底本
Isocrates, Vol. 3. Van Hook, Larue, editor. Cambridge, MA, Harvard University Press; London, William Heinemann Ltd., 1945 (printing).
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
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要旨
本作は、亡き親友トラシュロコスの遺言に基づき、語り手が遺産相続の正当性を主張する法廷弁論です。舞台はアイギナ島であり、他国からの原告の女性が相続権を求めて異議を申し立てたことに対し、陪審員へ語りかける形式をとります。語り手はまず、トラシュロコスの家族と自身の長年にわたる固い友情の歴史を提示します。続いて、亡命の混乱期や病床における献身的な看病など、自身がいかに自己犠牲を払って親友の家族を支えてきたかを強調し、親族でありながら彼らを見放した原告側の不誠実さと対比させます。さらに、この遺言が地域の法律に完全に合致していることを論証します。最終的に、友情と法律の正当性を訴え、陪審員に公正な判断を求めて弁論を締めくくります。
目次
6 チャンク
引用方式:section
- §1-10
相続の正当性とトラシュロコスとの友情の由来
語り手は、亡き親友トラシュロコスの遺言に基づく遺産相続をめぐる不当な異議申し立てに対し、裁判員にその正当性を訴える。導入として、トラシュロコスの父親の代からの家族史と、固い絆で結ばれた自身との友情の歴史を語り始める。
- §11-19
トラシュロコスの看病と適法な養子縁組の経緯
話者は、病床のトラシュロコスを自ら献身的に看病して養子に迎えられた経緯、および遺言がアイギナやシプノスの法律に完全に合致していることを説明します。また、原告の女性がトラシュロコスの家族と敵対していたのに対し、自分は家族の命や財産を救うために多大な危険を冒した功績を強調します。
- §20-26
亡命先での献身とトラシュロコスの最期の看病
語り手は、亡命の混乱の中でトラシュロコスの家族と財産を救出し、彼の懇願に従ってトロイゼンへ赴いた結果、自らの母と妹を失う悲劇に見舞われたことを語る。さらに、トラシュロコスの闘病生活において、親族や奴隷が見放す中で、自分が最期まで献身的に看病し続けたことを主張する。
- §27-34
自らの過酷な看護と対立親族の冷淡さの対比
語り手は、トラシュロコスの闘病生活における自らの過酷な看病と、それによる自身の健康被害や家族の死を語る。さらに、敵対する女性親族の不誠実な態度と、自らの貢献を対比させ、トラシュロコスの遺言の正当性を主張する。
- §35-43
話者の家柄と戦功および被相続人の遺志の尊重
話者は自らの優れた家柄を主張し、トラシュロコスの弟ソーポリスを戦場で救った恩義を語る。また、遺産の相続においては、遠い過去の死者(父親)ではなく、最近亡くなった者(トラシュロコス)の遺志こそが尊重されるべきだと論じる。
- §44-51
養子縁組の正当性と正義に基づく判決の要求
トラシュロスの意向や彼自身の財産獲得の経緯を振り返り、遺言による相続制度の正当性を強調する。最後に高潔な友情、恩義、承認された遺言、法律の支持を列挙し、陪審員に公正な判決を求めて弁論を締めくくる。
