§168φόβον δὲ ἤδη τινὰ κατανενόηκας, ὃς ἑαυτὸν μὲν καὶ τοὺς ἄλλους φόβους φοβεῖται, τῶν δεινῶν δʼ οὐδὲ ἓν φοβεῖται;
「では、自分自身と他の恐怖を恐れるが、恐るべきもののうち何一つ恐れないような、そういう恐怖をこれまでに気づいたことがあるかね?
οὐ κατανενόηκα, ἔφη.
」「気づいたことはありません」と彼は言った。
δόξαν δὲ δοξῶν δόξαν καὶ αὑτῆς, ὧν δὲ αἱ ἄλλαι δοξάζουσιν μηδὲν δοξάζουσαν;
「あるいは、思い込みの思い込みであり、自分自身の思い込みであって、他の思い込みが対象とするもののうち何一つ対象としないような思い込みは?
οὐδαμῶς.
」「決してありません。
ἀλλʼ ἐπιστήμην, ὡς ἔοικεν, φαμέν τινα εἶναι τοιαύτην, ἥτις μαθήματος μὲν οὐδενός ἐστιν ἐπιστήμη, αὑτῆς δὲ καὶ τῶν ἄλλων ἐπιστημῶν ἐπιστήμη;
」「しかし、どうやら私たちが言っているのは、いかなる学習対象の知識でもなく、自分自身と他の諸知識の知識であるような、そのような知識のことのようだ。
φαμὲν γάρ.
そう言っているのだね? 」「その通りです。
οὐκοῦν ἄτοπον, εἰ ἄρα καὶ ἔστιν;
」「そうだとすれば、もしそれが実際に存在するとしても、奇妙なことではないかね。
μηδὲν γάρ πω διισχυριζώμεθα ὡς οὐκ ἔστιν, ἀλλʼ εἰ ἔστιν ἔτι σκοπῶμεν.
私たちはそれが存在しないと今から断言することはせず、存在するのかどうかをさらに考察してみよう。
ὀρθῶς λέγεις.
」「おっしゃる通りです。
φέρε δή·
」「さあ、ではいこう。
ἔστι μὲν αὕτη ἡ ἐπιστήμη τινὸς ἐπιστήμη, καὶ ἔχει τινὰ τοιαύτην δύναμιν ὥστε τινὸς εἶναι·
この知識はあるものの知識であり、あるものに対してあるという、そのような力を有している。
ἦ γάρ;
そうではないかね?
πάνυ γε.
」「まったくその通りです。
καὶ γὰρ τὸ μεῖζόν φαμεν τοιαύτην τινὰ ἔχειν δύναμιν, ὥστε τινὸς εἶναι μεῖζον;
」「というのも、より大きいものも、あるものより大きいというような、ある種の力を有していると私たちは言うのだから。
ἔχει γάρ.
実際、持っているだろう?
οὐκοῦν ἐλάττονός τινος, εἴπερ ἔσται μεῖζον.
」「そうすると、それがより大きいものである以上は、何かより小さいものよりも大きいはずだ。
ἀνάγκη.
」「必然的にそうです。
εἰ οὖν τι εὕροιμεν μεῖζον, ὃ τῶν μὲν μειζόνων ἐστὶν μεῖζον καὶ ἑαυτοῦ, ὧν δὲ τἆλλα μείζω ἐστὶν μηδενὸς μεῖζον, πάντως ἄν που ἐκεῖνό γʼ αὐτῷ ὑπάρχοι, εἴπερ ἑαυτοῦ μεῖζον εἴη, καὶ ἔλαττον ἑαυτοῦ εἶναι·
」「では、もし私たちが、より大きな諸々のものや自分自身よりも大きく、かつ他のより大きなものがそれより大きいとされるようなもののいずれよりも大きくはない、そのような『より大きいもの』を見い出すとしたら、もしそれが自分自身より大きいのならば、自分自身より小さくもあるということが、どうしてもそのものに成立することになるのではないかね。
ἢ οὔ;
それとも違うかね?
πολλὴ ἀνάγκη, ἔφη, ὦ Σώκρατες.
