底本
Euripides. Euripidis Fabulae, Vol. I. Murray, Gilbert, editor. Oxford: Clarendon Press, 1902.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
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要旨
本作は、ホメロスの『オデュッセイア』に登場する隻眼の巨人キュクロプス(ポリュペモス)の物語を題材とした、古代ギリシア演劇において現存する唯一の完全なサテュロス劇です。舞台はエトナ山の麓で、シレノスとサテュロスの一行が巨人の奴隷として囚われているところへ、漂流したオデュッセウスとその部下たちが到着します。オデュッセウスは食料とワインの交易を試みますが、帰還した傲慢なキュクロプスは神々の掟を無視して部下たちを貪り食ってしまいます。窮地に陥ったオデュッセウスは、巨人を極上のワインで泥酔させ、その隙に熱した木棒で唯一の目を突き潰すという大胆な復讐計画を企てます。サテュロスたちの滑稽な言動や裏切りに翻弄されつつも、オデュッセウスは知略を用いて「誰でもない」という偽名で巨人を混乱させ、見事に脱出を果たします。最終的にオデュッセウスは本名を名乗り、解放されたサテュロスたちを連れて島を去ることで、劇は賑やかに幕を閉じます。
目次
8 チャンク
引用方式:line
- §1-102
シレノスの嘆きとオデュッセウスの漂着
サテュロス劇の導入部。シレノスが自身の境遇とキュクロプスの奴隷となった経緯を語り、サテュロスたちが歌い踊りながら登場する。そこへ漂着したオデュッセウス一行が現れ、対話が始まる。
- §103-186
シレノスとオデュッセウスのワインの取引
オデュッセウスとシレノスが出会い、互いの境遇について語り合う。シレノスは食物と引き換えにワインを要求し、試飲して歓喜したのち、主人を裏切って家畜やチーズを提供することを約束する。
- §187-268
キュクロプスの帰還とシレノスの嘘
シレノスはオデュッセウスたちに家畜を売ろうとするが、そこへキュクロプスが帰還し、シレノスは保身のために彼らが強盗に入ったと嘘をつく。
- §269-352
オデュッセウスの哀願とキュクロプスの脅迫
シレノスの嘘をコーラスが暴いたものの、キュクロプスはシレノスを信じてオデュッセウス一行に敵意を向ける。オデュッセウスは神々の掟や過去の恩義を訴えて哀願するが、キュクロプスは独自の神無き快楽主義を主張して彼らを食べることを宣言し、オデュッセウスはパラス・アテナに救いを求める。
- §353-440
部下の惨殺とオデュッセウスの脱出計画
オデュッセウスはゼウスにキュクロプスの蛮行を訴えたのち、洞窟から現れてサテュロスたちに部下が犠牲になった惨劇を報告する。そしてキュクロプスを酒で酔わせたことを明かし、彼らに脱出の計画を提案する。
- §441-538
キュクロプス目を潰す計略と泥酔
オデュッセウスがキュクロプスの目をオリーブの棒で突き潰す計略をサテュロスたちに明かし、彼らもその計略への参加を熱望する。その後、酔っ払ったキュクロプスが現れ、オデュッセウスと問答を交わしながらさらに酒を飲む。
- §539-624
キュクロプスの退場とオデュッセウスの祈り
シレノスは言葉巧みにキュクロプスに酒を飲ませて油断させ、酔いつぶれたキュクロプスはシレノスをガニュメデスと思い込み、無理やり洞窟へと連れ去ります。これを受けてオデュッセウスは仲間のサテュロスたちを鼓舞し、神々を呼び求めて復讐の最終準備にかかります。
- §625-709
キュクロプスの失明とオデュッセウスの脱出
オデュッセウスとサテュロスたちは、眠っているキュクロプスの目を熱い木棒で突き刺して焼き潰す。盲目となったキュクロプスは怒り狂い、オデュッセウス一行を捕らえようとするが、名前のトリックとコーラスのからかいによって翻弄される。最後にオデュッセウスは本名を明かし、サテュロスたちを伴って脱出を果たす。
