- 底本
- Euripides. Euripidis Fabulae, Vol. I. Murray, Gilbert, editor. Oxford: Clarendon Press, 1902.
- 翻訳
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- 言語
- 日本語 · English · 简体中文 · 한국어
- CTS URN
- urn:cts:greekLit:tlg0006.tlg001.humanitext-grc2:187-268
- 出力
- Humanitext Reader · reader.humanitext.ai · 2026-10-27
シレノスはオデュッセウスたちに家畜を売ろうとするが、そこへキュクロプスが帰還し、シレノスは保身のために彼らが強盗に入ったと嘘をつく。
φῦναι γυναικῶν ὤφελ’1 — εἰ μὴ’μοὶ μόνῳ.2
【コーラス】生まれてこなければよかったのだ。――私一人のため(に生まれるの)でなければ。
ἰδοὺ τάδ’ ὑμῖν ποιμένων βοσκήματα,
【シレノス】ほら、これがあなた方のための牧人の家畜、
ἄναξ Ὀδυσσεῦ, μηκάδων ἀρνῶν τροφαί,
オデュッセウス王よ、メーメー鳴く小羊の群れと、
πηκτοῦ γάλακτός τ’ οὐ σπάνια τυρεύματα.
固まった乳の、不足していないたくさんのチーズだ。
φέρεσθε· χωρεῖθ’ ὡς τάχιστ’ ἄντρων ἄπο,
これらを受け取りなさい。そして、洞窟から大急ぎで立ち去るのだ、
βότρυος ἐμοὶ πῶμ’ ἀντιδόντες εὐίου.
葡萄の、バッコスの甘美な飲み物をお返しに私にくれた上で。
—οἴμοι· Κύκλωψ ὅδ’ ἔρχεται· τί δράσομεν;
――おお、大変だ!キュクロプスがやって来るぞ。私たちはどうすればよいのだ?
ἀπολώλαμεν γάρ, ὦ γέρον· ποῖ χρὴ φυγεῖν;
【オデュッセウス】私たちは破滅だ、老爺よ。どこへ逃げるべきか。
ἔσω πέτρας τῆσδ’, οὗπερ ἂν λάθοιτέ γε.
【シレノス】この岩の内側へだ。そこなら、見つからずに隠れられるだろう。
δεινὸν τόδ’ εἶπας, ἀρκύων μολεῖν ἔσω.
【オデュッセウス】それは恐ろしいことを言う、罠の内側へ入れとは。
οὐ δεινόν· εἰσὶ καταφυγαὶ πολλαὶ πέτρας.
【シレノス】恐ろしくなどない。岩には多くの避難場所がある。
οὐ δῆτ’· ἐπεί τἂν μεγάλα γ’ ἡ Τροία στένοι,
【オデュッセウス】まさか。そんなことをすれば、トロイアが大いに嘆くだろう、
εἰ φευξόμεσθ’ ἕν’ ἄνδρα, μυρίον δ’ ὄχλον
もしたった一人の男から私たちが逃げるならば。私はあまたの
Φρυγῶν ὑπέστην πολλάκις σὺν ἀσπίδι.
フリュギア人の群衆を、盾を携えて何度も迎え撃ったのだ。
ἀλλ’, εἰ θανεῖν δεῖ, κατθανούμεθ’ εὐγενῶς,
だが、もし死なねばならぬなら、私たちは気高く死のう、
ἢ ζῶντες αἶνον τὸν πάρος συσσώσομεν.
あるいは生き延びて、これまでの名声をともに守り抜こう。
ἄνεχε· πάρεχε· τί τάδε· τίς ἡ ῥᾳθυμία;
【キュクロプス】道をあけろ!差し出せ!これは何事だ?この怠惰は何だ?
τί βακχιάζετ’; οὐχὶ Διόνυσος τάδε,
なぜバッコスのお祭り騒ぎをしている?ここにはディオニュソスはおらぬし、
οὐ κρόταλα χαλκοῦ τυμπάνων τ’ ἀράγματα.
