プルタルコス · Plutarch
いかに敵から利益を得るか
How to Profit by One's Enemies
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底本
Plutarch. Plutarchi Chaeronensis Moralia, Vol I. Vernardakēs, Grēgorios N., editor. Leipzig: Teubner, 1888.
原文データ出典
Perseus Digital Library · CC BY-SA (Perseus の利用条件による)
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要旨
本書は、人間関係において避けがたい「敵」の存在を、自己の道徳的成長と人格形成のためにいかに活用すべきかを論じた倫理的論説です。著者はコルネリウス・プルケルに対し、野生動物や自然現象を利用するのと同じように、敵対関係をも自らの糧とする知恵を説きます。議論の核心は、敵が常に自分を監視しているという緊張感こそが、自制心を養い、非難の余地のない生活を送る強力な動機になるという点にあります。さらに、敵からの不当な非難を自己省察の機会とし、怒りや罵りに対して沈黙を守ることで、より高次の自己訓練と寛大さを獲得できると主張されます。最終的に、人間の内なる嫉妬や闘争心を敵に向けることで身内との不和を避け、敵の失態を反面教師としながら真の公正さと徳を追求することが推奨されます。敵を排除すべき存在としてではなく、自己の徳を高めるための最良の訓練台として捉え直す視点を提供する作品です。
目次
6 チャンク
引用方式:section
- §1-2
敵対関係の不可避性と敵を利用する知恵
著者はコルネリウス・プルケルに対し、友情と敵対関係が避けがたく絡み合う政治の世界において、賢者は敵からさえも利益を得ることができると論じ、野生動物や自然現象の利用法を例に挙げながら、敵対関係を自らの糧とする方法の追求を促す。
- §3
敵による監視と生活の自制による品性の向上
敵が常に欠点を探し監視しているからこそ、賢明な人間は自らの生活を厳格に律し、非難の余地なく生きるようになる。プルタルコスは、戦争が都市に秩序をもたらすように、敵の存在が人々に自制と品性の向上をもたらすことを論じる。
- §4-5
善き人となることによる敵への報復と自己省察
ディオゲネスの言葉を引いて敵に対する最善の報復は自らが善い人間になることだと論じ、他者の欠点を非難する前に自己を省みることの重要性を古代の様々な対話の例から説明する。
- §6-7
敵からの非難と悪口を自己吟味に活かす知恵
敵から非難されることの有益性を説く。敵は友人よりも欠点に気づきやすく、たとえ不当な非難であっても自身の言動を省みる契機となることを、歴史的な逸話やヒエロンの物語を通じて示す。
- §8-9
敵への沈黙と寛大さがもたらす徳の涵養
敵の罵りに対して沈黙を守ることが最高の自己訓練となること、また敵への寛大さや公正な態度が、友人との交際における誠実さや自制を養うために極めて有益であることを論じている。
- §10-11
嫉妬や競争心を敵に向けて身内を守り徳を磨く道
人間の本性である嫉妬や闘争心を敵に向けることで、身内との不和を避けつつ自己を鍛錬する方法を論じます。また、敵の醜い名誉獲得や失態を反面教師として、公正さと徳を追求することを勧めます。
