底本
Platonis Opera Tomus IV: Tetralogia VIII. Burnet, John, editor. Oxford: Clarendon Press, 1905.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
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要旨
本作は、ソクラテスの対話とその限界をめぐり、クレイトポンとソクラテスの間で交わされる対話を扱った作品です。物語は、クレイトポンがソクラテスに対して抱いている不満と賞賛を直接本人に語りかける形式で進行します。クレイトポンはまず、人々を無知から目覚めさせ魂のケアへと導くソクラテスの卓越した勧勉(プロトレプティコス)を高く評価します。しかし、美徳や正義の具体的な獲得方法に話が及ぶと、ソクラテスの弟子たちからは明確な答えが得られず、正義がもたらす「和合」などの具体的な成果についての議論も行き詰まったと振り返ります。最終的にクレイトポンは、ソクラテスが人々を徳へと促すことには長けているものの、自ら具体的な正義を教えることはないと批判し、これ以上の進展がないならトラシュマコスなどの他者のもとへ去ることを警告して問いかけを残します。
目次
4 チャンク
引用方式:section
- §406-407
ソクラテスへの賞賛と徳への勧奨の回想
アリストニュモスの子クレイトポンとソクラテスの対話の始まり。クレイトポンは、ソクラテスの対話に対する自分の発言への誤解を解くため、かつてソクラテスが人々の教育や富への盲従を痛烈に批判し、魂のケアを求めて語った言葉にどれほど感銘を受けたかを回想する。
- §408
徳の勧めを超えた正義の習得への問い
クレイトポンは、魂を正しく用いる術(政治術や正義)を欠く者は他者に従うべきだというソクラテスの主張を称賛しつつ、その徳の勧め(勧勉)の段階から一歩進んで、実際にどのように正義を学ぶべきかについてソクラテスの弟子たちに問いかけた経緯を語る。
- §409
正義の固有の成果と和合をめぐる問い
クレイトポンは、正義が魂の徳に関する技術であるとするソクラテスの対話者たちに対し、その技術がもたらす固有の成果が何であるかを問い質した。同調者たちは「和合」をその成果として挙げるが、それが知識なのか意見なのかという問いに窮していく。
- §410
ソクラテスの限界への批判と他者への転向
クレイトポンは、ソクラテスが美徳への勧告に終始し、美徳や正義の具体的な知識を教えてくれないと批判し、これ以上進展がないならトラシュマコスらのもとに去ると思いをぶつける。
