底本
Aristotle. Aristotelis De animalium motione et De animalium incessu. Jaeger, Werner, editor. Leipzig:Teubner, 1913.
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
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要旨
本作は、生物の体内における精気(プネウマ、pneuma)の維持、成長、および体内での運動のメカニズムを解き明かそうとする医学・自然哲学的な探究である。著者は、呼吸や食物の消化が精気の供給にどのように寄与するかという問いから出発し、先行する学説を鋭く批判しながら議論を進める。魚類や卵生動物などの具体的な生物の観察例を引きつつ、動脈内の精気が果たす呼吸、脈拍、栄養供給という三つの主要な運動が定義される。さらに、骨、腱、肉などの身体組織の形成、栄養供給の経路、そして生物の移動運動における精気の役割が目的論的な視点から考察される。最終的に、自然における「熱」の複合的な作用や元素の混合比率が生命活動と組織の性質を形作っていることを示し、身体の統合的な生命維持システムを提示している。
目次
7 チャンク
引用方式:chapter
- §1
内在する精気の維持と栄養供給の仕組み
著者は体内にある精気の維持と成長のメカニズムについて問いかけ、呼吸によるか食物の消化によるかという二つの可能性を提示しつつ、食物から供給されるプロセスとその問題点を検討する。
- §2
アリストゲネスの呼吸説批判と精気の消化
アリストゲネスによる呼吸を通じた精気の消化と維持の説を批判的に検討し、特に消化の速度や通路の共有などの不条理を指摘する。さらに、呼吸を行わない生物や水生生物における精気の維持と栄養の摂取方法について議論を展開する。
- §3-4
呼吸の目的と精気の三つの運動の検討
§3–4では、呼吸の目的やメカニズムに関する従来の学説を批判的に検討した上で、動脈内の精気が行う三つの運動(呼吸、脈拍、栄養の供給と加工)を定義し、それらの発生起源や発達の優先順位を考察する。
- §5
精気の胃への通路と動脈による感覚および栄養分配
著者は呼吸による精気の胃への通路に関する説を紹介した上で、魂と結びついた動脈内精気の感知や性質、および血管系統を通じた栄養分配について考察する。
- §6
精液の輸送と骨・腱・肉への栄養供給の仕組み
精液が動脈を通って運ばれるのかという疑問に始まり、骨と腱、あるいは血管と骨の間の栄養供給の仕組みや経路を検証する。さらに、肉が血液によって栄養されるという仮説について、鳥類や卵生動物などの観察例を通じて例外を指摘し、生物による栄養システムの多様性を議論する。
- §7-8
骨と腱の役割および運動の起点と器官
第7章では骨の本性と役割(運動、支持、保護など)が個別の部位に即して目的論的に考察され、第8章では骨ではなく腱や動的気息が運動の真の起点であること、および各種動物の移動器官(足、翼など)の形態が自然の本性や目的に適っていることが論じられる。
- §9
生体内における熱の作用と混合比率による組織の形成
生物における熱のはたらきを技術の火(道具)と対比し、形や比率(ロゴス)を与える自然の複合的な作用を考察するとともに、骨や肉の性質の違いが元素の混合比率の違いによるものであることを論じる。
