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ヘルクレス

§283-366

メガラの祈りと簒奪者リコスの求婚の企み

メガラとアンピトリュオンはヘルクレスの帰還を待望しつつ、彼の生存と不運について議論を交わす。そこへテバイの新支配者リコスが登場し、自らの実力を誇示しつつ、権力の安泰のためにメガラとの強制的婚姻を目論む。

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283

​emitte tecum, dirutis qualis iugis1

あなた自身を連れ出してください、かつて崩れ落ちた山嶺から、急流のために

​praeceps citato flumini quaerens iter

まっさかさまに行き道を求めながら

285

​quondam stetisti, scissa cum vasto impetu

あなたが立っていた時のように。凄まじい勢いで引き裂かれ、

​patuere Tempe; pectore impulsus tuo

テンペーが開かれた時のように。あなたの胸に押し出されて

​huc mons et illuc cessit et rupto aggere

山はあちらこちらへと退き、障壁が破られて、

​nova cucurrit Thessalus torrens via:

テッサリアの急流が新たな道へと駆け下った時のように。

​talis, parentes liberos patriam petens,

そのようにして、親を、子供たちを、祖国を求め、

290

​erumpe rerum terminos tecum efferens,

世界の境界をあなたと共に引きずり出しながら突進してください。

​et quicquid avida tot per annorum gradus

そして、これほど多くの時の歩みの中で、貪欲な

​abscondit aetas redde et oblitos sui

歳月が隠してきたものすべてを返し、自らを忘れ

​lucisque pavidos ante te populos age.

光を恐れる民をあなたの前に駆り立ててください。

​indigna te sunt spolia, si tantum refers

あなたにはふさわしくない戦利品です、もし命じられたもの

295

​quantum imperatum est. magna sed nimium loquor

だけを持ち帰るのであれば。しかし、私は自分の運命を知らず、

​ignara nostrae sortis, unde illum mihi

あまりにも偉大なことを語っています。いつ、私にその日が

​quo te tuamque dexteram amplectar diem2

あなたを、そしてあなたの右手を私が抱きしめ、

​reditusque lentos nec mei memores querar?

遅々として私を忘れたかのような帰還を不平を言うことのできる日が来るでしょうか。

​tibi, o deorum ductor, indomiti ferent

神々の導き手よ、あなたに、野生の

300

​centena tauri colla; tibi, frugum potens,

雄牛たちが百の首を捧げるでしょう。実りをつかさどる女神よ、あなたに、

​secreta reddam sacra: tibi muta fide

私は秘儀を捧げ直すでしょう。あなたのために、エレウシスは無言の信頼をもって

​longas Eleusin tacita iactabit faces,

沈黙のうちに長い松明を揺らすでしょう。

​tum restitutas fratribus rebor meis

その時こそ、私は我が兄弟たちに命が返され、

​animas et ipsum regna moderantem sua

自らの王国を支配している父自身が

305

​florere patrem, si qua te maior tenet

栄えていると信じるでしょう。もし、あなたよりも大いなるいかなる力があなたを

​clausum potestas, sequimur: aut omnes tuo

閉じ込めているのであれば、私たちは従います。あなたの帰還によって私たち全員を

​defende reditu sospes aut omnes trahe.

無事に守るか、それとも私たち全員を引きずり込んでください。

​trahes nec ullus eriget fractos deus.

あなたは引きずり込むでしょう。そして、いかなる神も打ち砕かれた私たちを立ち上がらせはしないでしょう。

​O socia nostri sanguinis, casta fide

おお、我が血を分けた同盟者よ、貞潔な信頼をもって

310

​servans torum natosque magnanimi Herculis,

気高いヘルクレスの床と子供たちを守る者よ、

​meliora mente concipe atque animum excita.

心に、より良きことを思い描き、魂を奮い立たせよ。

​aderit profecto, qualis ex omni solet

彼は必ずや現れるだろう、あらゆる試練から

​labore, maior.

そうであったように、より偉大になって。

​Quod nimis miseri volunt

あまりにも不幸せな人々が望むことは、

​hoc facile credunt,

彼らはそれを容易に信じるものです。

​Immo quod metuunt nimis

いや、むしろ、人々はあまりにも恐れていることが

315

​numquam moveri posse nec tolli putant:

決して動かされず、取り除かれ得ないと思うのだ。

​prona est timori semper in peius fides.

恐怖を抱く信頼は、常に悪い方へと傾きやすいものだ。

​Demersus ac defossus et toto insuper

冥界の底に沈められ、埋められ、その上さらに

​oppressus orbe quam viam ad superos habet?

世界全体に押しつぶされて、彼は地上の者たちへといかなる道を持っているというのですか?

​Quam tunc habebat, cum per arentem plagam

かつて、乾いた地域と、

320

​et fluctuantes more turbati maris

荒れ狂う海の如くうねる

​adit harenas bisque discedens fretum

砂漠へと彼が進み、二度退き二度満ちる海峡において、

​et bis recurrens, cumque deserta rate

船を捨てて

​deprensus haesit Syrtium brevibus vadis

シュルティスの浅瀬に取り残されて動けなくなり、

​et puppe fixa maria superavit pedes.

船尾が固定されたまま、徒歩で海を克服した、まさにあの時に彼が持っていた道をだ。

325

​Iniqua raro maximis virtutibus

不公平な運命は、最も偉大な徳を

​fortuna parcit; nemo se tuto diu

めったに容赦しません。誰も、これほど頻繁な

​periculis offerre tam crebris potest:

危険に長きにわたって身を安全にさらし続けることはできません。

​quem saepe transit casus, aliquando invenit.

