底本
Galen. Claudii Galeni Opera Omnia, Volume 7. Kühn, Karl Gottlob, editor. Leipzig: Knobloch, 1824.
原文データ出典
A Digital Corpus for Graeco-Arabic Studies · CC BY-SA 4.0
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要旨
本書は、熱病の「周期(ペリオドス)」や「型(タイポス)」を極端に細分化し、現実の臨床を無視して空論を弄ぶ医師たちを鋭く批判した医学論です。著者はまず、熱病の基本周期を日日熱、三日熱、四日熱の3つに限定すべきだと主張し、これらを超える長期の周期を想定することの不合理性を指摘します。また、異なる種類の熱が重なり合う複雑な状況において、机上の空論に頼るのではなく、固有の兆候から熱の本性を理解することこそが治療に不可欠であると説きます。さらに、熱病の発作時間から重なり合う熱の種類と数を算出するための、ユークリッド幾何学の原理を応用した簡便な数学的計算方法を提示します。最終的に、論敵たちの理論が数学的に自己矛盾を孕んでいることを暴露し、無益な空論に時間を浪費すべきではないという教訓をもって議論を締めくくります。
目次
11 チャンク
引用方式:chapter
- §1
周期と型をめぐる定義論争の批判
ガレノスは、医学における「周期(ペリオドス)」と「型(タイポス)」の定義をめぐる後世の医師たちの無益な議論を批判し、自らの経験した皇帝マルクス・アウレリウス時代の対話を交えながら、現実的な臨床を無視した空論を排すべきだと主張している。
- §2
熱病発作の早期予見と基本周期の限定
ガレノスは、熱病の発作時期を早期に予知することが治療に極めて有用であることを述べ、日日熱・三日熱・四日熱の3つの基本周期に限定することの必要性と、それ以上の長期周期を想定することの不可能性を論じる。
- §3#1
発作の対応関係による診断と重複の無視
周期を三つに限定しつつも、発作の対応関係(比例関係)から診断を行おうとする人々の見解を批判し、彼らが発作の生じる時間的重複を考慮していないことを具体的な仮定と時間割を用いて実証する。
- §3#2
発作時刻による熱型の判定困難と固有兆候の重視
著者は、発作の時刻から周期を判別しようとする試みの矛盾を指摘し、異なる種類の熱(日日熱・三日熱・四日熱)が重なることで診断不能に陥る具体的状況を示す。そして、机上の空論に過ぎない周期理論を排し、固有の兆候に基づいて熱そのものの本性を理解することこそが治療に不可欠であると主張する。
- §4#1
発作間隔から熱型と重なりを導く計算法
ガレノスは若者たちの懇願を受け、熱病の発作時間から何重のどのようなタイプの熱が重なっているかを特定する簡単な計算方法を教える。そして、各タイプの周期を時間数に換算した一覧表を提示し、具体的な数値例を用いて計算手順をわかりやすく説明する。
- §4#2
発作周期の約数関係による重なり合う熱型の特定
著者(ガレノス)は、発作周期(16時間、18時間、5時間など)の具体例を用いて、それらが図のどの熱型の約数になるかによって重なり合う熱の種類と数を算出する方法を説明し、最後にこの計算方法を数的な割り算の関係として簡潔に要約している。
- §5
熱型の無限の組み合わせと注釈家の二重の誤り
著者は、発作周期と発熱タイプの複雑な組み合わせが無限に作れることを示して空論を批判し、このような無益な事柄に時間を浪費する注釈家たちの二重の誤りを指摘する。
- §6#1
長周期の熱型を想定する論理の自己矛盾と五日熱
著者は、熱のタイプを細分化して15日熱やそれ以上を想定する論敵たちの理論がいかに自己矛盾を孕んでいるかを数理的に暴露する。さらに、彼らの論理に従えば発熱の複雑な重複パターン(ペア)が無数に生じることを、五日熱を例にして具体的に示し始める。
- §6#2
周期熱の組み合わせによる天文学的ペア数の反証
著者は五日熱と他の周期(六日熱から十日熱など)を組み合わせることで生じるペア(重複)の数が、数学的に天文学的な規模に膨れ上がることを詳細に示し、敵対者の理論の不可能性を突いている。
- §7#1
図表を用いずに熱型数と発熱周期を算出する算法
著者は図表なしに発熱のタイプ数や周期を計算する簡便な算法を提示し、一昼夜(24時間)と発熱周期の公約数から各熱型(四日熱、六日熱、八日熱など)の数と周期を導き出す数学的ルールを説明する。
- §7#2
公約数による熱型の算定と議論の結び
著者はいかなる図表も使わずに、最大公約数と倍数の概念(ユークリッド『原論』第7巻)を利用して、提示された様々な時間周期から熱型の数と日数を計算する数学的原理を説明し、時間を惜しむべきというデルポイの訓戒を引いて議論を終える。