青銅のカスタネットも、太鼓の鳴り響く音もない。
πῶς μοι κατ’ ἄντρα νεόγονα βλαστήματα;
洞窟の中の、生まれたばかりの仔らはどうなっている?
ἦ πρός γε μαστοῖς εἰσι χὑπὸ μητέρων
母たちの乳房に吸い付き、その
πλευρὰς τρέχουσι, σχοινίνοις τ’ ἐν τεύχεσιν
脇腹のところを走り回っているか?また、葦の器には
πλήρωμα τυρῶν ἐστιν ἐξημελγμένον;
搾り取られたチーズがいっぱいに満たされているか?
τί φατε; τί λέγετε; τάχα τις ὑμῶν τῷ ξύλῳ
何を言っているのだ?何を話している?すぐにでも、お前たちのうちの誰かが、棍棒によって
δάκρυα μεθήσει· βλέπετ’ ἄνω καὶ μὴ κάτω.
涙を流すことになるぞ。下を向かずに上を見ろ。
ἰδού, πρὸς αὐτὸν τὸν Δί’ ἀνακεκύφαμεν,
【シレノス】ほら、私たちはゼウス御自身に向けて顔を上げています。
καὶ τἄστρα καὶ τὸν Ὠρίωνα δέρκομαι.
星々も、オリオン座も、私は見つめています。
ἄριστόν ἐστιν εὖ παρεσκευασμένον;
【キュクロプス】食事はよく準備されているか?
πάρεστιν. ὁ φάρυγξ εὐτρεπὴς ἔστω μόνον.
【シレノス】用意できております。ただ、喉を準備なさってください。
ἦ καὶ γάλακτός εἰσι κρατῆρες πλέῳ;
【キュクロプス】乳の混ざり桶も満ちているか?
ὥστ’ ἐκπιεῖν γέ σ’, ἢν θέλῃς, ὅλον πίθον.
【シレノス】望まれるなら、大瓶丸ごと一本を飲み干せるほどです。
μήλειον ἢ βόειον ἢ μεμιγμένον;
【キュクロプス】羊の乳か、牛の乳か、あるいは混ぜたものか?
ὧν ἂν θέλῃς σύ, μὴ’μὲ καταπίῃς μόνον.
【シレノス】お望みのものをどれでも。ただ、私を飲み込まないでください。
ἥκιστ’· ἐπεί μ’ ἂν ἐν μέσῃ τῇ γαστέρι
【キュクロプス】まさか。そんなことをしたら、私の腹の真ん中で
πηδῶντες ἀπολέσαιτ’ ἂν3 ὑπὸ τῶν σχημάτων.
お前たちがバッコスの踊りで飛び跳ねて、私を殺してしまうだろうからな。
ἔα· τίν’ ὄχλον τόνδ’ ὁρῶ πρὸς αὐλίοις;
おや、畜舎のそばに見える、この群衆は誰だ?
λῃσταί τινες κατέσχον ἢ κλῶπες χθόνα;
海賊どもがこの土地を占拠したのか、それとも泥棒か?
ὁρῶ γέ τοι τούσδ’ ἄρνας ἐξ ἄντρων ἐμῶν
確かに、私の洞窟から連れ出されたこれらの仔羊たちが、
στρεπταῖς λύγοισι σῶμα συμπεπλεγμένους,
ねじった柳の枝で体を縛られているのが見えるし、
τεύχη τε τυρῶν συμμιγῆ, γέροντά τε
チーズの器が散乱し、老人が
πληγαῖς πρόσωπον φαλακρὸν ἐξῳδηκότα.
殴られて、禿げ頭の顔を腫らしているのが見える。
ὤμοι, πυρέσσω συγκεκομμένος τάλας.
【シレノス】ああ、痛い!私は打ちのめされて、熱が出そうです、哀れなことに。
ὑπὸ τοῦ; τίς ἐς σὸν κρᾶτ’ ἐπύκτευσεν, γέρον;
【キュクロプス】誰によってだ?誰がお前の頭を殴ったのだ、老爺よ。
ὑπὸ τῶνδε, Κύκλωψ, ὅτι τὰ σ’ οὐκ εἴων φέρειν.