不運が何度も避けて通った者を、いつかは見つけ出すのです。

​Sed ecce saevus ac minas vultu gerens

だが、見よ。残虐で、顔に脅迫を漂わせ、

330

​et qualis animo est, talis incessu venit

その心がそうであるように、そのような歩みで、

​aliena dextra sceptra concutiens Lycus.

他人の右手の王笏を振り回しながら、リコスがやって来る。

​Vrbis regens opulenta Thebanae loca

テーバイの町の豊かな地域、

​et omne quicquid uberi cingit solo

そして、肥沃な土地で取り囲む

​obliqua Phocis, quicquid Ismenos rigat,

曲がりくねったポーキスが包むすべて、イスメーノス川が潤すすべて、

335

​quicquid Cithaeron vertice excelso videt,

キタイロン山が高い頂から見下ろすすべてを支配しながら、

​non vetera patriae iura possideo domus

私は怠惰な相続人として、父祖の家の古い権利を所有して

​ignavus heres; nobiles non sunt mihi

いるのではない。私には高貴な

​avi nec altis inclitum titulis genus.

祖父たちもおらず、高き称号に輝く家系もない。

340

​sed clara virtus: qui genus iactat suum.

しかし、輝かしい徳はある。自らの家系を自慢する者は、

​aliena laudat, rapta sed trepida manu

他人のものを褒めているのだ。しかし、奪い取られた王笏は、

​sceptra obtinentur; omnis in ferro est salus:

震える手で保持される。すべての救いは鉄の中にある。

​quod civibus tenere te invitis scias.3

市民たちが望まない中で、それを保持しているのだと知るがよい。

​strictus tuetur ensis, alieno in loco

抜かれた剣が支配を守る。他人の場所において

345

​haut stabile regnum est; una sed nostras potest

王国は決して安定しない。だが、婚礼の松明と

​fundare vires iuncta regali face

婚姻によって結ばれた、王家の血を引く唯一の

​thalamisque Megara: ducet e genere inclito

メガラこそが、我らの力を確立することができる。我々の新興の身分は、その輝かしい家系から

​novitas colorem nostra, non equidem reor

色彩を得るだろう。彼女が拒絶し、

​fore ut recuset4 ac meos spernat toros;

私の床を侮蔑するようなことになるとは、私は本当に思わない。

350

​quod si impotenti pertinax animo abnuet,

だが、もし彼女がその抑えがたい心で頑固に拒むならば、

​stat tollere omnem penitus Herculeam domum.

ヘルクレスの全家系を根こそぎ根絶やしにすることに決めている。

​invidia factum ac sermo popularis premet?

その行為を憎悪と民衆の噂が抑えつけるだろうか。

​ars prima regni est posse invidiam pati.

憎悪を耐え忍ぶことができることこそ、支配の第一の技術である。

​temptemus igitur, fors dedit nobis locum.

それゆえ、試みよう。運命が我々に機会を与えてくれた。

355

​namque ipsa, tristi vestis obtentu caput

なぜなら、彼女自身、悲しげな衣の覆いで頭を

​velata, iuxta praesides adstat deos

覆い、守護神たちの傍らに立ち、

​laterique adhaeret verus Alcidae sator.

その脇にはアルケイデスの真の父親が寄り添っているからだ。

​Quidnam iste, nostri generis exitium ac lues,

我らの血統の破滅であり疫病であるあの男は、いったい何を

​novi parat? quid temptat?

新しく企んでいるのか?何を試みようとしているのか?

​O clarum trahens

おお、王家の

360

​a stirpe nomen regia, facilis mea

血統から輝かしい名を受け継ぐ者よ、寛大に、私の言葉を

​parumper aure verba patienti excipe.

しばらくの間、辛抱強い耳で受け入れてほしい。

​si aeterna semper odia mortales gerant

もし人間たちが常に永遠の憎しみを抱き続け、

​nec coeptus umquam cedat ex animis furor,

一度始まった狂気が決して心から去らず、

​sed arma felix teneat infelix paret,

勝利した者は武器を握り続け、不運な者は次の戦いを準備するならば、

365

​nihil relinquent bella; tum vastis ager

戦争は何物も残さないだろう。その時、畑は広大な

​squalebit arvis, subdita tectis face

野原で荒れ果て、家に松明が放たれて……

構文注4 件
  1. 283dirutis qualis iugis

    qualis... talis (289行) の相関構造。qualis 以下の関係節(283-288行)は、かつてヘルクレスがテッサリアのテンペー峡谷を切り開いて洪水を逃がしたという神話的偉業を指しており、talis(289行)を伴う主節へとつながる壮大な比較を形成している。

  2. 296unde illum mihi ... diem

    疑問副詞 unde(どこから)は「どうして〜が得られようか」という反語的・不可能性を帯びた願望を表し、mihi(利害の与格)を伴う。diem(対格)は先行詞であり、関係代名詞 quo(時間・状態の奪格、その日に)によって導かれる接続法現在(amplectar, querar)の節によって修飾されている。

  3. 343quod civibus tenere te invitis scias

    scias は「知るがよい」という当為・勧告の接続法。対格 te を意味上の主語とする不定詞句 tenere(支配していること)を導く。quod は関係代名詞の中性単数対格で、前行の sceptra(王笏)を指す。civibus invitis は絶対的奪格で「市民たちが望まない中で」を意味する。

  4. 349fore ut recuset

    思考動詞 reor の目的語として、未来不定詞の代用表現である fore ut + 接続法現在(recuset, spernat)の構文が用いられている。未来の事態を表現するラテン語の標準的な迂回表現である。

翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)・修正履歴(2 件・最終 2026-09-22)
  • 2026-09-22 AI校閲 — 原文 1 件
  • 2026-09-21 AI校閲 — 訳文 1 件
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