底本
Sophocles, Volume 1. Storr, Francis, editor. London; New York: William Heinemann Ltd.; The Macmillan Company, 1912.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
元ファイル: urn:cts:greekLit:tlg0011.tlg004.perseus-grc2
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翻訳と校閲
翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)
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最終更新:2026-10-10・変更履歴の一覧
要旨
本作は、過酷な運命に翻弄される人間の悲劇を描いた、古代ギリシア悲劇を代表する戯曲です。物語は、疫病に苦しむテバイの街を救うため、国王オイディプスが先王ライオス殺害の犯人捜索を誓うところから始まります。盲目の預言者テイレシアスの警告や王妃イオカステの制止を退け、オイディプスは自らの知恵を信じて執拗に真相を追究します。しかし、コリントスからの使者やかつての羊飼いの証言によって、自らこそが実の父を殺し、実の母を妻に娶った犯人であるという恐るべき真実が暴かれます。絶望したイオカステは自死を遂げ、オイディプスは自らの両眼を突き潰して盲目となり、哀れな姿で放浪の旅へと赴きます。自らの出生の謎を解き明かそうとする高潔な探求が、そのまま破滅へと直結していく、人間の運命の儚さと不可避の悲劇を描き出しています。
目次
19 チャンク
引用方式:line
- §1-79
疫病に苦しむテバイ市民の嘆願とオイディプスの応答
国王オイディプスは、国中に広がる凄惨な疫病から救いを求めて宮殿前に集まったテバイの市民と神官から、かつてスフィンクスを破った知恵をもって国を再建するよう懇願される。これに対し、オイディプスはすでに市民の苦しみを共に憂い、義兄クレオンをデルポイの神託所に派遣したことを明かす。
- §80-157
クレオンが伝える神託とオイディプスの誓い
クレオンがアポロンの神殿から戻り、先王ライオス殺害の犯人を処罰することで国を浄化せよという神託を伝える。オイディプスは真相究明と復讐を誓い、コーラスが神託の到来に畏怖する歌を歌う。
- §160-256
コロスの救済祈願とオイディプスの布告
コロスがアテナ、アルテミス、アポロンらに向けて疫病の終息を祈願し、続いてオイディプスが登場し、ライオス王殺害の犯人に関する情報の提供を求め、犯人とそれを匿う者に対する厳しい呪いと追放の命令を布告する。
- §257-329
オイディプスの詰問とテイレシアスの拒絶
オイディプスはライオス殺害の調査と不服従者への呪いを宣言し、コーラスの助言で召喚された盲目の預言者テイレシアスに真相の究明を求める。しかしテイレシアスは、真相を知ることがもたらす破滅を予見し、頑なに口を閉ざす。
- §330-401
テイレシアスの告発とオイディプスの激怒
テイレシアスがオイディプス自身を殺人犯であると暴露し、さらに彼が親しい者と不名誉な交わりを持っていることを告げる。激怒したオイディプスは、これをクレオンとテイレシアスが共謀した権力奪取の陰謀だと非難し、自身の知恵と比して預言者を嘲笑する。
- §402-483
テイレシアスの不吉な予言とコロスの動揺
テイレシアスはオイディプスの不吉な未来と彼が実の父を殺し母を妻とした犯人であることを暗示し、警告を残して去る。コーラスは神託の恐ろしさと逃亡する犯人を歌いつつ、予言者の言葉に動揺する。
- §485-568
コロスの忠誠とクレオンの釈明
コーラスはオイディプスへの非難に対する懸念を表明し、依然として彼を擁護する。そこへクレオンが登場し、王からの反逆の容疑に抗議し、現れたオイディプスと激しい対論を開始する。
- §569-640
クレオンの反論とイオカステの仲裁
クレオンはオイディプスに対し、王位を簒奪する動機が自分にないことを論理的に説明し、根拠のない告発を退ける。しかしオイディプスの怒りは収まらず、諍いが激化する中、イオカステが登場して介入する。
- §641-729
イオカステの宥めとライオス殺害の神託
クレオンとオイディプスの争いをイオカステが仲裁し、王は不本意ながらもクレオンの解放に同意する。その後、イオカステはオイディプスを宥めるために、ライオス殺害に関する予言が成就しなかったという過去の神託の例を語るが、その詳細を聞いたオイディプスはかえって動揺を覚える。
- §730-803
オイディプスの動揺と三叉路の回想
イオカステが語るライオス殺害の場所や状況を聞いたオイディプスは、自分が犯人ではないかと疑い、激しく動揺する。ライオスの外見や同伴者の情報を得て確信を強めたオイディプスは、コリントスを去るに至った自らの過去と、三叉路での衝突についてイオカステに明かす。
- §804-885
三叉路の殺害告白と合唱隊による掟の賛歌
オイディプスは三叉路での衝突の状況が自らの過去の行いや預言と合致していることに愕然とし、唯一の生き残りである牧人を招集することを求める一方、合唱隊(コーラス)は神々の永劫なる掟を歌う。
- §886-969
コリントスからの使者とポリュボスの訃報
コルスは不敬な態度を批判し預言の正しさを祈る。イオカステが神殿へ祈りを捧げる中、コリントスからの使者が現れ、オイディプスの養父ポリュボスの死を伝える。
- §970-1040
使者による出生の秘密の暴露とオイディプス
オイディプスは父の死を知るも、依然として母との不吉な婚姻の神託を恐れ、帰郷を拒む。コリントスの使者は彼を安心させようと、ポリュボスとオイディプスには血のつながりがないことを明かし、さらに彼が幼児期にキタイロン山で拾われ足に傷があったという過去を告げる。
- §1041-1124
イオカステの絶望的な退場と羊飼いの到着
オイディプスが自身の出生の秘密を追及するなか、真実に気づいたイオカステは破滅を予感して狂乱し退場する。コーラスがオイディプスの神秘的な誕生を歌い上げるなか、かつてのライオスの羊飼いが連行されてくる。
- §1125-1200
羊飼いの証言とオイディプスの出自の発覚
ライオスの元羊飼いとコリントスの使者の対話によって、オイディプスがライオスの実子であり、かつて捨てられた赤子であったという恐るべき真実が暴かれる。オイディプスは絶望して破滅を悟り、コーラスは人間の運命の儚さを嘆く。
- §1201-1283
イオカステの自死とオイディプスの盲目の報告
コロスはオイディプスの栄光からの悲劇的な没落を嘆く。その後、宮殿から使者(エグザンゲロス)が現れ、王妃イオカステの縊死と、それを見て自らの両眼を抉り潰したオイディプスの惨劇を報告する。
- §1284-1381
盲目のオイディプスの登場と嘆き
自らを盲目にしたオイディプスが宮殿から姿を現し、コーラスに対してその凄惨な運命と自らの苦渋に満ちた内面を吐露する。彼は死なずに盲目で生きることを選択した理由を自らの罪の重さとともに語る。
- §1382-1457
追放を願うオイディプスとクレオンの到着
オイディプスは自身の過酷な運命を嘆き、自らを追放しキタイロンの山に捨てるよう懇願する。そこへクレオンが現れ、神の神託を確認した上で事態を決定すべきだと語る。
- §1458-1530
娘たちの委任とコーラスの終曲
オイディプスは娘たちの不憫な将来を憂いてクレオンに彼女たちの後見を託し、悲痛な最期を見送られるなか、コーラスが人間の運命の儚さを歌って劇が幕を閉じる。