【シレノス】こいつらです、キュクロプスよ。私があなたのものを奪わせまいとしたからです。
οὐκ ᾖσαν ὄντα θεόν με καὶ θεῶν ἄπο;
【キュクロプス】彼らは、私が神であり、神々の子孫であることを知らなかったのか?
ἔλεγον ἐγὼ τάδ’· οἳ δ’ ἐφόρουν τὰ χρήματα·
【シレノス】私はそう言ったのです!しかし彼らは財物を略奪し続け、
καὶ τόν γε τυρὸν οὐκ ἐῶντος ἤσθιον
私が禁じたにもかかわらず、チーズを食べ、
τούς τ’ ἄρνας ἐξεφοροῦντο· δήσαντες δὲ σὲ
仔羊たちを連れ出そうとしました。さらに、あなたを縛り上げ、
κλῳῷ τριπήχει, κᾆτα τὸν ὀφθαλμὸν μέσον
三ペキスの首枷につなぎ、その上で、あなたの真ん中の目を、
τὰ σπλάγχν’ ἔφασκον ἐξαμήσεσθαι βίᾳ,
あるいは内臓を力ずくでえぐり出してやると言い、
μάστιγί τ’ εὖ τὸ νῶτον ἀποθλίψειν σέθεν,
鞭でお前の背中をさんざん打ちのめしてやると言い、
κἄπειτα συνδήσαντες ἐς θἁδώλια
その後、縛り上げたまま、船の座席に
τῆς νηὸς ἐμβαλόντες ἀποδώσειν τινὶ
投げ込んで、誰かに売り払い、
πέτρους μοχλεύειν, ἢ’ς μυλῶνα καταβαλεῖν.
岩を動かさせたり、あるいは粉挽き小屋へ投げ込んで働かせると言ったのです。
ἄληθες; οὔκουν κοπίδας ὡς τάχιστ’ ἰὼν
【キュクロプス】本当か?では、一刻も早く行って、肉切包丁を
θήξεις μαχαίρας καὶ μέγαν φάκελον ξύλων
研ぎ、薪の大きな束を
ἐπιθεὶς ἀνάψεις; ὡς σφαγέντες αὐτίκα
載せて火をつけるのだ。そうすれば、すぐに屠られた彼らが
πλήσουσι νηδὺν τὴν ἐμὴν ἀπ’ ἄνθρακος
私の腹を満たすだろう。炭火から引き揚げた、
θερμὴν ἔδοντος δαῖτα τῷ κρεανόμῳ,4
熱々の肉を、肉を切り分ける私に食べさせるのだ。
τὰ δ’ ἐκ λέβητος ἑφθὰ καὶ τετηκότα.
あるいは、大釜から出された、煮て柔らかくなった肉をな。
ὡς ἔκπλεώς γε δαιτός εἰμ’ ὀρεσκόου·
私は山に住む獲物の肉にはもう飽き飽きしている。
ἅλις λεόντων ἐστί μοι θοινωμένῳ
ライオンを食らうのにも、
ἐλάφων τε, χρόνιος δ’ εἴμ’ ἀπ’ ἀνθρώπων βορᾶς.
鹿を食らうのにも、うんざりだ。人間の肉を食べてから、ずいぶんと久しぶりだからな。
τὰ καινά γ’ ἐκ τῶν ἠθάδων, ὦ δέσποτα,
【シレノス】主人よ、いつもと違う珍しいものは、
ἡδίον’ ἐστίν. οὐ γὰρ αὖ νεωστί γε
より美味しいものです。最近は、あなたの洞窟に
ἄλλοι πρὸς ἄντρα σοι ἐσαφίκοντο ξένοι.
他の異邦人がやって来ることはありませんでしたから。
Κύκλωψ, ἄκουσον ἐν μέρει καὶ τῶν ξένων.
