アリストテレス · Aristotle
睡眠と覚醒について
On Sleep and Waking
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底本
Aristotle. Aristotelis Opera, Volume 3. Bekker, Immanuel, editor. Oxford: Oxford University Press, 1837.
原文データ出典
A Digital Corpus for Graeco-Arabic Studies · CC BY-SA 4.0
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要旨
本書は、睡眠と覚醒という現象の本質とその原因、そしてそれらが動物の身体や魂のどの部分に属するのかを論じた自然学・哲学的な論考です。著者はまず、常に眠り続けることや目覚め続けることは不可能であることを示し、知覚を持たない植物には睡眠も覚醒もなく、知覚を持つすべての動物にこれらが共通して備わっていることを明らかにします。次に、睡眠と覚醒が個別の感覚器官ではなく、すべてを統括する「共通の感覚器官」(コイネー・アイステーシス)の受動状態であり、その一時的な機能停止が睡眠の本質であることを論じます。さらに、睡眠を生存に必要な休息、覚醒を活動の目的と位置づけ、その生理学的な発生源を有血動物における心臓に求めます。議論の後半では、食物の摂取に伴って生じる蒸発気が頭部に上り、脳で冷却されて下降するというメカニズムが、睡眠を引き起こす具体的な原因として詳しく説明されます。最終的に、心臓における血液の分離プロセスや熱の動きと関連づけながら、睡眠と覚醒の生物学的メカニズムが統一的に総括されます。
目次
6 チャンク
引用方式:chapter
- §1#1
睡眠と覚醒の本質と知覚器官への帰属
睡眠と覚醒、および夢の本質と原因について、それらが動物全体や魂・体のどの部分に属するのかという問いを提示し、これらが知覚器官に属する対立する状態であり、植物にはなく知覚を持つ動物すべてに共通することを論じる。
- §1#2
睡眠と覚醒の必然的な交代と動物への帰属
アリストテレスは、いかなる動物も常に目覚めている、あるいは常に眠っていることは不可能であることを、感覚能力の限界や対立物の関係から論証する。また、植物には知覚がないため睡眠も覚醒もなく、ほぼすべての動物が睡眠を共有していることを示す。
- §2#1
共通感覚器官の受動としての睡眠と覚醒
睡眠と覚醒がどの知覚に依存するかを検討し、それが個別知覚ではなく、すべての知覚を統括する「共通の感覚器官」の受動(状態)であることを明らかにする。また、睡眠が特定の感官の不活発化や一時的な気絶とは異なり、第一の感覚器官の機能停止であることを説明する。
- §2#2
睡眠の目的因としての休息とその生理学的部位
アリストテレスは睡眠が動物の生存のための「休息(仮設的必然性)」であり、覚醒が「目的(善)」であることを説明する。また、睡眠と覚醒の生理学的発生部位が、身体の中間(有血動物では心臓)であり、気(プネウマ)の働きや冷却作用と深く関わっていることを論じる。
- §3#1
蒸発気の運動による睡眠の生理学的メカニズム
食物の摂取に伴う蒸発気の往復運動が睡眠を引き起こす生理学的メカニズムを説明し、幼児、てんかん、身体的特徴と睡眠の関連を論じる。
- §3#2
熱の逆囲繞と頭部の冷却による睡眠の総括
黒胆汁質の人々が眠りがちではない理由と、睡眠中に頭部で生じる熱の冷却現象(逆囲繞と脳の役割)について説明し、最終的に睡眠と覚醒の生物学的メカニズムを心臓における血液の分離プロセスとともに総括する。
