- 底本
- Euripides. Euripidis Fabulae, Vol. I. Murray, Gilbert, editor. Oxford: Clarendon Press, 1902.
- 翻訳
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- 言語
- 日本語 · English · 简体中文 · 한국어
- CTS URN
- urn:cts:greekLit:tlg0006.tlg001.humanitext-grc2:539-624
- 出力
- Humanitext Reader · reader.humanitext.ai · 2026-10-27
シレノスは言葉巧みにキュクロプスに酒を飲ませて油断させ、酔いつぶれたキュクロプスはシレノスをガニュメデスと思い込み、無理やり洞窟へと連れ去ります。これを受けてオデュッセウスは仲間のサテュロスたちを鼓舞し、神々を呼び求めて復讐の最終準備にかかります。
τί δρῶμεν, ὦ Σιληνέ; σοὶ μένειν δοκεῖ;
【キュクロプス】シレノスよ、どうしようか?お前はここに留まるのがよいと思うか?
δοκεῖ. τί γὰρ δεῖ συμποτῶν ἄλλων, Κύκλωψ;
【シレノス】そう思います。キュクロプスよ、他の飲み仲間など何で必要がありましょう。
καὶ μὴν λαχνῶδές τ’ οὖδας ἀνθηρᾶς χλόης....
【キュクロプス】それに、花咲く草地はふかふかしているし……。
καὶ πρός γε θάλπος ἡλίου πίνειν καλόν.
【シレノス】ええ、おまけに太陽の暖かさの中で飲むのは素晴らしい。
κλίθητί νύν μοι πλευρὰ θεὶς ἐπὶ χθονός.
【シレノス】さあ、地面に身を横たえてお休みください。
ἰδού.
【キュクロプス】よし。
τί δῆτα τὸν κρατῆρ’ ὄπισθέ μου τίθης;
【キュクロプス】しかし、なぜお前は鉢を俺の後ろに置くのだ?
ὡς μὴ παριών τις καταβάλῃ.
【シレノス】通りかかる者がひっくり返さないようにです。
πίνειν μὲν οὖν
【キュクロプス】いや、お前は
κλέπτων1 σὺ βούλῃ· κάτθες αὐτὸν ἐς μέσον.
こっそり盗み飲みしたいだけだろう。真ん中に置きなさい。
σὺ δ’, ὦ ξέν’, εἰπὲ τοὔνομ’ ὅ τι σε χρὴ καλεῖν.
【キュクロプス】そして異邦人よ、お前の名を何と呼ぶべきか言え。
Οὖτιν· χάριν δὲ τίνα λαβών σ’ ἐπαινέσω;
【オデュッセウス】「ウーティス」です。どのような返礼をいただけば、私はあなたを称えましょうか。
πάντων σ’ ἑταίρων ὕστερον θοινάσομαι.
【キュクロプス】お前の仲間たちのうちで、一番最後にお前を食ってやろう。
καλόν γε τὸ γέρας τῷ ξένῳ δίδως, Κύκλωψ.
【シレノス】素晴らしい贈り物を異邦人に与えますな、キュクロプスよ。
οὗτος, τί δρᾷς; τὸν οἶνον ἐκπίνεις λάθρᾳ;
【キュクロプス】これ、何をしている?ワインをこっそり飲んでいるのか?
οὔκ, ἀλλ’ ἔμ’ οὗτος ἔκυσεν, ὅτι καλὸν βλέπω.
【シレノス】いいえ、このワインが私に口づけしたのです、私が男前だからです。
κλαύσῃ, φιλῶν τὸν οἶνον οὐ φιλοῦντά σε.
【キュクロプス】お前を愛してもいないワインを愛して、痛い目を見るぞ。
ναὶ μὰ Δί’, ἐπεί μού φησ’ ἐρᾶν ὄντος καλοῦ.
【シレノス】ゼウスにかけて、私が美しいので、私を愛していると言うのですよ。
ἔγχει, πλέων δὲ τὸν σκύφον. δίδου μόνον.
