デモステネス · Demosthenes
第五十七弁論 エウブリデスへの抗弁
Against Eubulides
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Demosthenes. Orationes, Vol. III. Rennie, W., editor. Oxford: Clarendon Press, 1931.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0014.tlg057.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 4 件・原文 1 件を修正
AI校閲 2026-10-12:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Claude Opus 5.5 — 日本語訳 1 件を修正
反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 6 件
最終更新:2026-10-12・変更履歴の一覧
要旨
本作は、アテネ市民権の再審査において区名簿から除外された話者エウクシテオスが、主謀者エウブリデスによる不当な告発に対して自らの市民権の正当性を主張する法廷弁論です。話者はまず、エウブリデスがハリムス区の投票で意図的に時間を引き延ばし、不正な手続きによって自分を市民名簿から排除した経緯を詳述します。自らの正当性を証明するため、話者は父方・母方双方の親族の系統を詳細に辿り、多数の親族や同族、区民の証言を提示します。特に、母が市場で働いていたことや乳母をしていたことをもって外国人や奴隷と中傷された点に対し、貧困による困窮を釈明しつつ、彼女が正当な市民であることを強く立証します。さらに、自身がかつて区長を務めた際に公金回収をめぐってエウブリデスらと対立したことが、この陰謀の動機であると暴き出します。最終的に、アテネ市民として一貫して生きてきた自らの生涯を提示し、陪審員に対して正義の判決を仰ぎます。
目次
9 チャンク
引用方式:section
- §1-8
市民権の主張とエウブリデスの誹謗への反論
告発者エウブリデスによる不当な非難に対し、被告が自らの市民権の正当性を主張するとともに、伝聞証拠の不当性や区民投票における不条理な手続きを告発する。
- §9-17
不正な投票による市民名簿抹消の経緯と血統証明の予告
原告は、被告エウブリデスが区民の集まりで意図的に時間を引き延ばし、暗闇の中で不正な投票を行って自身を市民名簿から除外した経緯を詳述する。その上で、父母双方の系譜を通じて自らのアテネ市民権を証明する準備があることを宣言する。
- §18-25
親族と各種共同体の証言による父の市民権の証明
弁論者は父のアテネ市民権を証明するため、デケレイア戦争中の捕虜経験や、男系・女系の数多くの親族、同信族、同族、区民による証言を提示し、父がアテネ社会の諸集団に深く組み込まれていたことを論じます。
- §26-33
父の公職歴と市場労働に対する誹謗への反論
エウブリデスによる不当な告発に対し、話者は亡き父がアテネ市民として公職を務め、再審査も無事通過し、親族の墓に家族を埋葬した実績を挙げます。さらに、市場で働くことが外国人であることの証明にはならず、むしろ法的に擁護されるべきものであることを示します。
- §34-40
母への身分的中傷の論駁と親族による血統の立証
被告人は、エウブリデスが母を外国人あるいは奴隷として中傷しながら何の証拠も提示していないことを指摘し、彼女がアテネの貧しい市民であること、および彼女の親族の系統を詳細に立証して証人を呼ぶ。
- §41-46
母の婚姻の経緯と話者自身の市民権の証明
話者は、母が父と正式な婚約を経て結婚した経緯や、困窮からやむを得ず乳母を務めた背景を証人の証言とともに説明する。さらに、自身が両親とも市民であり、フラトリアや区に登録されて公職を務めた正当な市民であることを主張する。
- §47-55
公職候補歴による市民権の立証とエウブリデスの陰謀
被告は、自分がアテネ市民として一貫して生活し、かつて神職の候補に選ばれるなど公に市民と認められていた事実を主張する。また、訴訟の背後にある原告エウブリデスの陰謀や、親族たちの証言が買収によるものではなく血縁に基づいていることを論証する。
- §56-62
区における敵の不正と過去の市民認定による正当性
弁論者は、自身の親族が真正であることを再度強調し、ハリムス区における敵たちの腐敗と不正、さらに過去に自分や父が公式に市民として認められた4回の機会を挙げて、自身のアテネ市民権の正当性を主張する。
- §63-70
区長時代の対立と両親双方の家系による市民権の総括
話者は、自身が区長時代に公金の取り立てを行ったことでエウブリデスらと対立し、彼らによる嫌がらせや共謀を招いたと述べる。その上で、陪審員たちの前で自身の父親と母親の家系・親族関係を一人ずつ提示し、自分が正当な市民であることを体系的に証明する。
