ルキアノス · Lucian
メニッポスまたは死霊の教え
Menippus or The Descent into Hades
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Lucian, Vol. 4. Harmon, Austin Morris, editor. London: William Heinemann, Ltd.; Cambridge, MA: Harvard University Press, 1925 (printing).
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
Humanitext がクローン・再構成し、継続的に更新しています。
要旨
本作は、地上の不道徳や哲学者たちの言行不一致に絶望した主人公メニッポスが、真に正しい生き方を求めて冥界(ハデス)へと旅立つ様子を描いた風刺的な対話篇である。奇妙な変装をして冥界から戻ったメニッポスが、地上で再会した友人に自らの旅の顛末を語る形式で進められる。彼はバビロンの魔術師の案内で冥界へ下り、死者たちが生前の罪を裁かれる様子や、かつての権力者たちが等しく骸骨となって惨めに暮らす光景を目撃する。人間の生を配役の決まった演劇に例え、富や名声の虚しさを悟った彼は、最終的に予言者テイレイシアスから「凡人として現在を楽しんで生きるのが最善である」という教えを得る。そして、地上の富漢たちに対する冥界の厳しい決議を胸に、再び人間世界へと帰還を果たす。
目次
7 チャンク
引用方式:section
- §1-2
冥界からの帰還と友人との再会
メニッポスが冥界から奇妙な服装で地上に戻り、友人と再会する。地上の不道徳ぶりを嘆き、冥界で富者に対して可決された恐るべき新たな決議を暴露しようとするが、友人は本題に入る前に冥界に下った経緯を尋ねる。
- §3-5
冥界下降の動機と哲学者への失望
メニッポスは冥界へ下ることを決意した理由として、神話と法律の矛盾に苦しみ、その解決を求めた哲学者たちの議論や行動があまりにも不一致で理不尽であったことを語る。
- §6-8
魔術師ミトロバルザネスによる冥界行きの準備
哲学者たちに失望したメニッポスは、冥界に下ってテイレシアスに正しい生き方を尋ねるため、バビロンの魔術師ミトロバルザネスに道案内を依頼する。魔術師はメニッポスに様々な清めの儀式を施し、冥界の番兵を欺くためにギリシア神話の英雄の姿へと変装させる。
- §9-11
冥界への下降とミノスの法廷での審判
メニッポスとミトロバルザネスは儀式を行って冥界へ下り、カロンの渡し船で湖を渡った後、ミノスの裁判所で死者たちの生前の罪が「自らの影」によって告発される様子を目撃する。
- §12-15
権力者たちへの懲罰と骨となった死者の平等
メニッポスは、ミノスがかつての権力者たちの不信心を容赦なく裁く様子や、アリスティッポスの介入によるディオニュシオスの部分的な許しについて語る。その後、地獄の凄惨な拷問地帯を経てアケロンの平原に至り、そこでは生前の身分や美醜の区別をすべて失い骸骨となった死者たちが一様に横たわる光景を目撃する。
- §16-17
人生の仮装行列の比喩と冥界での諸王の惨状
メニッポスは人間の生を運命の女神が配役を決める演劇の行列に例え、死後には誰もが等しく骸骨になることを説明する。また、地上で豪華な墓を持っていたマウソロスや、かつての偉大な王たちが冥界で惨めな暮らしを送っている様子を語る。
- §18-22
富者への決議とテイレイシアスの助言と帰還
メニッポスは冥界でのソクラテスやディオゲネスの様子を語り、生前強欲だった富漢たちをロバに転生させる民会の決議を明かす。さらに予言者テイレイシアスから「凡人として現在を楽しんで生きるのが最善」との教えを受け、魔術師の案内で地上へと帰還する。