【キュクロプス】注げ、そしてカップを満たせ。ただ渡すのだ。
πῶς οὖν κέκραται; φέρε διασκεψώμεθα.
【シレノス】では、どのように混ざっているでしょうか?さあ、調べてみましょう。
ἀπολεῖς· δὸς οὕτως.
【キュクロプス】お前は台無しにする。そのまま渡せ。
ναὶ μὰ Δί’ οὐ πρὶν ἄν γέ σε
【シレノス】ゼウスにかけて、お前が
στέφανον ἴδω λαβόντα γεύσωμαί τ’ ἔτι...
冠を受け取るのを見るまでは、そして私がもう少し味わうまではダメです……。
ὦ οἰνοχόος ἄδικος.
【キュクロプス】おお、不届きな酌人め。
οὐ μὰ Δί’, ἀλλ’ ὦ οἶνος γλυκύς.
【シレノス】いいえゼウスにかけて、ワインが甘いのです。
ἀπομυκτέον δέ σοί ἐστιν ὡς λήψῃ πιεῖν.
【シレノス】お飲みになる前に、鼻をかまなければいけません。
ἰδού, καθαρὸν τὸ χεῖλος αἱ τρίχες τέ μου.
【キュクロプス】よし、俺の唇も髭もきれいだ。
θές νυν τὸν ἀγκῶν’ εὐρύθμως, κᾆτ’ ἔκπιε,
【シレノス】それでは、肘を優雅について、それから一気に飲み干してください、
ὥσπερ μ’ ὁρᾷς πίνοντα—χὥσπερ οὐκ ἐμέ.
私が飲むのを見るように――そして私が見えないように。
ἆ ἆ, τί δράσεις;
【キュクロプス】ああ、何をする?
ἡδέως ἠμύστισα.
【シレノス】美味しく一気飲みしました。
λάβ’, ὦ ξέν’, αὐτὸς οἰνοχόος τέ μοι γενοῦ.
【キュクロプス】異邦人よ、お前が受け取って、俺の酌人になってくれ。
γιγνώσκεται γοῦν ἡ ἄμπελος τἠμῇ χερί.
【オデュッセウス】確かに、ブドウは私の手によく馴染んでおります。
φέρ’ ἔγχεόν νυν.
【キュクロプス】さあ、注いでくれ。
ἐγχέω, σίγα μόνον.
【オデュッセウス】注ぎます、ただお静かに。
χαλεπὸν τόδ’ εἶπας, ὅστις ἂν πίνῃ πολύν.
【キュクロプス】たくさん飲む者にとって、静かにせよというのは難しい注文だ。
ἰδοὺ λαβὼν ἔκπιθι καὶ μηδὲν λίπῃς.
【オデュッセウス】さあ、受け取って飲み干し、一滴も残さないでください。
συνεκθανεῖν2 δὲ σπῶντα χρὴ τῷ πώματι.
飲み干すときは、その飲み物と一緒に息を絶やすべきです。
παπαῖ, σοφόν γε τὸ ξύλον τῆς ἀμπέλου.
【キュクロプス】パパイ!ブドウの木とは、なんと賢いものだ。
κἂν μὲν σπάσῃς γε δαιτὶ πρὸς πολλῇ πολύν,
【オデュッセウス】もしあなたが豊かなご馳走のそばでたくさん一気飲みし、
τέγξας ἄδιψον νηδύν, εἰς ὕπνον βαλεῖ,
胃袋を湿らせて渇きを癒せば、それはあなたを眠りに誘うでしょう。
ἢν δ’ ἐλλίπῃς τι, ξηρανεῖ σ’ ὁ Βάκχιος.
しかし、もし少しでも残せば、バッコスはあなたを干からびさせてしまうでしょう。
ἰοὺ ἰού,
【キュクロプス】イウー、イウー!
ὡς ἐξένευσα3 μόγις· ἄκρατος ἡ χάρις.
