ルキアノス · Lucian
無学なくせにやたらと本を買い込む輩に
The Ignorant Book Collector
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底本
Lucian, Vol. 3. Harmon, Austin Morris, editor. London: William Heinemann, Ltd.; Cambridge, MA: Harvard University Press, 1921.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
Humanitext がクローン・再構成し、継続的に更新しています。
要旨
本作は、教養がないにもかかわらず見栄や虚栄心から大量の書物を買い集める男を、語り手が痛烈に批判する風刺的な散文作品です。冒頭では、書物を所有することと真の教養(パイデイア)を身につけることは無関係であるとし、楽器や武具、贅沢な靴などの具体的な比喩を用いて、男の行動の滑稽さを論理的に証明します。中盤では、実力がないのに高価な道具や歴史的遺物に頼って失敗した人々の滑稽な逸話が次々と紹介され、中身を理解せずに本を集めることの無意味さが強調されます。さらに終盤に向けて、男が本を集める裏の目的が皇帝の歓心を買うためであることを見抜き、男のふしだらな私生活や虚栄心を容赦なく暴露します。最後は、飼い葉桶の犬の比喩などを交え、本を買い集めるのをやめて自らの身の丈に合った生活を送るべきだと厳しく忠告して締めくくられます。
目次
7 チャンク
引用方式:section
- §1-4
書物の所有と無教養の証明
語り手は、教養がないにもかかわらず大量の書物を買い集める男を激しく非難し、本をただ所有することと教養を身につけることは無関係であることを様々な例えや論理を交えて証明する。
- §5-7
道具の所有と無能の対比および譬え
著者は書物の所有と技術の不所持の対比を複数の具体例(楽器や武具など)から説明し、義足に贅沢な靴を履かせる富豪の滑稽さに準えて、教養がない者の書物収集を非難する。また、『イリアス』のテルシテスがアキレウスの甲冑を纏う譬えを挙げ、収集家が美しい本をしどろもどろに朗読する姿の醜悪さを暴き出す。
- §8-11
エウアンゲロスの失敗とオルペウスの竪琴
豪華な衣装と楽器でピュティア祭の音楽競技に臨み、実力のなさから惨敗して失笑を買ったエウアンゲロスの滑稽な話、およびレスボス島に流れ着いたオルペウスの首と竪琴の伝説を語る。
- §12-17
名人の遺物購入と無意味な書物収集
著者は、オルペウスの竪琴やエピクテトスのランプ、アイスキュロスの書写板などの遺物を大金で入手したものの、その才能や知恵を全く継承できなかった愚者たちの歴史的先例を列挙し、外見的な書物の収集がいかに無意味であるかを諭す。
- §18-21
無教養な読書の恥辱と取り巻きの甘言
本チャンクでは、書物を持っていても中身を理解していない無教養な買い手が受けるであろう恥辱を説き、さらに取り巻きの甘言に乗って自らの容姿や教養を過信する愚かさを、ピュロス王の逸話を交えて皮肉っている。
- §22-25
皇帝への諂いと無駄な浪費への忠告
著者は、相手が本を買い集める裏の目的が賢明な皇帝の歓心を買うためであると見抜いた上で、皇帝は彼のふしだらな私生活の噂を全て把握していると警告する。そして、無駄な蔵書の購入や身の丈に合わない生活をやめ、自己の行いを慎むべきだと忠告する。
- §26-30
書物購入の中止勧告と飼い葉桶の犬の比喩
語り手は、相手に対して書物の収集をやめ、本来の不道徳な生活にのみ専念すべきだと忠告する。さらに、贅沢な道具で無能さを隠そうとする医師や理髪師、あるいは飼い葉桶の犬の比喩を用いて、相手の無知と虚栄心を鋭く批判している。
