底本
Euripides. Euripidis Fabulae, Vol. I. Murray, Gilbert, editor. Oxford: Clarendon Press, 1902.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0006.tlg005.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 13 件を修正
AI校閲 2026-10-12:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Claude Opus 5.5 — 日本語訳 1 件を修正
反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 14 件
最終更新:2026-10-12・変更履歴の一覧
要旨
本作は、愛の女神アプロディテを軽んじ、処女神アルテミスへの信仰と自らの純潔を誇る青年ヒッポリュトスへの、神の恐るべき復讐を描いたギリシア悲劇です。舞台はトロイゼンであり、ヒッポリュトスの義母パイドラが彼への禁断の愛に苛まれることから悲劇が始まります。パイドラは自身の高潔さを保つために死を決意しますが、その際にヒッポリュトスから襲われたとする偽りの書き置きを残します。これを信じた父テセウスは、怒りに駆られてポセイドンの呪いを用い、息子を追放して破滅へと追いやります。瀕死の重傷を負ったヒッポリュトスが運ばれる中、アルテミスが降臨してすべての真相を明らかにします。最後に親子は悲しみの中で和解し、ヒッポリュトスは息を引き取るという、神々の冷酷さと人間の尊厳が対比される結末を迎えます。
目次
16 チャンク
引用方式:line
- §1-93
アプロディテの復讐予告とヒッポリュトスの祈願
アプロディテが、自らを軽んじアルテミスのみを崇拝するヒッポリュトスへの復讐計画を語り、立ち去る。その後、狩りから戻ったヒッポリュトスがアルテミスに献身の冠を捧げ、従者からの忠告を退ける。
- §94-198
従者の諫言と病に伏すパイドラの登場
ヒッポリュトスは従者と傲慢や神々への崇敬について問答を交わした後に退場し、代わってコーラスと乳母が登場してパイドラの病気と苦悩について嘆き、最後にパイドラ自身が姿を現します。
- §199-297
パイドラの譫妄と乳母による説得の試み
パイドラは病床で狂乱して狩りや乗馬への願望を口にするが、我に返って発言を恥じ、頭を覆う。乳母は中庸の徳を語った後、沈黙するパイドラに苦しみの原因を打ち明けるよう優しく説得する。
- §298-378
パイドラの恋情の告白と理性の葛藤
乳母は、パイドラから彼女がテセウスの息子ヒッポリュトスに恋をしているという衝撃的な告白を聞き出し、絶望する。パイドラは己の秘めたる情念と理性の相克についてトロイゼンの女性たちに語り始める。
- §379-459
パイドラの死の決意と乳母による愛の説得
パイドラは、人間が善を知りながらも快楽や怠惰によって悪に陥る様を語り、自身の不貞への葛藤と死の決意を述べる。これに対し乳母は、愛は神的な力であり抵抗できないとしてパイドラに生を選ぶよう説得する。
- §460-540
乳母の神々の先例と秘薬の提案
乳母はパイドラに対して、神々の恋の先例を引きながら情欲を受け入れるよう説得し、惚れ薬による解決を提案する。合唱はエロスの不可抗力な支配力と恐ろしさを歌う。
- §541-644
パイドラの絶望とヒッポリュトスの女性糾弾
パイドラは乳母がヒッポリュトスに自分の恋心を漏らし、彼に激しく非難されているのを聞いて絶望し、死を決意する。ヒッポリュトスは乳母を厳しく糾弾し、女性という存在そのものを害悪として嫌悪する長大な演説を行う。
- §645-728
ヒッポリュトスの退場とパイドラの死の決意
ヒッポリュトスは女性という存在全体を激しく呪った後、誓いゆえに沈黙を守ることを約束して立ち去ります。残されたパイドラは、破滅をもたらした乳母を非難し、我が子の名誉を守るために自らの死を決意し、コーラスに口止めを誓わせます。
- §729-833
パイドラの自死とテーセウスの帰還と嘆き
パイドラは他者に災厄を残して死ぬことを宣言して退場し、コーラスが彼女の悲劇的な運命を嘆く。帰国したテーセウスは妻が自害したことを知らされ、亡骸を前にして絶望に暮れる。
- §834-920
パイドラの遺書とテーセウスの呪い
テーセウスは妻の遺体の傍らにある書板を見つけ、そこに書かれた不義の告発を読み、息子ヒッポリュトスに対してポセイドンの呪いによる破滅を宣告する。そこへ何も知らないヒッポリュトスが現れ、父に事情を問いかける。
- §921-1003
テーセウスの追放宣告とヒッポリュトスの弁明
沈黙を破ったテーセウスが、ヒッポリュトスに対して激しい怒りをぶつけ、彼の偽善的な生活を非難しつつ国外追放を言い渡す。これに対し、ヒッポリュトスは自己の潔白を証明するための弁明を開始する。
- §1004-1083
ヒッポリュトスの潔白の主張とテーセウスの拒絶
ヒッポリュトスは父テセウスに対して、自らの無実と高潔さを弁明し、不義の動機がないことを理路整然と主張する。しかしテセウスはそれを魔術師の欺瞞として退け、神託や誓いを顧みることなく、彼を即座に国外追放に処する。
- §1084-1187
ヒッポリュトスの追放と使者の凶報
テセウスはヒッポリュトスを無理やり追放し、ヒッポリュトスは国を去る悲しみを歌って退場する。その直後、ヒッポリュトスの従者が現れ、彼がポセイドンの呪いと戦車の事故によって死に瀕していることをテセウスに報告する。
- §1188-1280
海の怪物の出現とヒッポリュトスの落命の報告
使者は、ヒッポリュトスが戦車を走らせている際、海の怪物である雄牛が出現し、馬たちが暴走して彼が重傷を負った様子を報告する。テセウスは彼を連れてくるよう命じ、コロスは愛の力であるアプロディテとエロスを讃える。
- §1281-1378
アルテミスの真相告白と瀕死のヒッポリュトス
アルテミスが現れてテセウスの過ちとファイドラの策略を明らかにし、瀕死のヒッポリュトスが運ばれてきて自らの運命と父の呪いを嘆く。
- §1379-1466
アルテミスの慰めと親子の和解および死
ヒッポリュトスは先祖の罪と父の呪いに苦しみつつ、女神アルテミスの訪れを察知する。アルテミスはヒッポリュトスの無実と彼に捧げられる未来の栄誉を語り、親子は和解してヒッポリュトスは息を引き取る。
