- 底本
- Seneca, Lucius Annaeus. Tragoediae. Peiper, Rudolf; Richter, Gustav, editors. Leipzig: Teubner, 1921.
- 翻訳
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- 言語
- 日本語 · English · 简体中文 · 한국어
- CTS URN
- urn:cts:latinLit:phi1017.phi005.humanitext-lat2:110-196
- 出力
- Humanitext Reader · reader.humanitext.ai · 2026-10-27
フェドラは自らの情熱を母パシパエの宿命的な愛になぞらえて嘆き、乳母はテセウスや神々の目を恐れて罪を避けるよう説得するが、フェドラは愛の神の抗いがたい力を訴え、乳母はそれを欲望の自己弁護であると退ける。
iuvat excitatas consequi cursu feras
追い立てられた野獣を走って追いかけ、
et rigida molli gaesa iaculari manu.
頑丈な投げ槍を柔らかな手で投げることが心地よい。
Quo tendis. anime? quid furens saltus amas?
私の魂よ、お前はどこへ向かうのか?なぜ狂おしく森を愛するのか?
fatale miserae matris agnosco malum:
哀れな母の、宿命的な災いを私は自覚している。
peccare noster novit in silvis amor.
私たちの愛は森の中で罪を犯すことを知っているのだ。
genetrix, tui me miseret: infando malo1
母上よ、私はあなたを哀れに思う。言い難い災いに
correpta pecoris efferum saevi ducem
襲われて、野蛮な群れの荒々しい指導者を、
audax amasti; torvus, impatiens iugi
勇敢にも愛した。鋭い眼差しをし、軛に耐えかねる
adulter ille, ductor indomiti gregis—
あの姦通者、手懐けられぬ群れの指導者、
sed amabat aliquid, quis meas miserae deus
だが、あの人は何かを愛していた。哀れな私のこの熱情を、いかなる神が、
aut quis iuvare Daedalus flammas queat?
あるいはまたいかなるダイダロスが、助けることができようか。
non si ipse remeet, arte Mopsopia potens
アッティカの技術に長け、私たちの怪物を
qui nostra caeca monstra conclusit domo,
暗い家(迷宮)に閉じ込んだ彼自身が戻ってきたとしても、
promittat ullam casibus nostris opem.
私たちの苦境に何らかの救いを約束することはできないだろう。
stirpem perosa2 Solis invisi Venus
憎い太陽の末裔を嫌うウェヌスは、
per nos catenas vindicat Martis sui
私たちを通じて、自らの、そして愛するマルスの鎖の復讐を果たし、
suasque, probris omne Phoebeum genus
自らの鎖をも。恥ずべき不名誉によってポイボスの一族すべてに
onerat nefandis: nulla Minois levi
重荷を課している。ミノスの娘で、軽い愛を
defuncta amore est, iungitur semper nefas.
終えた者はいない。常に罪悪が結びついているのだ。
Thesea coniunx, clara progenies Iovis,
テセウスの妻よ、ユーピテルの輝かしい子孫よ、
nefanda casto pectore exturba ocius,
清らかな胸から、口にするのもおぞましい罪悪を速やかに追い出せ。
extingue flammas neve te dirae spei
火を消し、恐るべき希望に
praebe obsequentem: quisquis in primo obstitit
身を委ねるな。最初に立ちふさがり、
pepulitque amorem, tutus ac victor fuit;
愛を退けた者は、安全であり勝利者であった。
qui blandiendo dulce nutrivit malum,
おもねることによって甘い災いを育んだ者は、
sero recusat ferre quod subiit iugum.
自らが甘んじて受け入れた軛を負うことを、後になって拒む。
Nec me fugit,3 quam durus et veri insolens
私にも分かっていないわけではない、王家の傲慢さが、いかに頑なで真実を受け入れず、
ad recta flecti regius nolit tumor,
正しい道へと曲げられるのを嫌うか。
quemcumque dederit exitum casus feram:
運命がどのような結末をもたらそうとも、私はそれを耐え忍ぼう。
fortem facit vicina libertas senem.
