オリゲネス · Origen
口寄せ女について
On the Engastrimythos
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底本
Origenes. Origenes Werke, Vol 3. Klostermann, Erich, editor. Leipzig: Hinrichs, 1901.
原文データ出典
Open Greek and Latin · CC BY-SA 4.0
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要旨
本作は、旧約聖書の『サムエル記』に登場するエンドルの霊媒(エンガストリミュトス)が、死した預言者サムエルを本当に呼び出したのかという解釈上の難問を追究する神学的論考です。著者は、偉大な預言者が霊媒によって呼び出されたり、冥府(ハデス)に送られたりするはずがないとする懐疑的なキリスト教徒の主張を紹介します。これに対して著者は、聖書の客観的な記述の構造に着目し、現れたのが悪霊ではなくサムエル本人であることを論証していきます。さらに、キリスト以前の預言者や聖者たちが冥府に下ったのは、苦しむ人々を救うための博愛の意志によるものであり、彼らは死後も預言の恵みを失っていなかったことを説明します。最終的に、キリストの到来を境に冥府の状況が一変したことを示し、現代のキリスト者は死後ただちにキリストのもとに至るという、古代の父祖たちに勝る恩恵にあずかっていると説いて結んでいます。
目次
9 チャンク
引用方式:section
- §1-2
朗読箇所の整理と口寄せ女の物語の提起
朗読された四つの聖書箇所の概要が示され、その中から監督の要請を受けてサムエル記に登場する霊媒(エンガストリミュトス)の記述の探求を開始し、その記述が真実であるか否かという難問を提起する。
- §3
サムエル降霊への反論と疑念
オリゲネスは、聖書の記述を疑い、偉大な預言者サムエルが霊媒によって呼び出されたりハデスに送られたりしたはずがないと主張する一部のキリスト教徒たちの反論を紹介する。
- §4
聖書の語り手とサムエル降霊の真実性
サウルのもとに呼び出されたのが本物のサムエルであることを否定する異論に対して、著者は聖書テキスト自体の叙述構造(話者)に着目し、「聖霊」を著者とする聖書の記述が直接サムエルが呼び出されたことを述べていることを指摘して反論を展開します。
- §5
予言の正確さと悪霊説の論駁
著者は、死後のあり方を理解するためにこの叙事と検討が必要であると述べ、霊媒師が呼び出したサムエルの預言の正確さを根拠に、これを悪霊によるものとする反対派の主張を論破しようとします。
- §6
ハデスにおける預言者とサムエルの顕現
オリゲネスは、上ってきたのが悪霊の嘘ではなくサムエル本人であるという聖書の客観的叙述を支持し、キリストに先んじて預言者たちがハデスに下ってキリストの来臨を預言したことの正当性を主張する。
- §7
女が見た神々とヨハネの問いの真意
エンドルの口寄せの女が見た「神々」はサムエルを伴う聖なる魂や天使であり、洗礼者ヨハネの獄中での問いは、その大きな栄光を持つ主がハデス(奈落)にまで下られることへの畏怖と驚きに起因すると論じます。
- §8
預言者や救い主がハデスに下った理由
著者は、キリストより前にすべての預言者がハデスに下ったのと同様に、サムエルもまた聖なる者としてハデスに下ったのであると論じる。また、医師が病人のもとへ赴くように、救い主や預言者たちがハデスに下るのは、苦しむ人々を救うための博愛的意志によるものであると説明する。
- §9
死後の預言の力とキリスト以前の楽園の閉鎖
サムエルが死後も預言の恵みを失っていなかったことを論証し、ハデスにあった魂が救い主の到来を必要としていたこと、そしてキリストの到来以前は誰も楽園に入ることはできなかったことを説明する。
- §10
キリスト降臨後の信者が受ける恩恵の優位
著者は、この聖書箇所には解釈上の難点はないとし、キリストの来臨より後に生きるキリスト者は、死後ただちにキリストのもとへ至るという点で、古代の預言者や父祖たちに勝る恩恵にあずかっていると説く。
