底本
Plutarch. Plutarchi Chaeronensis Moralia, Vol. IΙI. Vernardakēs, Grēgorios N., editor. Leipzig: Teubner, 1891.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0007.tlg104.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本書は、人間の善良な性質から生じながらも、人生に多大な害を及ぼす「過度な羞恥心(気おくれ:デュソーピア)」という情念を取り上げ、その弊害と克服法を論じた哲学・倫理的エッセイです。著者プルタルコスは、この気おくれが裁判の歪みや他者への屈従、さらには国家や個人の破滅といった悲劇を引き起こす危険な病であると警告します。この病を治療するために、著者は宴席での乾杯やサイコロの誘いを断るといった、日常の些細な事柄から拒絶の訓練を始めることを提案します。さらに、プラトンやカト、テミストクレスといった古代の賢人たちの豊富な逸話や鋭い切り返しを引き合いに出し、不当な要求や追従をきっぱりと退けることの重要性を説きます。最終的に、他者からの不当な非難を恐れて悪に屈するよりも、正しく断って恨まれる方がはるかに勝ることを示し、後悔の記憶を通じてこの弱さを克服するよう読者に促しています。
目次
7 チャンク
引用方式:section
- §1-2
気おくれの性質と理性による治療の必要性
プルタルコスは、過度な羞恥心(気おくれ)が良い素質から生じるものでありながらも害をなす情念であると定義し、適切な理性を適用して慎み深さを残しつつそれを治療する必要性を説く。
- §3-4
気おくれがもたらす害悪と歴史上の悲劇
気おくれが害悪をなす情念であることを説明し、裁判の歪みや他者への屈従、さらには歴史上の暗殺や破滅といった数々の具体的な弊害や悲劇を提示して警告する。
- §5-7
気おくれを克服するための日常的な訓練と拒絶の重要性
気おくれという病を克服するために、宴席での乾杯やサイコロの誘いを断るといった日常の小さなことから訓練を始めるべきだと説き、不当な要求や追従を退けることの重要性を歴史的逸話を用いて論じる。
- §8-10
重大な選択を誤らせる気おくれと最善を選ぶ訓練
気おくれが人生の重大な選択において理性的判断を狂わせる危険性を指摘し、日常の些細な選択から最善のものを選ぶ訓練を行うべきであると主張する。また、断る勇気を持たないことが嘘や法的な紛争に繋がることを、古代の賢人たちの逸話や詩句を引用して警告する。
- §11-14
不当な要求の断り方と推薦状の過ち
プラトンやクセノクラテスの推薦状の例から気おくれ(面子)に流されることの弊害を論じ、不当な要求をゼノンの逸話や数々の著名人の鋭い切り返しによっていかに断るべきかを示す。
- §15-17
権力者の不当な要求を拒絶した賢人たちと自己欺瞞
カト、アゲシラオス、テミストクレスなどの賢人の例を引き、高名な者の不当な要求にも屈しない態度を示す。些細な文法的誤りを恥じながら重大な不法を平然と求める者の矛盾を暴き、自称「美徳の追求者」が邪悪な情念に流されることの愚かしさを戒める。
- §18-19
称賛と非難への脆弱さと後悔の記憶による克服
気おくれの弱さを暑さ寒さに弱い体質に例え、称賛や非難に容易に動揺する人々に対し、不当な要求を拒んで恨まれる方が不当に従って正しく非難されるよりましであることを論じる。お世辞にのせられなかった古代の賢者たちの逸話を挙げ、後悔の記憶を留めることでこの弱さを克服するよう促す。
