- 底本
- Euripides. Euripidis Fabulae, Vol. I. Murray, Gilbert, editor. Oxford: Clarendon Press, 1902.
- 翻訳
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- 言語
- 日本語 · English · 简体中文 · 한국어
- CTS URN
- urn:cts:greekLit:tlg0006.tlg001.humanitext-grc2:353-440
- 出力
- Humanitext Reader · reader.humanitext.ai · 2026-10-27
オデュッセウスはゼウスにキュクロプスの蛮行を訴えたのち、洞窟から現れてサテュロスたちに部下が犠牲になった惨劇を報告する。そしてキュクロプスを酒で酔わせたことを明かし、彼らに脱出の計画を提案する。
σύ τ’, ὦ φαεννῶν ἀστέρων οἰκῶν ἕδρας
そして、輝く星々の座に住まうあなた、
Ζεῦ ξένι’, ὅρα τάδ’· εἰ γὰρ αὐτὰ μὴ βλέπεις,
歓待の神ゼウスよ、これらを見たまえ。もしあなたがこれらを見ないなら、
ἄλλως νομίζῃ1 Ζεὺς τὸ μηδὲν ὢν θεός.
あなたは無に等しい神でありながら、虚しくゼウスと崇められているのだ。
Εὐρείας φάρυγγος, ὦ Κύκλωψ,
広い喉を持つキュクロプスよ、
ἀναστόμου τὸ χεῖλος· ὡς ἕτοιμά σοι
その唇を大きく開け。お前のために準備は整った、
ἑφθὰ καὶ ὀπτὰ καὶ ἀνθρακιᾶς ἄπο
煮たものも、焼いたものも、炭火からおろしたてのものも、
χναύειν, βρύκειν,
齧り、喰らい、
κρεοκοπεῖν μέλη ξένων,
異邦人たちの手足を切り刻んで食らうのだ、
δασυμάλλῳ ἐν αἰγίδι κλινομένῳ.
ふさふさした毛の山羊皮をまとって横たわりながら。
Μή μοι μὴ προσδίδου·
私には、私には分け前をよこすな。
μόνος μόνῳ γέμιζε πορθμίδος σκάφος.
お前一人だけで、お前の渡し船の船腹を満たすがよい。
χαιρέτω μὲν αὖλις ἅδε,
さらばだ、この住処よ。
χαιρέτω δὲ θυμάτων
さらばだ、生贄の
ἀποβώμιος ἃν2 ἔχει θυσίαν
祭壇を汚す、あの犠牲の儀式よ。
Κύκλωψ Αἰτναῖος ξενικῶν
エトナのキュクロプスが、異邦人の
κρεῶν κεχαρμένος βορᾷ.
肉の食事に悦んでいる。
Νηλής, ὦ τλᾶμον, ὅστις
非情なるかな、哀れな者よ、彼は
ἐφεστίους ἱκτῆρας ἐκθύει δόμων,
家の炉を訪ねた懇願者を屠り、
ἑφθά τε δαινύμενος, μυσαροῖσί τ’ ὀδοῦσιν
煮た肉を貪り、汚れ多き歯で
κόπτων βρύκων
切り刻み、噛み砕く、
θέρμ’ ἀπ’ ἀνθράκων κρέα,
炭火からおろしたての熱い肉を。
Μή μοι μὴ προσδίδου·
私には、私には分け前をよこすな。
μόνος μόνῳ γέμιζε πορθμίδος σκάφος.
お前一人だけで、お前の渡し船の船腹を満たすがよい。
χαιρέτω μὲν αὖλις ἅδε,
さらばだ、この住処よ。
χαιρέτω δὲ θυμάτων
さらばだ、生贄の
ἀποβώμιος ἃν ἔχει θυσίαν
祭壇を汚す、あの犠牲の儀式よ。
Κύκλωψ Αἰτναῖος ξενικῶν
エトナのキュクロプスが、異邦人の
κρεῶν κεχαρμένος βορᾷ.