やっとのことで泳ぎきったぞ。薄めていない喜びだ。
ὁ δ’ οὐρανός μοι συμμεμιγμένος δοκεῖ
天が地と混ざり合って
τῇ γῇ φέρεσθαι, τοῦ Διός τε τὸν θρόνον
回っているように見え、ゼウスの玉座も、
λεύσσω, τὸ πᾶν τε δαιμόνων ἁγνὸν σέβας.
神々のすべての神聖な威光も見える。
—οὐκ ἂν φιλήσαιμ’·—αἱ Χάριτες πειρῶσί με.—
――いや、キスはしないぞ。カリスたちが俺を誘惑している。――
ἅλις Γανυμήδην τόνδ’ ἔχων4 ἀναπαύσομαι.
このガニュメデスがいれば十分だ、こいつを抱いて眠ろう。
κάλλιστα, νὴ τὰς Χάριτας. —ἥδομαι δέ πως
実に見事だ、カリスたちにかけて。――それに俺はどういうわけか、
τοῖς παιδικοῖσι μᾶλλον ἢ τοῖς θήλεσιν.
女たちよりも少年のほうが好みなのだ。
ἐγὼ γὰρ ὁ Διός εἰμι Γανυμήδης, Κύκλωψ;
【シレノス】えっ、キュクロプス、私はゼウスのガニュメデスなのですか?
ναὶ μὰ Δί’, ὃν ἁρπάζω γ’ ἐγὼ’κ τοῦ Δαρδάνου.
【キュクロプス】そうだとも、ゼウスにかけてな。俺がダルダノスの家から掠め去るのだ。
ἀπόλωλα, παῖδες· σχέτλια πείσομαι κακά.
【シレノス】大変だ、お前たち、私は死んだ。恐ろしい酷い目に遭うぞ。
μέμφῃ τὸν ἐραστὴν κἀντρυφᾷς πεπωκότι;
【キュクロプス】愛する者を非難し、酔っ払った者を馬鹿にするのか?
οἴμοι· πικρότατον οἶνον ὄψομαι τάχα.
【シレノス】ああ、私は間もなく、この上なく苦いワインを見ることになるだろう。
ἄγε δή, Διονύσου παῖδες, εὐγενῆ τέκνα,
【オデュッセウス】さあ、ディオニュソスの子らよ、気高き子供たちよ、
ἔνδον μὲν ἁνήρ· τῷ δ’ ὕπνῳ παρειμένος
あの男は中にいる。眠りに負けて、
τάχ’ ἐξ ἀναιδοῦς φάρυγος ὠθήσει κρέα.
間もなくあの厚かましい喉から肉を吐き出すだろう。
δαλὸς δ’ ἔσωθεν αὐλίων ὠθεῖ καπνὸν
そして、洞窟の内部から、燃え木が煙を放ち、
παρευτρέπισται· κοὐδὲν ἄλλο πλὴν πυροῦν
準備は整っている。あとはキュクロプスの目を
Κύκλωπος ὄψιν· ἀλλ’ ὅπως ἀνὴρ ἔσῃ.
焼き潰すだけだ。さあ、男らしくあれ。
πέτρας τὸ λῆμα κἀδάμαντος ἕξομεν.
【コーラス】私たちは岩やアダマスのごとき決意を持とう。
χώρει δ’ ἐς οἴκους, πρίν τι τὸν πατέρα παθεῖν
しかし、父上が何か手の施しようのない
ἀπάλαμνον· ὥς σοι τἀνθάδ’ ἐστὶν εὐτρεπῆ.
