アイスキュロス · Aeschylus
縛られたプロメテウス
Prometheus Bound
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Aeschyli Tragoediae. Sidgwick, Arthur, editor. Oxford: Clarendon Press, 1902.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0085.tlg003.1st1K-grc1
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 8 件を修正
反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 8 件
最終更新:2026-09-21・変更履歴の一覧
要旨
本作は、人間に「火」と様々な文明の「技術(テクネー)」を授けたことで主神ゼウスの怒りを買い、世界の果てにある荒涼とした岩山に縛り付けられたチタン神族のプロメテウスを主人公とするギリシア悲劇です。劇は、プロメテウスがゼウスの使者らによって鎖に繋がれる場面から始まり、彼と同情的なオーケアノスの娘たちのコーラス(歌隊)との対話へと移ります。さらに、かつて自らを助けた神に対して頑なに和解を拒む彼のもとへ、ゼウスの愛によって牛の姿に変えられ彷徨う女性イオが訪れます。プロメテウスは彼女にこれからの過酷な運命と、いつか彼女の子孫が自らの解放者となることを予言します。結末では、ゼウスの地位を揺るがす重大な秘密の開示を求める使者ヘルメスと激しく対立し、妥協を拒んだプロメテウスは、ゼウスの放つ嵐と大地の引き裂かれる天変地異の中に沈んでいきながら、己の受ける不条理を世界に訴えます。
目次
12 チャンク
引用方式:line
- §1-85
ヘパイストスによるプロメテウスの岩山への磔刑
ゼウスの命令を受けたクラトス(権力)とヘパイストスが、プロメテウスを辺境の岩山に縛りつける場面である。ヘパイストスは同族のプロメテウスに同情しながらも、クラトスの執拗な催促に促されて彼を鎖で拘束する。
- §86-188
プロメテウスの嘆きとオーケアニデスの訪れ
クラトスたちが去った後、プロメテウスは鎖につながれた己の境遇を自然に対して嘆き、そこへ彼の苦難の噂を聞きつけたオーケアニデスのコーラスが急ぎ訪れ、彼の不屈の態度とゼウスに対する将来の切り札について対話が始まる。
- §189-275
プロメテウスが語る人間救済と処罰の経緯
プロメテウスは、かつてゼウスの王権確立を助けたにもかかわらず、人間を救い火や希望を与えたために囚われの身となった経緯を語り、コーラスにこれからの運命を聞くよう促す。
- §276-365
オーケアノスの忠告とプロメテウスによる拒絶
プロメテウスの苦難に同情したコーラスが地上に降り立ち、さらに翼のある馬に乗ったオーケアノスが到着する。オーケアノスはプロメテウスにゼウスとの和解と謙虚さを勧めるが、プロメテウスはオーケアノスの身を案じ、アトラスやテュポンの悲惨な運命を引き合いに出して、介入を拒絶する。
- §366-466
オーケアノスの退場と人間に授けた技術の回想
プロメテウスは、テュポンがエトナ火山の下で受けている過酷な処罰を語り、オーケアノスに余計な手助けをせず身を引くよう促し、オーケアノスは去っていく。その後、コーラスはプロメテウスとアトラスの運命を嘆き、プロメテウス自身は人間に理性を与え、様々な技術や知恵を教えた恩恵を振り返る。
- §467-568
人間に授けた諸技術の列挙と彷徨うイオの登場
プロメテウスは人間に授けた医療、占い、冶金などの多様な文明の恩恵をさらに語るが、コーラスは彼が自己の救済手段を持たないことを嘆く。その後、牛の姿に変えられ世界を彷徨うイオが悲痛な叫びとともに登場する。
- §569-656
イオの嘆きと苦難の発端の告白
牛の姿に変えられ、死せるアルゴスの亡霊と虻に追われ彷徨うイオが、岩に囚われたプロメテウスの前に現れ、自らの狂気と苦難を嘆く。彼女はプロメテウスに彼の正体と自身の未来を尋ね、請われるままにゼウスから愛されヘーラーの怒りを買った発端を語り始める。
- §657-746
イオの追放とプロメテウスによる放浪の予言
イオは夢の告白に続き、父イーナコスがデルポイなどの神託に従って自分を家から追放した顛末を語る。その後プロメテウスは、彼女がアジアに至るまでに経由する東方・北方の苦難に満ちた放浪の旅路を予言し始める。
- §747-826
ゼウス失脚の予告とイオの子孫による解放
苦痛に絶望するイオに対し、プロメテウスはゼウスがいつか自らの婚姻によって失脚すること、そしてその解放者がイオの13代目の子孫であることを予告する。さらにプロメテウスは、イオに今後待ち受ける過酷な東方・南方への旅路と恐るべき怪物の数々について語り始める。
- §827-916
イオの子孫の運命と狂乱による退場
プロメテウスは、イオが既に巡ったドードーネやイオニア海などの旅路を明かして自らの知性の確かさを証明し、さらに彼女がナイルに達した後に産むエパポスの血統(ダナオスの娘たち)の運命と、そこから生まれる自らの解放者(ヘーラクレース)について予言する。その後、イオは再び狂乱の発作に襲われて去り、コーラスは神々の愛の恐ろしさと身分相応の結婚の重要性を歌い、プロメテウスはゼウスの失脚の運命を改めて強調する。
- §917-997
ヘルメスの到来と秘密の開示を巡る応酬
プロメテウスはゼウスの失脚の予言を確信して譲らず、そこにゼウスの使者ヘルメスが訪れて秘密の開示を要求するが、プロメテウスは傲然たる態度で激しい応酬を繰り広げ、要求を一切拒絶する。
- §998-1093
ヘルメスの宣告と天変地異の中の結末
プロメテウスとヘルメスの決裂が決定的となり、ヘルメスは屈服しないプロメテウスに訪れるさらなる過酷な拷問を告げる。コーラスはプロメテウスと運命を共にすることを選び、最後はゼウスの放つ天変地異の嵐の中で、プロメテウスが己の受ける不条理を訴えて劇が幕を閉じる。
