アリストテレス · Aristotle
自然学(別稿)
Physics (alternative version)
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底本
Aristotle. Aristotelis Physica. Ross, W.D., editor. Oxford: Clarendon, 1960.
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
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要旨
本書は、あらゆる運動や変化の発生メカニズムとその根本原因を探求する哲学・科学論考です。著者はまず、「運動するものはすべて他によって運動させられる」という原理を提示し、運動の無限遡行を否定することで、すべての運動の源泉となる「第一動者」の存在を論証します。次に、動かすものと動かされるものが中間に何も挟まず直接接触しているという物理的な「共にある」関係を、場所的移動、性質変化、増減という運動の各形態を通じて検証します。後半では特に性質変化に焦点を当て、それが感覚されうる対象においてのみ生じることを明らかにします。心身の状態(ヘクシス / hexis)の獲得や知識の習得は、それ自体が性質変化なのではなく、感覚的な性質変化に伴う付随的な変化にすぎないと結論づけられます。このように本書は、物理的な接触から究極の原因へと至る運動の連鎖を体系的に記述しています。
目次
6 チャンク
引用方式:section
- §1#1
運動するものは他によって動かされることの証明
「運動するものはすべて他によって運動させられる」という原理を、自己運動の仮定が不可能性(部分の静止による全体の静止)に陥ることから証明し、運動の無限遡行を否定して第一動者の存在を導く。
- §1#2
運動の分類と第一の運動者の必然性
アリストテレスは運動の「同じさ」を数・類・種に分類し、無限の被動者たちの運動が有限の時間内で行われ得るという議論に対して、物理的運動における接触や連続の性質を導入することで、無限の遡行が不可能であり第一の運動原因(始原)が存在することを論証する。
- §2#1
動者と被動者の接触と移動の四分類
第一動者(始動因)と被動者が中間に何も挟まず「共にある(接触している)」ことを論じる。場所的運動(移動)を押し・引き・乗せられ・回転の四つに分類し、その他のあらゆる場所的運動がこれらに還元され、いずれの場合も動者と被動者が直接接触していることを示す。
- §2#2
性質変化と増減における動者と被動者の直接接触
アリストテレスは性質変化(感覚を伴う変化)および増減のプロセスを検討し、性質変化させるものとさせられるもの、ならびに増大・減少を引き起こすものとそれを受けるものの間に中間者がなく、それらが物理的に接触していることを示す。
- §3#1
性質変化の感覚的対象への限定と形状や状態の非該当
アリストテレスは、性質変化が感覚されうるものにおいてのみ生じることを論じ、形状の生成や心身の状態(ヘクシス)の獲得・喪失は、素材の性質変化に伴って生じる付随的な変化であって、それ自体が性質変化や生成ではないことを示す。
- §3#2
魂の徳や知識の獲得が性質変化ではない理由
魂の徳や悪徳、および知的な部分における知識の獲得は、関係的なものに属するため性質変化ではなく、性質変化はあくまで感覚的な部分においてのみ起こることを論じる。
