様々な古典ギリシア詩の断片群。
- §1049-1067
正義の執行と若者の労苦および家庭の徳
ギリシア悲劇などの断片群(fr. 1049-1067)。不義の告発、身の丈に合わない争いの回避、労苦による若者の勇敢さの育成、妻の貞節や家庭のあり方に関する考察、父母への敬愛のあり方、高貴な生まれと徳の不変性、子の品性への信頼など、道徳的・格言的な言説が語られる。
- §1068-1109
運命の無常と老境の苦しみおよび神々の介入
失われた古典劇作品からの多様な断片。運命の不確実性、老境の苦しみ、肥沃なメッセニアの土地の描写、そしてアカイア人をヘクトルから救うためにアテナに加勢を促すヘラの一場面などが語られる。
- §1110-1132
神の性質をめぐる格言と劇『ダナエ』の冒頭
神の属性や快楽に関する短い断片群に続き、エウリピデス作とされる劇『ダナエ』の長い断片が始まる。ヘルメスがプロローグでアクリシオスの神託とダナエの幽閉、ゼウスの黄金の雨による妊娠について語り、続いて噂を不審がる合唱と怒りに燃えるアクリシオスが登場する。