肉の食事に悦んでいる。
ὦ Ζεῦ, τί λέξω, δείν’ ἰδὼν ἄντρων ἔσω
【オデュッセウス】おお、ゼウスよ、何と言えばよいのか。洞窟の中で、恐ろしくも
κοὐ πιστά, μύθοις εἰκότ’, οὐδ’ ἔργοις βροτῶν;
信じがたいものを見た。人間の行いではなく、神話の中の話のようなものを。
τί δ’ ἔστ’, Ὀδυσσεῦ; μῶν τεθοίναται σέθεν
【コーラス】どうしたのだ、オデュッセウスよ?まさかあのこの上なく不信心なキュクロプスが、お前の
φίλους ἑταίρους ἀνοσιώτατος Κύκλωψ;
愛する仲間たちを平らげてしまったのか?
δισσούς γ’ ἀθρήσας3 κἀπιβαστάσας χεροῖν,
【オデュッセウス】そうだ、肉が最もよく肥え太っていた二人を、
οἳ σαρκὸς εἶχον εὐτραφέστατον πάχος.
彼は見定め、その両手で重さを量ったのだ。
πῶς, ὦ ταλαίπωρ’, ἦτε πάσχοντες τάδε;
【コーラス】ああ、哀れな人よ、お前たちはどのようにしてそれを被ったのか?
ἐπεὶ πετραίαν τήνδ’ ἐσήλθομεν χθόνα,
【オデュッセウス】私たちがこの岩だらけの土地に入ると、
ἀνέκαυσε μὲν πῦρ πρῶτον, ὑψηλῆς δρυὸς
彼はまず火を燃え立たせた。高いオークの木の
κορμοὺς πλατείας ἐσχάρας βαλὼν ἔπι,
幹を、広い炉の上に投げ入れたのだ。
τρισσῶν ἁμαξῶν ὡς ἀγώγιμον βάρος.
その量は、荷車三台分もの重さがあった。
ἔπειτα φύλλων ἐλατίνων χαμαιπετῆ
それから、樅の葉を地面に敷いて、
ἔστρωσεν εὐνὴν πλησίον πυρὸς φλογί.
火の燃え盛る炎の近くに寝床を作った。
κρατῆρα δ’ ἐξέπλησεν ὡς δεκάμφορον,
そして十アンフォラも入りそうなミキシングボウルを満たした、
μόσχους ἀμέλξας, λευκὸν ἐσχέας γάλα.
牛の乳を搾り、その白い乳を注ぎ込んで。
σκύφος τε κισσοῦ παρέθετ’ εἰς εὖρος τριῶν
また、幅が三ペキス、
πήχεων, βάθος δὲ τεσσάρων ἐφαίνετο.
深さが四ペキスはあるように見える、ツタでできた大きな木鉢を傍らに置いた。
καὶ χάλκεον λέβητ’ ἐπέζεσεν πυρί,
さらに、青銅の釜を火にかけて煮立たせ、
ὀβελούς τ’, ἄκρους μὲν ἐγκεκαυμένους πυρί,
先端を火で硬く焼いた串を用意した。
ξεστοὺς δὲ δρεπάνῳ τἄλλα, παλιούρου κλάδων,
串の他の部分は、クロウメモドキの枝を鎌で削って滑らかにしたものだった。
Αἰτναῖά τε σφαγεῖα πελέκεων γνάθοις.
