底本
Gorgias. Antiphontis orationes et fragmenta adiunctis Gorgiae, Antisthenis, Alcidamantis declamationibus. Blass, Friedrich, editor. Leipzig: Teubner, 1908.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
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要旨
本作は、トロイア戦争の引き金となったことで悪名高い美貌の女性ヘレネを弁護し、彼女の汚名をそそぐために書かれた修辞学的な演説(弁論)です。著者のゴルギアスは、ヘレネがスパルタを去った原因を、神の意志、暴力、言論、愛という4つの不可抗力に分類して論証を進めます。前半では、運命や神々の計画、あるいは物理的な暴力による拉致であれば、彼女に責任はないことを明快に示します。中盤では、言論(ロゴス)が持つ絶大な力に焦点を当て、言論は人々の思惑(ドクサ)を操作し、魂を強制する薬のようなものであると分析します。終盤では、最後の要因として「愛」を挙げ、視覚が魂に与える不可避の影響によって彼女が行動したことを論じます。このようにして、ヘレネがいかなる原因であっても無罪であることを論理的に導き出し、演説を締めくくります。
目次
3 チャンク
引用方式:section
- §1-6
ヘレネの美と神々の意志による不可抗力
ゴルギアスは事物におけるふさわしい飾りと徳を定義し、悪名高いヘレネを弁護するために彼女の神聖な血統と美を叙述する。その上で、彼女の遠征が運命や神などの不可抗力によるものであるならば無罪であると主張する。
- §7-13
強制による拉致と魂を支配する言論の力
セクション7から13において、著者は暴力による拉致の不当性と被害者の無罪性を論じた後、言論(ロゴス)が持つ絶大な力を分析する。言論は、詩や魔術、自然学や法廷弁論、哲学の論争を通じて人々の不確実な思惑(ドクサ)を自在に操作し、物理的な暴力と同様に魂を強制するものであると説明される。
- §14-21
薬としての言論と愛によるヘレネの無実
ゴルギアスは言論を肉体に対する薬に例えてその強制的な力を説明し、最後に第4の要因として「愛」を挙げ、視覚が魂に与える不可避の影響によりヘレネが無罪であることを論証して演説を締めくくる。
