デモステネス · Demosthenes
第五十八弁論 テオクリネス弁論
Against Theocrines
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Demosthenes. Orationes, Vol. III. Rennie, W., editor. Oxford: Clarendon Press, 1931.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0014.tlg058.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 2 件を修正
反映した修正(日本語訳と原文):AI校閲 2 件・表記の統一 1 件
最終更新:2026-10-12・変更履歴の一覧
要旨
本作は、アテナイの法廷で若き告発者が、悪名高き「シコファンテス」(密告者・職業告訴人)であるテオクリネスを不法行為の数々で弾劾する弁論です。原告の若者は、自身の父親がテオクリネスによって巨額の罰金を科され、法的な発言権を奪われたという個人的な窮状から訴訟に踏み切りました。弁論の中で原告は、テオクリネスが公金を横領して国に債務を負っていることや、賄賂を受け取って数々の公訴を不法に取り下げていた実態を、具体的な証言や法律に則って暴露していきます。さらに、テオクリネスが「法の番人」を気取りながら、裏で他の政治家や職業告訴人と結託している偽善を暴きます。最終的に原告は、アテナイの国政を蝕む密告者たちの有害性を強く非難し、陪審員たちに正義の判決と被告への厳罰、そして不当な困窮に陥った自身の家族の救済を求めて弁論を締めくくります。
目次
9 チャンク
引用方式:section
- §1-9
告発の経緯とテオクリネスの不法な訴訟取下げ
語り手は、父がテオクリネスによって巨額の罰金を科されたため、若輩ながらも彼に対する告発に踏み切った経緯を語り、彼が法に反してミコンに対する告発を金銭で和解・取り下げた不法行為を明らかにするため、証人と関連文書の提示を始める。
- §10-17
船の告発放棄と公金横領による法律違反
告発者はテオクリネスが船の告発を違法に放棄したことで二つの法律に違反していると指摘し、さらに彼が部族の公金を横領して名祖の英雄に対し七百ドラクマの債務を負っていることを暴いて第三の法律違反および告発資格の不在を証明する。また、テオクリネスが債務の名義人は祖父であると弁明する予測に対し、相続規定を根拠に有罪性は変わらないと反論する。
- §18-25
さらなる負債の隠蔽と論点逸らしへの警戒
テオクリネスのさらなる不法行為として、部族資金の横領未遂や奴隷解放に関する罰金未払いが暴露される。弁者は、被告が政治家を非難して争点をずらそうとするのを警戒し、陪審員に法に基づく厳格な判決を求める。
- §26-31
兄の死の不正な和解と過去の不当告訴
弁者は被告テオクリネスの不実さを暴くため、実兄の不慮の死に際して犯人と金銭で和解したことや、兄が務めていた神聖官職を不法に簒奪したことを暴露する。さらに、彼が国家や弁者の父親に対して行った過去の不当な告訴事件の経緯と不正な意図を説明する。
- §32-38
賄賂による訴訟取り下げと金銭強請の実態
テオクリネスがポリュエウクトスを虐待容疑で告訴した後に賄賂を受け取って告訴を取り下げたことや、アテナイ市民やエノス人から公訴を盾に金を脅し取っていた実態を暴露し、彼の「法の番人」としての主張が偽りであることを論じている。
- §39-45
職業告訴人の偽りの敵対関係と私的な結託
法廷での敵対関係を装いながら私的に結託するテオクリネスやデモステネスら職業告訴人の偽善を暴き、デモステネスに対する訴えを不自然に放置した事実を証拠として提示する。
- §46-54
債務者登録をめぐる抗弁の論駁と擁護者の矛盾
テオクリネスが自身の二重基準や法律に反していることを暴き、アクロポリスに債務者として登録されていないことを盾にした彼の弁護の誤りを論駁する。また、以前に商人保護の決議案を提案したモイロクレスが、テオクリネスを擁護することの矛盾を激しく批判する。
- §55-62
国内法遵守の重要性と正義の判決の懇願
告発者は、国内での違法行為を監視することの重要性を説き、自身の若さや父親が法的に沈黙せざるを得ない状況に触れつつ、陪審員に対して正義に基づいた判決を下すよう懇願する。
- §63-70
職業告訴人の害悪の糾弾と祖先の功績による哀願
告発者は密告者(シコファンテス)らの有害性を激しく非難し、彼らが国家を蝕んでいる実態を暴いた上で、アテナイのために尽くした自身の祖先たちの功績に言及し、裁判員にテオクリネスへの厳罰と不当な罰金刑による家族の窮状への救済を哀願する。
