デモステネス · Demosthenes
第五十五弁論 カリクレスへの抗弁
Against Callicles
ギリシア語原文(原典)と日本語・英語・中国語・韓国語の対訳・語釈を、全文無料・登録不要で公開しています。
底本
Demosthenes. Orationes, Vol. III. Rennie, W., editor. Oxford: Clarendon Press, 1931.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
Humanitext がクローン・再構成し、継続的に更新しています。
要旨
この作品は、隣人間の土地境界と水害による損害賠償を巡って争われる、古代アテナイの法廷弁論です。訴えられた側の被告が、隣人であるカッリクレスから提起された不当な訴訟に対して自己の正当性を主張します。弁論の中で被告は、かつて自身の父親が土地を守るために石垣を築いた経緯を説明し、そこが公共の水路ではなく私有地であることを、古い墓や樹木などの物証をもって論証します。さらに、カッリクレス自身に道路を勝手に狭めた過失があることや、彼の主張する被害が極めて軽微であることを指摘します。最終的に被告は、この訴訟が自らの土地を不当に奪うために仕組まれた卑劣な陰謀であることを暴露し、裁判官に対して正義に基づいた無罪の判決を求めます。
目次
4 チャンク
引用方式:section
- §1-10
カッリクレスの不当な訴訟と壁の築造経緯
主人公は、隣人カッリクレスが自分の土地を奪うために起こした不当な訴訟について語り、父がかつて土地を囲い込んだ経緯と、カッリクレスらが当時全く抗議しなかった事実を指摘する。
- §11-18
物証による私有地の証明と原告の要求の不条理
スピーカーは、係争中の土地がかつて前の所有者によって放置され大雨で荒れていたため、父がそれを保護するために石垣を築いた経緯を説明し、樹木や古い墓の存在という確固たる物証を提示して、その土地が水路ではなく私有地であることを論証する。また、道路の水を私有地に引き込み再び戻すという相手の要求がいかに不条理であるかを指摘する。
- §19-26
カッリクレス側の過失と訴訟の不当性
カッリクレスが不当な非難を行い、原告自身も道路を勝手に狭めるなどの過失があることを指摘する。また、原告側の実害が極めて軽微であることを明らかにし、自らへの訴訟が不当な言いがかり(誣告)であることを主張して弁論を締めくくる。
- §27-35
カッリクレスの道路侵害と土地強奪の陰謀
被告は原告カッリクレスが不当に道路を狭めた事実、および彼が被告の優秀な奴隷カッラロスをも無造作に告訴して土地を奪おうとする卑劣な陰謀を暴露し、裁判官に正義の判決を求める。