間近に迫った自由が、老人を強くするのだ。
Honesta primum est velle nec labi via.
第一に大切なのは、正しいことを望み、道を踏み外さないこと。
pudor est secundus nosse peccandi modum,
第二の節操は、罪を犯すにしてもその限界を知ることだ。
quo, misera, pergis? quid domum infamem aggravas
哀れな人よ、お前はどこへ進むのか?なぜ不名誉な家系をさらに損ない、
superasque matrem? maius est monstro nefas:
母を凌駕しようとするのか?その罪悪は怪物よりも大きい。
nam monstra fato, moribus scelera imputes,4
なぜなら、怪物は宿命のせいに、罪過は道徳のせいに帰すべきだからだ。
si, quod maritus supera non cernit loca,
もし、夫が地上の世界を見ていないからといって、
tutum esse facinus credis et vacuum metu,
その犯行が安全で、恐れるに足りないと思うなら、
erras; teneri crede Lethaeo abditum
お前は誤っている。テセウスがレテの深淵に隠され、
Thesea profundo et ferre perpetuam Styga:
永劫にステュクスに耐えているのだと信じるがよい。
quid ille, lato maria qui regno premit
では、広い王国によって海を圧し、
populisque reddit iura centeni», pater?
百の部族に法を与えるお前の父はどうなのか?
latere tantum facinus occultum sinet?
これほど甚だしい犯行が隠されたまま放置されるのを、あの人が許すだろうか?
sagax parentum est cura. credamus tamen
親の配慮は鋭いものだ。しかし、私たちが計略と欺瞞によって、
astu doloque tegere nos tantum nefas:
これほど大きな罪悪を覆い隠すことができると信じてみよう。
quid ille rebus lumen infundens suum
では、万物にその光を注ぐ、
matris parens? quid ille qui mundum quatit
母の親はどうなのか?きらめく稲妻を
vibrans corusca fulmen Aetnaeum manu,
その手で振りかざして世界を震わせる、エトナの雷を持つ者、
sator deorum? credis hoc posse effici,
神々の生みの親はどうなのか?すべてを見通す
inter videntes omnia ut lateas avos?
祖父たちの間で、お前が隠れおおせると信じるのか?
sed ut5 secundus numinum abscondat favor
だが、仮に神々の慈悲深い好意が、
coitus nefandos utque contingat stupro
その忌まわしい密通を隠し、大いなる罪に対しては
negata magnis sceleribus semper fides:
常に拒まれるはずの秘密の厳守が、不義密通に与えられるとしても、
quid poena praesens, conscius mentis pavor
目前にある罰、すなわち自らの精神が自覚している怯えや、
animusque culpa plenus et semet timens?
罪過に満ちて自分自身を恐れる魂はどうなのか?
scelus aliqua tutum, nulla securum tulit.
罪悪は、ある者にとって安全であったことはあっても、決して安心をもたらしはしなかった。
compesce amoris impii flammas, precor,
お願いだから、不信心な愛の炎を抑えよ、
nefasque quod non ulla tellus barbara
そして、いかなる蛮族の地も
commisit umquam, non vagi campis Getae
かつて犯さなかったほどの、平原を彷徨うゲタエ人も、
nec inhospitalis Taurus aut sparsus Scythes;
歓迎せぬタウロス(山脈)の人々も、散在するスキタイ人も犯さなかった罪悪を。
expelle facinus mente castifica horridum
お前の心を清めて、おぞましい犯行を追い出し、
memorque matris metue concubitus novos.
母を念頭に置いて、新たな交わりを恐れよ。
miscere thalamos patris et gnati apparas
お前は父と息子の寝所を混ぜ合わせ、
uteroque prolem capere confusam impio?
不敬な胎内に、混濁した子を宿すつもりなのか?
perge et nefandis verte naturam ignibus—
さあ進んで、不名誉な情火で自然を覆す決意をするがよい。
cur monstra cessant? aula cur fratris vacat?