ひどい目に遭う前に、家の中に入ってくれ。こちらの準備はすべて整っている。
Ἥφαιστ’, ἄναξ Αἰτναῖε, γείτονος κακοῦ
【オデュッセウス】エトナの主ヘパイストスよ、悪しき隣人の
λαμπρὸν πυρώσας ὄμμ’ ἀπαλλάχθηθ’ ἅπαξ,
輝く目を焼き尽くし、一挙にこの苦難から解き放ってくれ。
σύ τ’, ὦ μελαίνης Νυκτὸς ἐκπαίδευμ’, Ὕπνε,
そして、黒い夜の申し子たる眠りよ、
ἄκρατος ἐλθὲ θηρὶ τῷ θεοστυγεῖ,
この神に憎まれた獣に容赦なく訪れよ。
καὶ μὴ’πὶ καλλίστοισι Τρωικοῖς πόνοις
美しきトロイアの苦闘の後に、
αὐτόν τε ναύτας τ’ ἀπολέσητ’5 Ὀδυσσέα
オデュッセウス自身と船乗りたちを滅ぼさないでくれ、
ὑπ’ ἀνδρός, ᾧ θεῶν οὐδὲν ἢ βροτῶν μέλει.
神々も人間も顧みないような男の手によって。
ἢ τὴν τύχην μὲν δαίμον’ ἡγεῖσθαι χρεών,
さもなければ、運命こそを神と見なし、
τὰ δαιμόνων δὲ τῆς τύχης ἐλάσσονα.
神々の力は運命よりも劣るものと考えねばならなくなる。
λήψεται τὸν τράχηλον
【コーラス】あの客を食らう奴の首を、
ἐντόνως ὁ καρκίνος
ペンチがしっかりと掴むだろう。
τοῦ ξενοδαιτυμόνος· πυρὶ γὰρ τάχα
間もなく火によって、
φωσφόρους ὀλεῖ κόρας.
光をもたらす瞳が滅ぼされる。
ἤδη
すでに、
δαλὸς ἠνθρακωμένος
炭火となった燃え木が、
κρύπτεται ἐς σποδιάν, δρυὸς ἄσπετον
灰の中に隠されている、樫の巨大な
ἔρνος· ἀλλ’ ἴτω Μάρων·
若枝が。さあ、マロンよ、進め。
πρασσέτω·
事を成し遂げよ。
μαινομένου’ξελέτω βλέφαρον Κύ-
狂暴なキュクロプスのまぶたを抉り出せ、
κλωπος, ὡς πίῃ κακῶς.
あいつがひどい目に遭うように。
κἀγὼ
そして私も、
τὸν φιλοκισσοφόρον Βρόμιον πο-
キヅタの冠を愛するブロミオスを、
θεινὸν εἰσιδεῖν θέλω,
恋焦がれて目にしたい、
Κύκλω-
キュクロプスの
πος λιπὼν ἐρημίαν·
寂しい荒野を去って。
ἆρ’ ἐς τοσόνδ’ ἀφίξομαι;
果たして私はそこに行き着けるだろうか。
σιγᾶτε πρὸς θεῶν, θῆρες, ἡσυχάζετε,
【オデュッセウス】神々にかけて静かにせよ、サテュロスたちよ、おとなしくしていろ、
- 547κλέπτων
現在分詞 κλέπτων は手段または様態を表し、「こっそりと」「盗んで」と訳す。主動詞 βούλῃ(βούλομαι の2人称単数中動相直説法現在)にかかる。
- 571συνεκθανεῖν
συνεκθνῄσκω(ともに死ぬ、息絶える)の不定法過去。「酒とともに息を絶やす」という、息を止めながら一気に飲み干す動作を大げさに表現したもの。
- 577ἐξένευσα
ἐκνέω(泳ぎ去る、脱出する)の直説法過去1人称単数。ここでは「(大量の酒を)何とか飲み干して息を吹き返した」ことを、荒波から泳ぎ切った比喩として用いている。
- 582ἔχων
現在分詞 ἔχων は付帯状況を表し、ここでは「〜を持っていれば」または「〜を抱いて」という条件・様態のニュアンスを含む。主動詞 ἀναπαύσομαι にかかる。
- 604ἀπολέσητ’
ἀπόλλυμι の接続法過去2人称複数(-ητε)の語尾省略形。主語は 599行の Ἥφαιστε と 601行の Ὕπνε であり、否定の小辞 μή(603行)を伴って「〜を滅ぼさないでほしい」という懇願を表す。
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)・修正履歴(2 件・最終 2026-09-21)
- 2026-09-21 AI校閲 — 訳文 2 件
