ルキアノス · Lucian
ティモンまたは人間嫌い
Timon or The Misanthrope
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Lucian, Vol. 2. Harmon, Austin Morris, editor. London: William Heinemann, Ltd.; Cambridge, MA: Harvard University Press, 1915.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA 4.0
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0062.tlg022.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 4 件を修正
反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 4 件
最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、かつて巨万の富を施しながらも、没落した途端にすべての人々から見捨てられ、人間嫌い(ミーサントローポス)となったアテナイの男ティモンを主人公とする風刺的な対話篇です。かつての恩を忘れた世人に絶望し、荒野で耕作しながら神々に抗議するティモンに対し、ゼウスは哀れみを抱き、ヘルメスと富の神プルトス(Plutos)を派遣して再び富を授けるよう命じます。一度は拒んだものの説得を受け入れて大量の黄金を手に入れたティモンは、二度と裏切られないよう、世俗との関わりを断って孤独に生きる「人間嫌い」の法律を自らに課します。しかし、彼の復活を聞きつけたかつての不実な友人や偽善的な哲学者たちが、再び甘い言葉を伴って群がり始めます。ティモンは彼らの強欲と欺瞞を容赦なく暴き、肉体的に叩き伏せて追い払うことで、自らの決意と孤高を守り抜こうとします。
目次
12 チャンク
引用方式:section
- §1-5
ゼウスの無気力と人々の背信に対するティモンの嘆き
ティモンはゼウスに対し、かつての恐るべき雷電や正義の怒りが失われ、今や人々に軽んじられ神殿すら略奪されている現状を訴える。さらに、自分自身が慈善の末に没落した途端、かつてへつらっていたアテナイ人たちから完全に見捨てられた怒りと嘆きを語る。
- §6-9
ティモンの叫びと忘却を悔いるゼウス
ティモンは自らの没落とアテナイ人の忘恩を恨みつつ、辺境で土を耕しゼウスの覚醒を求める。その声を聞いたゼウスはヘルメスからティモンの顛末を聞き、かつて厚い信仰を捧げた彼の放置を深く悔いる。
- §10-14
ゼウスの援助命令とプルトスの拒絶
ゼウスはヘルメスに、富の神プルトスを伴ってティモンのもとへ行き、彼を再び豊かにするよう命じる。しかしプルトスは、かつてティモンから受けた非道な扱いを理由に拒否し、富に対する人間の矛盾した態度についてゼウスと議論を交わす。
- §15-19
富の浪費と死蔵への批判とゼウスの説得
プルトスは、富の極端な放任と過度な死蔵の双方の愚かさを結婚の比喩を用いてゼウスに説明し、ティモンへの不信を語るが、ゼウスはティモンがすでに教訓を得たとして、ヘルメスとともに彼を富ませるよう命じる。
- §20-24
プルトスの足の遅さと盲目な富の分配
ヘルメスとプルトスが対話し、プルトスが富を授ける際に足が不自由になる理由や、遺言による相続制度がもたらすモラルの退廃を暴く。また、プルトスは盲目ゆえに値する者を選べず、無作為に歩き回るだけだと告白する。
- §25-29
富の虚飾と忘れられた宝の呼び出し
ヘルメスとプルトスは、ゼウスの意図が盲目のプルトスによっていかに歪められるかを語り、プルトスが醜い素顔を仮面で隠して人々を惑わしていることについて議論する。その後、二人は最も重要な「宝(テサウロス)」を連れてくるのを忘れたことに気づく。
- §30-35
ティモンと貧困の遭遇と富の拒絶
アッティカに到着したヘルメスとプルトスは、貧困とその美徳の従者たちに囲まれて暮らすティモンに遭遇する。貧困は去り、ヘルメスはティモンに富を受け入れるよう促すが、人間と神の両方を憎むティモンは激しく反発し、申し出を拒絶する。
- §36-40
ティモンの説得とプルトスの受容
ティモンは財産(プルトス)の受け入れを拒み、貧困がもたらした自立した生活の価値を主張するが、ヘルメスとプルトスの説得により最終的に再び財宝を受け入れることを決意する。
- §41-45
黄金の発見とティモンによる人間嫌いの誓い
ティモンは地中から大量の黄金を発見してその威力を称え、世間を断絶して孤独に生きる「人間嫌い」の法律を自らに課す。しかし、金の匂いを嗅ぎつけたかつての追従者たちが早速彼のもとへ群がり始める。
- §46-50
金を目当てに群がる追従者たちの撃退
金持ちに返り咲いたティモンのもとに、かつて彼が貧困に陥った際に見捨てた追従者グナトニデス、ピリアデス、デメアスが次々と現れ、恩を売り込もうとするが、ティモンは彼らを鍬で叩きのめしつつ、彼らの身勝手な態度と過去の背信行為を容赦なく暴く。
- §51-54
デメアスの偽りの顕彰決議と哲学者トラシュクレス
デメアスが不条理な偽の功績を並べ立てたティモン称賛決議案を読み上げるが、ティモンに叩きのめされ、放火や神殿荒らしの無実の罪を着せようとする。その後、朝には道徳を説きながら晩餐では卑しく貪り食う偽善的な哲学者トラシュクレスが近づいてくる。
- §55-58
トラシュクレスへの弾劾と取り巻きたちの放逐
ティモンが哲学者トラシュクレスの強欲さと偽善を激しく非難し、彼を鶴嘴で殴りつける。さらに他の取り巻きたちに対しても岩の上から石を投げつけて追い払う。