なぜ怪物は絶えているのか?なぜ兄弟の宮殿は空っぽなのか?
prodigia totiens orbis insueta audiet,
世界は、これまで聞いたこともない驚異を何度も聞き、
natura totiens legibus cedet suis,
自然はそのたびにみずからの法則を譲り渡すのだろうか、
quotiens amabit Cressa?
クレータの女が愛するたびに?
Quae memoras scio
お前が語ることは、
vera esse, nutrix; sed furor cogit sequi
真実であると知っている、乳母よ。しかし、狂気が私に
peiora, vadit animus in praeceps sciens
より悪い道を選ぶよう強いる。私の心は知っていながら破滅へと進み、
remeatque frustra sana consilia appetens.
健全な忠告を求めようとしては無駄に戻ってくるのだ。
sic cum gravatam navita adversa ratem
それはちょうど、船乗りが逆巻く波に抗って
propellit unda, cedit in vanum labor
重い船を押し進めようとしても、その労苦は無駄に終わり、
et victa prono puppis aufertur vado.
押し流す流れに負けた船首が連れ去られていくようなもの。
quid ratio possit? vicit ac regnat furor
理性に何ができようか?狂気が勝利し、支配しており、
potensque tota mente dominatur deus.
強力な神が心全体を従わせているのだ。
hic volucer omni pollet in terra impotens
この翼ある自制なき神は、すべての土地で力を振るい、
ipsumque flammis torret indomitis Iovem;
ユーピテル自身をも、手懐けられぬ情火で焼き焦がす。
Gradivus istas belliger sensit faces,
戦を好むグラディーウスも、あの火を身に受け、
opifex trisulci fulminis sensit deus,
三つ又の稲妻を作る神も身に受けた。
et qui furentis semper Aetnaeis iugis
そして、エトナの山々の絶えず燃え盛る
versat caminos igne tam parvo calet;
炉を回している者も、これほど小さな火によって温められている。
ipsumque Phoebum, tela qui nervo regit,
そしてポイボス自身をさえ、弦によって矢を支配する者を、
figit sagitta certior missa puer
あの少年は、より確実に放たれた矢で射抜く。
volitatque caelo pariter et terris gravis.
少年は空を、また同じように地上を、重苦しく飛び回る。
Deum esse amorem turpis et vitio favens
愛が神であるというのは、恥ずべき、また悪徳を庇い立てする
finxit libido, quoque liberior foret
情欲が作り出した虚構だ。自らがより奔放であらんがために、
- 115infando malo
「言い難い災いによって」。形容詞 infando と名詞 malo からなる奪格句で、直後の完了分詞 correpta(「襲われて、奪われて」)を修飾する「原因」または「手段」の奪格である。
- 124perosa
「ひどく憎んで」。動詞 perodi(「ひどく憎む」)の完了分詞。形式上は受動態であるが、この動詞は異態動詞のように能動の意味を持ち、直前の対格 stirpem(「末裔を」)を直接目的語として取る。
- 136Nec me fugit
「私から逃れていない(=私にも分かっている)」。fugere(非人称的に「〜の目から逃れる、〜に気付かれない」)が対格 me を伴い、全体として「よく分かっている」という強い確信を示す。その内容は、quam(「いかに〜か」)で始まる間接疑問節(接続法 nolit を伴う)によって説明される。
- 144imputes
「帰すべきである、帰すのがよい」。接続法現在2人称単数形。特定の「あなた」ではなく、一般の人々(「人は〜するものだ」)を指す総称的な2人称の用法であり、義務や妥当性を表す当為的な接続法(または潜在接続法)として機能している。
- 159ut
「〜だとしても、仮に〜としても」。譲歩を表す ut 節(ut + 接続法 abscondat / contingat)の始まりであり、次の文頭(§162)の quid と対比されて、「仮に神々の好意がすべてを隠し通せるとしても、良心の呵責からは逃れられない」という論理構成を作る。
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)・修正履歴(1 件・最終 2026-09-22)
- 2026-09-22 AI校閲 — 原文 1 件
