底本
Platonis Opera, Tomus V: Tetralogia VIII. Burnet, John, editor. Oxford: Clarendon Press, 1914.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
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要旨
本作は、人間がいかにして真の知恵を獲得し賢者となり得るかという根本的な問いを探究する哲学対話篇です。アテナイの異邦人とクレイニアスを主な語り手とし、実用的な技術や部分的な知識が人間を真の賢者にはしないことをまず確認します。そして、人類を救う真の知識として「数」の重要性が提示され、それが天体の運行を通じて神から授けられたものであることが論じられます。議論は宇宙論や神学へと発展し、魂が身体に先立つことや、五つの元素、そして秩序正しく運行する天体が高い知性を持つ神的な存在であることが示されます。最終的に、天文学や数理的諸学の修得を通じて宇宙の調和を理解した選ばれた少数の知者こそが、国家の最高官職を担うべきであると結論づけられます。
目次
11 チャンク
引用方式:section
- §973-974
真の知恵の探求と諸技術の限界
クレイニアスとアテナイの異邦人は、人間がいかにして賢者になり得るか、また真の知恵とは何かという根本的な問いに取り組み、従来の技術や部分的な知識が真の知恵をもたらさないことについて議論を始める。
- §975-976
諸技術の不十分さと数の知識の導入
アテナイ人は、実用的・模倣的な諸技術(農耕、建築、狩猟、模倣、医学、操舵術など)がいずれも人間を本当の賢者にはしないことを示し、人類を愚かさから救い賢者にするための真の知識として「数」の知識を提示する。
- §977-978
天空の神による数の付与と諸徳の基礎
アテネ人は、天空(ウラノス)という神が人間に数の知識を授けたこと、そして数こそが人間の徳、幸福、および諸技術の不可欠な基礎であることを論じ、天体の運行が最も物分かりの悪い人間にさえ数を教えていると説明する。
- §979-980
天体の運行による算術の獲得と魂の先行性
アテナイ人は、月や天体の運行の観察を通じて人間が高度な算術能力を獲得したことを説明し、真の知恵とは何であるかを定義するために、まず魂が身体よりも本質的に先立つ(年長である)という宇宙論的・神学的な議論から開始することを提案します。
- §981
生き物の定義と五つの元素による生物の分類
アテナイ人は、魂と身体が合一した「生き物」の定義を与え、宇宙を構成する五つの立体元素(火、水、空気、土、アイテール)について説明する。さらに、それぞれの元素が優勢であることによって様々な生物が生じることを述べ、特に火を主とする星々の天的な類が不死または極めて長寿であることを語る。
- §982-983
天体の秩序ある運行と魂および理性の証明
アテナイ人は、天の星々が秩序正しく恒常的な運行を続けていることこそが、人間の無秩序な運動とは対照的に、それらが極めて高い知性と神的な魂を持っていることの確たる証明であると主張する。さらに、天体の巨大な容積を規則的に運行させ続ける原因は神と魂に他ならず、すべての存在を魂と身体の二つに分ける議論の正当性を強調する。
- §984-985
天体の神性と五つの生物の階層および仲介者
アテネ人は、最上の神々(星々)と人間との間に、エーテル・空気・水を媒体とする中間の生命体(ダイモーンや半神)が配置されていることを説明し、その存在は夢や神託を通じて人間に認識されると述べる。さらに、これらの神的な存在を、伝統的な国制や祭儀を尊重しつつ、正しく崇拝・認知することの重要性を強調する。
- §986
八つの天体の力と惑星への崇敬
アテネ人は、天体の重要性を説きながら、全天を巡る8つの互いに兄弟関係にある力(天体)について語り、太陽、月、恒星以外の惑星にも等しく敬意を払うべきだと主張する。さらに、太陽とほぼ同等の速度で運行する3つの天体(太陽、金星、水星)を挙げ、そのうちの1つの名が不詳である理由が最初の観測者たる異民族にあると説明する。
- §987-988
天文学の起源と宇宙を導く善き魂
アテネ人は、天文学の起源がエジプトやシリアの気候の良さにあったことを説明し、ギリシア人はそれを受け入れてより美しく発展させるべきだと語る。さらに、神は人間に知恵や数える能力を授ける善なる存在であり、すべての運動の根源である魂(特に善き魂)が宇宙を正しく導いていると論じる。
- §989-990
敬虔さを培う天性と数学的諸学問の重要性
アテネ人は、徳の中で最も偉大な敬虔さを育む最良の天性について述べ、その天性を持つ者が学ぶべき科目として天文学を挙げる。そして、その基礎となる数論、幾何学、立体幾何学の重要性を説く。
- §991-992
宇宙的調和の知見と真の知者の国家統治
数の比や平均の調和的な構造がミューズの舞踊や宇宙の秩序を形成していることを示し、天体観測と魂の優先性の理解を通じてこれを修得した少数の知者が、国家の最高官職に就くべきであると提唱する。
