デモステネス · Demosthenes
第三十五弁論 ラクリトスへの抗弁
Against Lacritus
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底本
Demosthenes. Orationes, Vol. II, Part 2. Rennie, W., editor. Oxford: Clarendon Press, 1921.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0014.tlg035.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
AI校閲 2026-09-22:検出 Gemini 3.8 Flash/判定 Gemini 3.8 Flash・GPT-6 Astra — 日本語訳 6 件を修正
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最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、海上貸借契約の不履行をめぐり、ファセーリス人の被告ラクリトス(Lakritos)に対してアテナイの法廷で提起された民事の商業訴訟(ディケー・エンポリカ)の弁論です。原告は、ラクリトスが有名な修辞学者イソクラテスの弟子という肩書を利用して信頼させ、多額の資金を詐取した経緯を暴き出します。弁論の前半では、契約書に定められた担保の葡萄酒がほとんど船に積まれず、復路の荷も皆無であったなど、度重なる契約違反が客観的証言を交えて詳細に論証されます。後半では、被告らがアテナイの正規の港を避けて停泊し、難破を言い訳にして返済を免れようとする欺瞞が厳しく糾弾されます。原告は、ラクリトスがソフィスト的な詭弁を用いて法廷を欺こうとしていると警告し、海上交易の安全と法律の威信を守るため、陪審員に厳格で正しい判決を下すよう強く求めて締めくくります。
目次
7 チャンク
引用方式:section
- §1-10
ファセーリス人の不実と海上貸借契約の提示
アテナイの法廷において、原告がファセーリス人の不誠実な気質を糾弾し、被告ラクリトスを提訴した経緯と彼らが結んだ海上貸借契約の条項を提示する。
- §11-18
契約条項の朗読とラクリトスによる欺瞞の告発
借入契約書の残りの条項と関係者の証言が読み上げられた後、原告は被告ラクリトスが当時「イソクラテスの弟子」という肩書を背景に全責任を負うと称して金をだまし取り、契約を全く履行しなかった実態の告発を始める。
- §19-25
積載義務違反と不正な追加借入の証拠
原告は、被告らが契約で合意されたワインの分量を船に積み込まず、他の貸主から担保を偽って追加融資を受けた事実を証言により立証する。さらに、彼らが復路の荷を全くアテナイに持ち帰らず、契約上の回収措置を事実上不可能にした不届きさを糾弾する。
- §26-32
不正な停泊と虚偽の難破の言い訳の暴露
訴訟人は、ラクリトスらがアテナイ帰還時に正規の交易港を避けて「泥棒の港」に停泊し、返済を遅延させた末に、すべて難破で失われたと釈明したことを告発する。さらに、その難破船や積荷が彼らの契約担保とは無関係であり、口主にすぎないことを暴露する。
- §33-40
難破の無関係性の証言と詭弁による返済拒否の批判
証言によって、難破船は被告らのものではなく、また十分な積荷もなかったことが証明される。原告は、被告らが契約を完全に無視して他人の資金を勝手に運用し、ソフィスト的な弁論に頼って返済を逃れようとしていると強く非難する。
- §41-48
詭弁への批判と商業裁判の管轄の妥当性
告発者はラクリトスが詭弁を用いて陪審員を惑わそうとしていると非難し、もし立場が逆であれば彼も容赦なく取り立てただろうと指摘する。また、商業訴訟を拒否するラクリトスの抗弁の不当性と、アテナイの各司法官職の管轄を挙げてこの訴訟が商業裁判として扱われるべき必然性を説く。
- §49-56
アテナイの通商法違反と正当な判決の要請
原告は、今回の契約がアテナイの法律に従った海上貿易であったことを示すため法律の条文を読み上げさせ、被告らが法律を犯して貸付金をキオスに流用したと非難します。そして、このような契約違反はアテナイの国益や法律の威信をも損なうものであると強調し、裁判員に正しい判決を求めます。
