デモステネス · Demosthenes
第三十七弁論 パンタイネトスへの抗弁
Against Pantaenetus
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底本
Demosthenes. Orationes, Vol. II, Part 2. Rennie, W., editor. Oxford: Clarendon Press, 1921.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
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要旨
デモステネスの法廷弁論に数えられる本作は、アテナイのラウレイオン鉱山をめぐる金銭融資と担保財産の売却を背景とした、被告ニコブロスによる特別抗弁(パラグラペー)である。原告パンタイネトスが提起した訴訟に対し、被告はすでに当事者間で法的な免責と和解(アパッラゲー)が成立していることを盾に、この裁判自体の不適法性を主張する。弁論の中でニコブロスは、複雑な担保契約や売却手続きの実態を解き明かし、原告による暴行や鉱山法違反の告発がいかに虚偽で管轄違いであるかを理路整然と論証する。さらに、原告がかつて別の裁判でも欺瞞的な手段で勝訴した事実や、奴隷の拷問要求をめぐる卑劣な駆け引きを暴露し、原告の道徳等への信用を失墜させようと試みる。自身の無愛想な態度に対する陪審員の偏見を警戒しつつも、被告は最後に、一度合意された和解の不可逆的な法的重みを強調し、不当な再訴訟を退けるよう訴えかけている。
目次
8 チャンク
引用方式:section
- §1-7
和解と免責に基づく特別抗弁の提出と経緯
被告が、原告パンタイネトスとの間にすでに免責と和解が成立していることを根拠に、訴訟の不適法を訴える特別抗弁を提出し、事の経緯である貸付けや担保、賃貸契約、そして留守中の紛争について語り始める。
- §8-14
担保財産の売却をめぐる債権者間の交渉
帰国した原告が、パンタイネトスとエウエルゴスの紛争により自身の担保権が危機に瀕していることを知り、他の債権者たちとの間で担保財産の売却をめぐる複雑な交渉に巻き込まれていく経緯を説明する。
- §15-21
請求免除の合意と既解決事案の訴訟禁止
原告がかつて合意の上で被告をすべての請求から解放し、被告がその条件で第三者に売り主として財産を売却した経緯を述べ、解放済みの事案に対する再告訴を禁じる法律の絶対性を主張する。
- §22-28
パンタイネトスの訴状各条項に対する逐条的反論
ニコブロスは、パンタイネトスが提起した訴状の各条項を引用し、自身が当時外遊していた事実や状況の矛盾を挙げて、それらの告発がすべて虚偽であることを順に論証します。
- §29-36
財産売却の正当性と鉱山訴訟における管轄違反
ニコブロスは、原告パンタイネトスが協定違反を主張して作業場と奴隷の売却を非難しているのが虚偽であることを取引の実態を挙げて暴き、また訴状に並べられた暴行や侮辱などの雑多な告発は管轄外であり、鉱山訴訟の要件も満たさないため不適法であると弁駁する。
- §37-44
鉱山法の適用除外と奴隷拷問の挑戦を巡る背信
原告パンタイネトスによる鉱山訴訟の不当性を、融資関係が鉱山法の対象外である点を挙げて論じる。また、裁判直前に原告が仕掛けた奴隷の拷問要求(挑戦状)を巡る卑劣な駆け引きと、約束の反故について暴露する。
- §45-52
エウエルゴス訴訟の不正勝訴と奴隷責任追及の矛盾
ニコブロスは、パンタイネトスが以前エウエルゴスを相手に虚偽の事実と手続きの悪用によって不当な勝訴を得た経緯を明かし、今回の自分に対する訴訟も同様の言説の欺瞞に基づいていると論じる。さらに、奴隷の行為に対する責任追究の矛盾を指摘し、彼が偏見に依拠して勝訴を目論んでいることを暴露する。
- §53-60
ニコブロスの人柄の弁明と事前の免責の法的効力
ニコブロスは、自分が悪徳な金貸しとは異なること、そして己の不愛想な歩き方や態度を弁明しつつ、原告がかつて自らを法的に免責・和解させた事実を挙げ、免責の不可逆的な法的重みを強調する。
