リュシアス · Lysias
第十九弁論 アリストパネスの財産について
On the Property of Aristophanes
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Lysias. Lamb, W.R.M., editor. Cambridge, MA: Harvard University Press; London: William Heinemann Ltd., 1930.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0540.tlg019.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、アテナイの市民法廷において、国家に没収されたアリストファネスの財産を隠匿したという疑いをかけられた姻戚の人物が、自身と家族の身の潔白を証明するために行なった法廷弁論です。語り手はまず陪審員に対して先入観を排して審理に臨むよう求め、亡き父のポリスへの多大な貢献を強調します。続いて、アリストファネスが公的な名誉を重んじて全財産を軍事遠征や奉仕活動に費やした経緯を詳述し、没収された財産が少額であった理由を説明します。さらに、コノンやアルキビアデスなどの高名な市民を例に挙げ、世間の財産に対する見積もりがいかに誇張され不確かであるかを論理的に示します。最後に、自身と父親がアテナイに対して行ってきた財政的・個人的奉仕の実績をアピールし、自身の財産が国家に没収されるよりも、無罪となって今後も国家に貢献し続ける方が有益であると訴えて、公正な判決を懇願します。
目次
6 チャンク
引用方式:section
- §1-11
公平な審理の要請と亡父の公共奉仕
語り手は、アリストファネスの財産没収に関連して自身と家族にかけられた疑いを晴らすため、裁判員に対し先入観を持たずに双方の議論を最後まで聞くよう求め、亡き父のポリスへの多大な貢献を強調する。
- §12-22
家族の婚姻歴とアリストファネスの遠征支出
話者は、父が金銭欲ではなく人徳に基づいて姻戚関係を結んだことを家族の結婚歴から証明し、アリストファネスが公的な名誉を重んじて全財産を軍事遠征に費やした経緯を詳述する。
- §23-33
アリストファネスの財政困窮と隠匿の否定
アリストファネスが公的奉仕に全財産を注ぎ込んでいたこと、没収された家財が少額であった理由、そして話し手の家族が彼の財産を隠匿していないことを訴える。
- §34-44
コノンの遺産とアリストファネスの財産実態
コノンの実際の遺言に記された遺産額を引き合いに出し、事前の予想がいかに誇張されていたかを論じる。そして、アリストファネスの生前の多大な出費と実際の没収額を比較し、彼の隠し財産疑惑がいかに不当であるかを訴える。
- §45-54
財産過大評価の歴史的事例と無罪の懇願
語り手は、イスコマコス、ニキアス家、カリアス、クレオポン、アルキビアデス、ディオティモスなどの歴史的具体例を挙げ、世間の財産の見積もりが如何に誇張され不確かであるかを指摘し、中傷を退けて正当な無罪判決を下すよう懇願する。
- §55-64
父子の国家奉仕の実績と結審の訴え
被告の弁護人は、自分と父親がアテナイ市に対して行ってきた多大な財政的・個人的奉仕の実績を挙げ、自分たちが公金を横領するような人間ではないことを主張する。そして、財産没収よりも無罪判決の方が国家にとって有益であると訴え、陪審員に公正な判決を求める。
