底本
Galen. Claudii Galeni Opera Omnia, Volume 7. Kühn, Karl Gottlob, editor. Leipzig: Knobloch, 1824.
原文データ出典
A Digital Corpus for Graeco-Arabic Studies · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0057.tlg042.1st1K-grc1
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、古代ギリシアの医学者ガレノスによる、身体の各種疾患を引き起こす原因を体系的に探求した医学・自然哲学書です。著者は、物質の連続性と変化という仮説に基づき、疾病の原因を単純な組織から複雑な器官へと順を追って究明していきます。まず、熱・冷・乾・湿という四つの性質の不調和による単純な疾患の原因を、それぞれの発生機序(動脈の閉塞や先天熱の窒息など)を交えて詳しく分析します。続いて、これら複数の性質が絡み合う複合的な疾患や、体液の不調和による炎症、腫瘍の発生メカニズムについて論じます。さらに、器官の疾病として、身体の形状の歪み、数や大きさ、位置の異常、そして組織の「連続性の離解」(骨折や裂傷)といった構造的・解剖学的な異常の原因を網羅的に分類・解説します。最後に、疾患の原因に関する全体の議論を総括し、次に随伴症状を検討することを予告して本書を締めくくります。
目次
12 チャンク
引用方式:chapter
- §1
同質組織における単純および複合の疾患原因
著者は別の書物で疾病の分類を示したことに触れ、本書では単純な組織から器官へと原因を究明する方針を提示し、物質の連続性と変化を肯定する自身の立場(第一の仮説)に基づいて、四つの単純な疾病原因と四つの複合的な疾病原因(熱・冷・乾・湿の不調和)について論じ始める。
- §2#1
過度な熱と悪調合を引き起こす五つの要因
本チャンクでは、過度な熱による悪調合の疾患を引き起こす五つの要因(運動、腐敗、接触、閉塞、食物)を提示し、それぞれの原理が動物の身体においてどのように疲労や発熱などの病態として現れるかを詳細に解説している。
- §2#2
発熱の発生条件と先行原因および発端原因の区別
著者は、特定の原因が常に発熱を引き起こすわけではない理由を、原因の量や期間、身体の感受性の違いに関わるものとして火や刃物の比喩を用いて説明し、「先行原因」と「発端原因」の区別を定義する。
- §3#1
冷たい疾患の原因と先天熱の窒息機序
冷たい疾患の原因(寒冷環境、食事の不適切な量・質、閉塞と希薄化、不活動と過度な運動)を火の消滅のアナロジーを通じて論じ、ヒポクラテスを引用しつつ動脈の閉塞が先天熱を窒息させマビを引き起こす機序を説明する。
- §3#2
呼吸と脈動による熱の維持と閉塞による病態
動脈と呼吸の脈動が生まれつきの熱を維持する役割を論じ、身体が閉塞した際、老廃物の性質(煤煙か蒸気か)や生活習慣によって多血症や発熱などの異なる病態が生じる仕組みを説明する。さらに、身体の各部位でも同様の閉塞や緊縛によって、中枢からの熱や力の供給が絶たれ、局所的な壊死や冷却が生じることを示す。
- §4-5
乾燥した疾患と湿った疾患の原因
第4章では、労作や発散の過多、乾燥した食物、乾燥した気候、特定の水質での水浴、乾燥を促す薬物が身体を乾燥させ、乾燥した疾患を引き起こす原因となることが説明される。第5章では、逆に水分に富む食物や生活様式、温水浴、怠惰、湿潤な気候などが湿った疾患を引き起こすことが述べられる。
- §6#1
複合的な疾患の原因と体液の混合による病態
複合的な疾患の原因が複数の性質の組み合わせによるものであることを説明し、体液の混合による各種の炎症性疾患や腫瘍性疾患を分類した上で、異常な体液も本質的には四体液のいずれかに属することを示す。
- §6#2
余剰物の退避と部位の強弱による疾患の発生
自然が四つの生理的能力と各部位の強度差に基づき、身体の不潔な余剰物を最も弱い部位(皮膚など)へと退避させることによって、前述の様々な疾患が生じるメカニズムを解説する。
- §7#1
器官の疾患と形状の歪みを生じる諸原因
著者(ガレノス)は器官(道具的部位)の疾病について論じ、その第一として形状の歪み(畸形)を取り上げる。胎内での形成異常、出生時やおむつの当て方、乳母の不適切な養育や過度な緊縛、骨折後の不適切な治療、さらには象皮病や消耗症といった疾患が、いかに身体の形状を本質的または随伴的に歪めるかを詳しく説明する。
- §7#2
肢体の変形と管腔や表面の異常の原因
麻痺、痙攣、各種の炎症などが引き起こす肢体の不自然な変形(一方向への牽引)のメカニズムを説明し、次いで体内の空洞や通路が損なわれる原因(癒着や狭窄など)と、組織が不自然に粗くなったり滑らかになったりする原因について論じている。
- §8-10
部位の数と大きさと位置の異常の原因
数の異常に伴う疾患(部位の消失と過剰な新生、ガングリオンなどの余剰蓄積)と大きさの異常、および位置の異常(関節の脱臼や各種のヘルニア、臓器の脱出など)の原因について論じている。
- §11
連続性の離解の原因と分類および議論の結び
同質的な(単純な)部位と複合的な部位の双方に共通する疾患である「連続性の離解」(骨折、骨疽、挫傷、陥没、裂傷、断裂など)の発生原因と、それぞれの特徴・呼称を分析し、疾患の原因に関する全体の議論を締めくくり、次に随伴症状の相違を論じることを予告する。