」「まったくその通りです、ソクラテス」と彼は言った。
οὐκοῦν καὶ εἴ τι διπλάσιόν ἐστιν τῶν τε ἄλλων διπλασίων καὶ ἑαυτοῦ, ἡμίσεος δήπου ὄντος ἑαυτοῦ τε καὶ τῶν ἄλλων διπλάσιον ἂν εἴη·
「そうすると、もしあるものが他の二倍のものや自分自身の二倍であるとしたら、自分自身や他のものが半分であるとして、それらの二倍であることになるはずだ。
οὐ γάρ ἐστίν που ἄλλου διπλάσιον ἢ ἡμίσεος.
なぜなら、半分以外のものの二倍であるということはあり得ないのだから。
ἀληθῆ.
」「本当です。
πλέον δὲ αὑτοῦ ὂν οὐ καὶ ἔλαττον ἔσται, καὶ βαρύτερον ὂν κουφότερον, καὶ πρεσβύτερον ὂν νεώτερον, καὶ τἆλλα πάντα ὡσαύτως, ὅτιπερ ἂν τὴν ἑαυτοῦ δύναμιν πρὸς ἑαυτὸ ἔχῃ, οὐ καὶ ἐκείνην ἕξει τὴν οὐσίαν, πρὸς ἣν ἡ δύναμις αὐτοῦ ἦν;
」「そして、自分自身より多いものであるなら、少なくもあることになり、重いものであるなら軽く、年長であるなら年少になり、その他すべてのものについても同様に、何であれ自分自身に対して自らの力を及ぼすものは、その力が向けられる対象の性質をも、自ら有することになるのではないかね。
λέγω δὲ τὸ τοιόνδε·
」「私が言っているのは次のようなことだ。
οἷον ἡ ἀκοή, φαμέν, οὐκ ἄλλου τινὸς ἦν ἀκοὴ ἢ φωνῆς·
例えば、聴覚は声以外の何ものの聴覚でもない、と私たちは言う。
ἦ γάρ;
そうだったね?
ναί.
」「はい。
οὐκοῦν εἴπερ αὐτὴ αὑτῆς ἀκούσεται, φωνὴν ἐχούσης ἑαυτῆς ἀκούσεται·
」「そうすると、もしそれがそれ自身を聞くのだとすれば、それ自身が声を持っているものとして、それ自身を聞くことになる。
οὐ γὰρ ἂν ἄλλως ἀκούσειεν.
そうでなければ聞くことはできないのだから。
πολλὴ ἀνάγκη.
」「必然的にそうです。
καὶ ἡ ὄψις γέ που, ὦ ἄριστε, εἴπερ ὄψεται αὐτὴ ἑαυτήν, χρῶμά τι αὐτὴν ἀνάγκη ἔχειν·
」「そして、視覚にしても、友よ、もしそれが自分自身を見るのだとすれば、それ自身が何か色を持っていなければならない。
ἄχρων γὰρ ὄψις οὐδὲν μή ποτε ἴδῃ.
なぜなら、無色の視覚は決して何も見ることができないのだからね。
οὐ γὰρ οὖν.
」「確かにその通りです。
ὁρᾷς οὖν, ὦ Κριτία, ὅτι ὅσα διεληλύθαμεν, τὰ μὲν αὐτῶν ἀδύνατα παντάπασι φαίνεται ἡμῖν, τὰ δʼ ἀπιστεῖται σφόδρα μή ποτʼ ἂν τὴν ἑαυτῶν δύναμιν πρὸς ἑαυτὰ σχεῖν;
」「クリティアスよ、では、私たちが列挙したこれらすべてのもののうち、あるものは私たちにとって全く不可能に見え、またあるものは、それ自体に対して自らの力を持つことがあり得るか、大いに疑わしく思われるのがわかるかね。
μεγέθη μὲν γὰρ καὶ πλήθη καὶ τὰ τοιαῦτα παντάπασιν ἀδύνατον·
というのも、大きさや数、およびそうした事柄については、全く不可能だからだ。
ἢ οὐχί; πάνυ γε.
そうではないかね? 」「まったくその通りです。 」