底本
Lucian, Vol. 6. Kilburn, Kenneth, editor. London: William Heinemann, Ltd.; Cambridge, MA: Harvard University Press, 1959 (unrenewed copyright).
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
Humanitext がクローン・再構成し、継続的に更新しています。
要旨
本作は、冬の祝祭サトゥルナリア(クロニア祭)を舞台に、貧富の不平等という社会的な問題をユーモラスかつ風刺的に描いた対話と書簡形式の作品です。冒頭では神官がクロノス神と対話し、黄金時代の意義や祝祭の起源が語られ、続いて祝祭における平点を規定する「祝祭の法」が公布されます。物語の中盤では、貧しい人々が神に手紙を送り、富者たちからの不当な差別と極端な格差を告発します。これに対し、クロノス神は富者の生活の空虚さを指摘して貧者を慰めると同時に、富者に向けて祝祭の間の寛容と財産の分与を促す手紙を送ります。最終的に富者たちからは貧者のマナーへの不満が漏らされるものの、一定の支援を約束する返書が送られます。本作は、お祭りの狂騒を通じて、富の分配と人間社会の理不尽さを鋭い対比とともに浮き彫りにしています。
目次
10 チャンク
引用方式:section
- §1-4
富を願う神官とクロノスの権限の限界
神官がクロノスに幸運と富を求めるが、クロノスは自分に許された統治期間と権限の限界を説明し、祝祭期間中の遊びとささやかな楽しみだけを与えることができると答える。
- §5-7
クロノスによる退位の真相と祭りの意義
神官はクロノスに、子供を食い尽くしゼウスに追放されたという神話の真偽を尋ねる。これに対しクロノスは、神話を否定し、自ら老齢を理由に退位したこと、そして黄金時代の幸福を人々に思い出させるためにこの短い祭りの期間だけ統治を再開しているのだと説明する。
- §8-10
祭りの慣習の起源と立法者クロノソロンの警告
神官とクロノスは黄金時代の盤上遊戯や冬に祭りを祝う理由について語り合った後、宴会へと向かう。続いてクロノスの立法者クロノソロンが登場し、富者に対して祭りの規則を遵守するよう警告し、自身が目撃した神の真の姿を語る。
- §11-14
クロノソロンによる祝祭の法と富者の義務の公布
神官クロノソロンは、クロノス神から貧富の不平等を是正する「祝祭の法」を授けられた経緯を説明し、祭り期間中の全員共通の禁止事項と、富める者がなすべき具体的な施しの義務を公布する。
- §15-18
贈答の規則と平等な宴会を定める法律
クロニア祭における贈り物の交換規則(教養人への優遇、貧者からの返礼の形式)および、席順の平等、料理の均等な配分、給仕のやり方を規定した宴会の法律を提示し、これを青銅板に刻むことを命じる。
- §19-21
貧者からクロノスへの不平等是正を求める手紙
貧しい者が神クロノスに対して手紙を送り、富者と貧者の間の極端な不平等を不条理なものとして告発し、黄金時代の共有関係を復活させるか、富者に財産を分け与えるよう命令することを求めます。
- §22-25
宴席での平等要求とクロノスからの返書
語り手はクロノスに対し、晩餐での富者と貧者の差別待遇を廃し、平等な給仕を徹底させるよう求める。さらに、富者がこれに従わない場合に彼らを襲うであろう様々な災厄や呪いの詳細を語る。これに対しクロノスは返書を送り、自らはすでに引退して王ではなく、世界全体の統治はゼウスの管轄であるが、祝祭の規則に関する不当な扱いについては富者に是正の手紙を書くことを約束する。
- §26-30
富者の苦悩と死の平等を説くクロノスの諭し
クロノスは貧者たちに対し、富者の生活は絶え間ない不安と健康を害する無節制に満ちており、彼らの贅沢品の多くは貧者に見せびらかすためのものであると説き、両者とも間もなく死を迎えるのだから祝祭をそのまま楽しむようにと諭す。
- §31-34
富者への財産分与と平等な待遇を促すクロノスの手紙
クロノスから富者たちへの手紙であり、貧者たちの分け前の要求や、宴席での差別に対する苦情を伝え、富者たちに対して財産の分与と宴席での平等の扱いを促している。
- §35-39
富者への警告と貧者の無礼を訴える富者の返書
クロノスが富者たちに対し、貧者たちを無視して贅沢を続けることの危険性と祝祭での寛容を説き、これに対して富者たちが、貧者たちの非道なマナーや厚かましさを弁明しつつも、改心するなら支援を受け入れると返答する。