【オデュッセウス】キュクロプスよ、今度は異邦人たちの言うことも聞きなさい。
ἡμεῖς βορᾶς χρῄζοντες ἐμπολὴν λαβεῖν
私たちは、食糧を買い求めようとして、
σῶν ἆσσον ἄντρων ἤλθομεν νεὼς ἄπο.
船から、あなたの洞窟の近くにやって来たのだ。
τοὺς δ’ ἄρνας ἡμῖν οὗτος ἀντ’ οἴνου σκύφου
そして、これらの仔羊を、この男が、ワインの杯と引き換えに
ἀπημπόλα τε κἀδίδου πιεῖν λαβὼν
私たちに売り、ワインを受け取って飲み、
ἑκὼν ἑκοῦσι, κοὐδὲν ἦν τούτων βίᾳ.
互いに合意の上でしたことであり、ここにはいかなる強制もなかった。
ἀλλ’ οὗτος ὑγιὲς οὐδὲν ὧν φησιν λέγει,
【シレノス】だが、こいつの言うことは何一つまともではありません。
ἐπεὶ κατελήφθη σοῦ λάθρᾳ πωλῶν τὰ σά.
あなたのものを、あなたに隠れて勝手に売っているところを私に捕まえられたからです。
ἐγώ; κακῶς γὰρ ἐξόλοι’.
【オデュッセウス】私がか?お前など、ひどい死に方をするがいい!
εἰ ψεύδομαι.
【シレノス】もし私が嘘をついているならな。
μὰ τὸν Ποσειδῶ τὸν τεκόντα σ’, ὦ Κύκλωψ,
【シレノス】ポセイドンにかけて、あなたを生んだ父よ、キュクロプスよ、
μὰ τὸν μέγαν Τρίτωνα καὶ τὸν Νηρέα,
偉大なトリトンとネレウスにかけて、
μὰ τὴν Καλυψὼ τάς τε Νηρέως κόρας,
カリュプソとネレウスの娘たちにかけて、
τά θ’ ἱερὰ κύματ’ ἰχθύων τε πᾶν γένος,
そして神聖な波と、あらゆる魚の種族にかけて、
ἀπώμοσ’, ὦ κάλλιστον ὦ Κυκλώπιον,
私は誓って否定します、ああ、最も麗しき愛しのキュクロプスよ、
ὦ δεσποτίσκε, μὴ τὰ σ’ ἐξοδᾶν ἐγὼ
愛するご主人様よ、私があなたの財産を
ξένοισι χρήματ’. ἢ κακῶς οὗτοι κακοὶ
異邦人たちに売り払ったりなどしていないことを。もしそうなら、この極悪非道な奴らが悲惨に死ぬように。
- 187φῦναι γυναικῶν ὤφελ’
ὤφελ(ε)(ὀφείλω の2アオリスト3人称単数、願望を導く語)に不定詞 φῦναι が伴い、実現しなかった過去の願望(「〜生まれてこなければよかったのに」)を表す。主語である γυναικῶν γένος は前行の文脈から引き継がれている。
- 187εἰ μὴ ’μοὶ μόνῳ
「私一人のためでなければ」という省略表現。εἰ μὴ ἐμοὶ μόνῳ [φῦναι ὤφελεν] のように補って解釈される。サテュロスたちの好色なキャラクター性を反映した皮肉な例外規定である。
- 221πηδῶντες ἀπολέσαιτ’ ἂν
分詞 πηδῶντες は、潜在の帰結節 ἀπολέσαιτ’ ἂν(希求法過去+ἄν)に対する条件節(「もし飛び跳ねるならば」)の役割を果たしている。
- 245ἔδοντος δαῖτα τῷ κρεανόμῳ
ἔδοντος は動詞 ἔδω(「食べる」)の現在分詞属格であり、直前の ἄνθρακος(「炭火」)に呼応する。与格 τῷ κρεανόμῳ(「肉を切り分ける者に」)は、キュクロプス自身を指し、行為の受益者を表す。
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)・修正履歴(1 件・最終 2026-09-21)
- 2026-09-21 AI校閲 — 訳文 1 件