そして、斧の刃が備えられた、エトナの屠殺用の鉢も。
ὡς δ’ ἦν ἕτοιμα πάντα τῷ θεοστυγεῖ
神に忌まれた冥府の料理人にとって
Ἅιδου μαγείρῳ, φῶτε συμμάρψας δύο
すべての準備が整うと、彼は私の仲間たちのうち
ἔσφαζ’ ἑταίρων τῶν ἐμῶν, ῥυθμῷ θ’ ἐνὶ
二人の男をひったくり、一連の流れるような動作で屠った。
τὸν μὲν λέβητος ἐς κύτος χαλκήλατον,
一人は青銅で叩き出された大釜の器の中へ、
τὸν δ’ αὖ, τένοντος ἁρπάσας ἄκρου ποδός,
もう一人は、足の先の腱を掴んで、
παίων πρὸς ὀξὺν στόνυχα πετραίου λίθου,
岩の鋭い角に叩きつけ、
ἐγκέφαλον ἐξέρρανε, καὶ καθαρπάσας
脳漿を飛び散らせた。そして大振りのナイフで
λάβρῳ μαχαίρᾳ σάρκας ἐξώπτα πυρί
肉を切り刻んで火で焼き、
τὰ δ’ ἐς λέβητ’ ἐφῆκεν ἕψεσθαι μέλη
その手足は大釜に投げ入れて茹でるに任せた。
ἐγὼ δ’ ὁ τλήμων δάκρυ’ ἀπ’ ὀφθαλμῶν χέων
私めはといえば、哀れにも目から涙を流しながら、
ἐχριμπτόμην Κύκλωπι κἀδιακόνουν·
キュクロプスの側に寄り添い、給仕を勤めた。
ἄλλοι δ’ ὅπως ὄρνιθες ἐν μυχοῖς πέτρας
他の者たちは、岩の奥深くで鳥たちのように
πτήξαντες εἶχον, αἷμα δ’ οὐκ ἐνῆν χροΐ.
すくんでおり、その肌には血の気が失せていた。
ἐπεὶ δ’ ἑταίρων τῶν ἐμῶν πλησθεὶς βορᾶς
しかし、彼が私の仲間たちの肉を腹いっぱいに食らって
ἀνέπεσε, φάρυγος αἰθέρ’ ἐξιεὶς βαρύν,
仰向けに倒れ込み、喉から重苦しい息を吐き出したとき、
ἐσῆλθέ μοί τι θεῖον· ἐμπλήσας σκύφος
私に神的なひらめきが訪れた。私は
Μάρωνος αὐτῷ τοῦδε προσφέρω πιεῖν,
このマロンの酒で鉢を満たし、彼に飲むよう差し出したのだ、
λέγων τάδ’· Ὦ τοῦ ποντίου θεοῦ Κύκλωψ,
こう語りかけて。「海の神の子キュクロプスよ、
σκέψαι τόδ’ οἷον Ἑλλὰς ἀμπέλων ἄπο
ギリシアがブドウからいかに神的な飲み物を
θεῖον κομίζει πῶμα, Διονύσου γάνος.
もたらすか、ディオニュソスの喜びであるこの酒を見てほしい。」
ὃ δ’ ἔκπλεως ὢν τῆς ἀναισχύντου βορᾶς
すると彼は、恥知らずな食事で満ち足りており、
ἐδέξατ’ ἔσπασέν τ’ ἄμυστιν ἑλκύσας
それを受け取ると、一息に飲み干した。
κἀπῄνεσ’ ἄρας χεῖρα· Φίλτατε ξένων,
そして手を挙げて私を称賛した。「異邦人の中で最も愛すべき者よ、
καλὸν τὸ πῶμα δαιτὶ πρὸς καλῇ δίδως.
実に素晴らしい飲み物を、この素晴らしいご馳走に添えてくれたな。」
ἡσθέντα δ’ αὐτὸν ὡς ἐπῃσθόμην ἐγώ,
彼が喜んでいるのを察知すると、私は
ἄλλην ἔδωκα κύλικα, γιγνώσκων ὅτι
もう一杯の杯を彼に与えた。私は知っていたのだ、
τρώσει νιν οἷνος καὶ δίκην δώσει τάχα.
ワインが彼を打ち倒し、すぐに罰を被るだろうということを。
καὶ δὴ πρὸς ᾠδὰς εἷρπ’. ἐγὼ δ’ ἐπεγχέων
そして彼は歌へと進んでいった。私は次から次へと
ἄλλην ἐπ’ ἄλλῃ σπλάγχν’ ἐθέρμαινον ποτῷ.
