オリゲネス · Origen
『出エジプト記』選集
Selecta on Exodus
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Origenes. Origenis Opera Omnia, Volume 2 (Patrologia Graeca, Tomus 12). La Rue, Charles de, editor; La Rue, Charles Vincent de, editor. Paris: J. P. Migne, 1862.
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
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要旨
本作は、旧約聖書の『出エジプト記』における様々な記述に対し、キリスト教的な霊的・寓意的解釈(アレゴリー)を施した注釈的著作です。著者は、エジプト脱出の奇跡や過越の小羊の規則、割礼、安息日などの律法の規定を、キリストによる救いや魂の倫理的成長の象徴として読み解きます。中盤では、「父の罪を子に報いる」という難解な記述をめぐり、ユダヤ人や異端の説を退けつつ、神の懲らしめが愛する子への救いと矯正の証であるという解釈を提示します。さらに、奴隷の解放や収穫の祭りといった出来事を、キリストによる自由や、古い自己を脱ぎ捨てて新しい人へと生まれ変わるプロセスの比喩として論じます。文字通りの記述の背後にある、魂とキリスト教信仰の普遍的な真理を深く探求する一作です。
目次
7 チャンク
引用方式:paragraph
- §1-8
ファラオの心の頑なさと過越の小羊の意義
出エジプトの出来事における財産の携行、ファラオの心の「重化」と「頑なさ」の違い、モーセが杖以外でも奇跡を行った理由、過越の小羊の規則とそのキリスト論的意義を解説している。
- §9-14
除酵祭と過越の諸規定をめぐる霊的解釈
パン種の排除、血を鴨居や柱に塗る行為、過越の規定(他国人や奴隷の割礼、一つの家での食事、肉の持ち出し禁止)について、魂の三分説や教会の普遍性に基づく寓意的・霊的な解釈を提示する。
- §15-21
割礼と安息日および荒れ野の旅の霊的解釈
割礼の真の意義、イスラエルの旅程とエジプトの戦車、神の試練と悪魔の誘惑、安息日の文字通りおよび霊的な意味、そして岩から湧き出る水とキリストの象徴について解説される。
- §22#1
父の罪を子に報いることの霊的解釈
出エジプト記の「父の罪を子に報いる」という記述をめぐり、ユダヤ人、サマリア人、異端、そして教会の人の異なる解釈を対比しつつ、キリストの言葉を引いて「父」が悪魔を指し「子」が罪人を指すという寓意的解釈を提示する。
- §22#2
霊的な父と神による懲らしめの意義
著者は霊的な意味での「父」について論じ、聖なる者には神が、罪人には悪魔や悪霊が無数の父となると説く。また、神が下す罪への懲らしめは、見捨てられていない愛される「子」に対する救いと矯正の証であり、自覚された罪に対する懲罰を甘んじて受けるべきであると主張する。
- §23-26
律法の諸規定と奴隷解放および祭りの霊的意義
聖書の各用語の定義を示し、ヘブライ人奴隷の解放や安息日がキリストによる自由を象徴することを説く。さらに、新芽の月の祭りや初物の収穫の祭りの霊的な意味を、実際の農業の条件や個人の状況を踏まえつつ論じる。
- §27-29
除酵祭と神の前に男子が現れることの霊的解釈
著者は、新芽の月に除酵祭を祝う命令を、使徒パウロの言葉を引用しながら、古い人を脱ぎ捨てて新しい人になるという霊的な意味として解釈し、さらに神の前に「空の姿で現れないこと」や「男子のみが現れること」の寓意的な意味を説明している。
