アイリオス・アリステイデス · Aelius Aristides
シチリア遠征反対論
Against the Sicilian Expedition
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底本
Aristides. Vol. 1. Dindorf, Wilhelm, editor. Leipzig: Reimer, 1829.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
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要旨
本作は、ペロポネソス戦争期のアテナイにおけるシケリア遠征への追加派遣に反対し、撤退を強く勧める政治演説の形式をとる作品です。弁者は民会において、一時的な感情や過去の決定に固執することなく、状況の変化に応じて柔軟に決断を下すことの重要性を説きます。議論の前半では、アテナイ本国の深刻な防衛危機とシケリアの遠征軍が直面する壊滅的な窮状が対比され、これ以上の無謀な増援派遣が本国の破滅を招くことが警告されます。中盤において弁者は、ペリクレスの教えを引用しつつ、撤退を不名誉とする好戦派の主張に強く反論し、スパルタなどの例を引いて臨機応変な撤退こそが賢明な名誉であると説得します。終盤では、大遠征に潜む危険を示す不吉な前兆や、過去のエジプト遠征における壊滅的失敗といった歴史的先例を提示します。最終的に、見栄による自滅を避け、兵力を温存して最悪の全滅を回避することこそが最大の優先事項であると民会に訴えて演説は締めくくられます。
目次
8 チャンク
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- §376-377
全体の安全と状況に応じた決議の変更
シケリア遠征を巡るアテナイの民会において、弁者は一時の感情的満足より将来の全体の安全を優先すべきであるとし、過去の決定に固執することなく状況の変化に応じて柔軟に決議を変更することの必要性を説く。
- §378-379
本土の防衛危機とシケリアからの撤退の勧告
演説者は、アテナイ本国の深刻な防衛上の危機とシケリア遠征軍の壊滅的な窮状を対比させ、さらなる増援の派遣に固執する愚かさを批判し、撤退を促す。
- §380-381
ニキアスの手紙の意図と援軍派遣への反対
シケリア遠征の継続(援軍派遣)に反対する弁者が、アテナイの現状が包囲される危機にあることを指摘し、ニキアスの手紙の意図を分析した上で、安易な追加出兵を避けて安全な道を選ぶよう民会に訴える。
- §382-383
追加援軍の危険性とペリクレスの警告
話者は、シラクサへの追加の援軍派遣が本国の防備を極度に弱め、失敗した場合には同盟国の大規模な離脱を招くことになると警告します。また、戦争中に領土拡大を禁じたペリクレスの指針を想起させ、無謀な追加派遣に反対します。
- §384-385
遠征拡大の無謀さと撤退の必要性
話者は、本国の防衛を差し置いてシケリアやイタリアにまで勢力を拡大しようとする危険性を指摘し、本来の敵を無視した無謀な遠征に警鐘を鳴らします。さらに、シラクサに対する同盟軍の楽観論を退け、撤退を不名誉とする好戦派の意見に強く反論します。
- §386-387
撤退を不名誉とする見解への反論と先例
シケリア遠征からの撤退を不名誉とみなす議論に反論し、アテナイの過去の事例やスパルタの臨機応変な軍事行動を示しつつ、状況に応じた撤退の正当性を主張する。
- §388-389
撤退の名誉と兵力温存の合理性
著者は、撤退が恥ではなく名誉をもたらす賢明な決断であることを強調し、無謀な執着による自滅を警告する。さらに、本国に戻って兵力を温存することの合理性を説き、大遠征に伴う危険と天罰の歴史的先例を提示して市民を説得する。
- §390-391
不吉な前兆とエジプト遠征の教訓による警告
語り手は、凶兆や不吉な前兆、さらにはかつて大打撃を被ったエジプト遠征の失敗を挙げて警告し、無功での帰還を拒むよりも、全滅という最悪の破滅を回避することを優先すべきだと訴えて演説を締めくくる。