注ぎ足して、飲み物で彼の内臓を温めてやった。
ᾄδεῖ δὲ παρὰ κλαίουσι συνναύταις ἐμοῖς
彼は涙を流す私の船乗りたちの傍らで、
ἄμουσ’, ἐπηχεῖ δ’ ἄντρον. ἐξελθὼν δ’ ἐγὼ
調子外れの歌を歌い、洞窟にはその歌声が響き渡っている。そこで私は
σιγῇ. σὲ σῶσαι κἄμ’, ἐὰν βούλῃ, θέλω.
静かに抜け出してきた。お前が望むなら、お前と私を救い出したいのだ。
ἀλλ’ εἴπατ’ εἴτε χρῄζετ’ εἴτ’ οὐ χρῄζετε
さあ、あの交わりを拒む男から逃れて、
φεύγειν ἄμεικτον ἄνδρα καὶ τὰ Βακχίου
バッコスの宮殿に
ναίειν μέλαθρα Δαναΐδων νυμφῶν μέτα.
ダナオスの娘たちたるニュンペーたちとともに住まうことを望むか望まないか、言ってみよ。
ὁ μὲν γὰρ ἔνδον σὸς πατὴρ τάδ’ ᾔνεσεν.
中にいるお前たちの父親も、この計画に同意したのだ。
ἀλλ’ ἀσθενὴς γὰρ κἀποκερδαίνων ποτοῦ,
だが、彼は酒に弱く、また酒を貪るあまり、
ὥσπερ πρὸς ἰξῷ τῇ κύλικι λελημμένος
まるで鳥もちにかかった鳥が、杯に囚われて
πτέρυγας ἀλύει· σὺ δέ—νεανίας γὰρ εἶ—
羽をばたつかせているかのようだ。しかしお前は、若いのだから、
σώθητι μετ’ ἐμοῦ καὶ τὸν ἀρχαῖον φίλον
私とともに救われ、かつての友であり、
Διόνυσον ἀνάλαβ’, οὐ Κύκλωπι προσφερῆ.
キュクロプスとは似ても似つかないディオニュソスを再び取り戻すのだ。
ὦ φίλτατ’, εἰ γὰρ τήνδ’ ἴδοιμεν ἡμέραν,
【コーラス】おお、最も愛すべき友よ、不信心なキュクロプスの
Κύκλωπος ἐκφυγόντες ἀνόσιον κάρα.
邪悪な首から逃れて、私たちがその日を見ることができますように。
ὡς διὰ μακροῦ γε τὸν σίφωνα τὸν φίλον
実に長い間、私たちは愛しい酒吸い管から
χηρεύομεν. —τὸν δ’ οὐκ ἔχομεν κατ’ αὗ φαγεῖν.
遠ざけられていたのだ。――そして、もう私たちは彼から喰われずに済むのだ。
- 355νομίζῃ
現在受動態三人称単数の形(詩的な異形。アッティカ散文では通常 νομίζεται)で、主語は Ζεύς。「ゼウスは(人々から)神としてみなされている」の意。τὸ μηδὲν ὢν θεός は「無に等しい神でありながら」という分詞句で、主語 Ζεύς を補足説明している。
- 365ἃν
関係代名詞の女性単数対格形で、アッティカ方言の ἥν(先行詞は前行の θυσίαν)に相当する。合唱(コーラス)の歌唱箇所であるため、ギリシア悲劇・サテュロス劇の慣行に従い、長母音 ᾱ を用いるドーリス方言の色彩が反映されている。
- 379δισσούς γ’ ἀθρήσας
前行のコーラスの問い(μῶν τεθοίναται...;「まさか平らげてしまったのか?」)に対する回答。主動詞(ἔσφαξε「屠った」など)が省略されており、分詞句がその犠牲となった「二人(δισσούς)」を修飾し、行為の過程を具体的に説明している。
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)・修正履歴(2 件・最終 2026-09-22)
- 2026-09-22 AI校閲 — 訳文 1 件
- 2026-09-21 AI校閲 — 原文 1 件
