底本
Suetonius. De Vita Caesarum Libri VIII. Ihm, Max, editor; Leipzig: Teubner, 1908.
原文データ出典
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要旨
本書は、ローマ帝国の第四代皇帝クラウディウスの生涯、治世、そしてその複雑な人間性を描いた伝記作品です。若年期の病弱さと家族からの激しい蔑視、そして歴代皇帝のもとでの不遇な隠遁生活から、ガイウス(カリグラ)の暗殺という不慮の事態によって突如として帝位に就くまでの劇的な経緯がまず描かれます。皇帝となってからは、精力的な裁判への関与やブリタニア征服、大規模な公共事業など多大な功績を残す一方で、その気まぐれな言動や、妻たちや解放奴隷に国政を牛耳られた愚鈍な姿も克明に記録されています。さらに、極端な臆病さと残酷さが同居する奇癖、その一方で歴史研究やギリシア学に没頭した教養人としての側面など、彼の多面的な個性が詳細に綴られます。最後は、妻アグリッピナによる毒殺という不吉な最期をもって、波乱に満ちた皇帝の生涯が締めくくられます。
目次
13 チャンク
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- §1-3
父ドルーススの事績とクラウディウスの生い立ち
クラウディウスの父ドルーススの輝かしい軍功と死に関する噂、およびクラウディウス自身の病弱な成長期と家族からの激しい蔑視について叙述されている。
- §4-6
公職からの排除と隠遁生活における世評
アウグストゥスがリウィアに送った手紙から、クラウディウスの心身の欠陥による公職排除の方針が示される。また、彼がティベリウスの治世下で隠遁し荒んだ生活を送ったこと、それにもかかわらず騎士階級や元老院から変わらずに受けた敬意が描写される。
- §7-10
ガイウス治下の屈辱と兵士による帝位擁立
クラウディウスは甥ガイウスの治世下で初めて執政官を務めるも、宮廷で執拗な侮辱や危険にさらされ、極度の経済的困窮に陥る。しかし、ガイウス暗殺という不慮の事態の中で、兵士たちに発見された彼は想定外の形で帝位に担ぎ上げられ、莫大な報奨金を約束して忠誠を買い取った。
- §11-14
即位直後の治安回復と親族への顕彰および執政
帝位を確立したクラウディウスは、先代ガイウス暗殺後の混乱の記憶を抹消し、親族への敬意を示した。また、謙虚で市民的な態度で政務や裁判に励み、民衆の絶大な支持を得たが、国内外の陰謀や内乱にも直面した。
- §15-16
気まぐれな裁判と監察官職における奇異な言動
第15章と16章では、クラウディウスが裁判や監察官職を執り行うにあたって見せた、極端な不整合さや気まぐれな言動、そしてそれによって招いた民衆や訴訟人からの軽蔑の数々、さらには彼の出した奇妙な布告が描かれている。
- §17-20
ブリタニア遠征と凱旋式および大規模な公共事業
クラウディウスによる唯一の軍事遠征であるブリタニア征服と凱旋式の挙行、ローマ市内の火災対応と冬期の食糧供給確保のための各種優遇制度、そして水道・フキヌス湖・オスティア港という大規模な公共事業について記述されています。
- §21-23
大規模な見世物の開催と内政改革
クラウディウスが催した豪華な見世物や、フキヌス湖での模擬海戦における有名な逸話を解説し、あわせて宗教、市民生活、司法に関する彼の内政改革について述べている。
- §24-25
身分制度や官職の再編と諸法令の制定
クラウディウスによる、元老院や騎士の階級整理、各種の軍職や行政職の改革、奴隷の処遇、道路法および地方行省や外国の宗教・市民権に関する諸措置を記述する。また、彼の政治が実際には妻や解放奴隷たちに牛耳られていた事実が述べられる。
- §26-28
クラウディウスの妻女と子女および解放奴隷たち
クラウディウスの二人の婚約者と三人の妻たち、そしてアグリッピナとの再婚について、また、彼の子供たちの不慮の死や結婚などの動向と、重用された解放奴隷たちの莫大な権勢と富について記述される。
- §29-33
妻や解放奴隷による専横とクラウディウスの身体と悪癖
クラウディウスが解放奴隷や妻たちに支配されて行った不当な処刑や、彼の身体的特徴、食欲やギャンブルに対する執着など、その私生活と奇癖について記述している。
- §34-37
クラウディウスの残虐性と猜疑心および極度の臆病さ
クラウディウスの残酷で血を好む本性と剣闘士試合等での容赦ない態度(第34章)、極端な臆病さと猜疑心、そしてそれを利用した偽の告発や夢による罠について叙述される(第35〜37章)。
- §38-41
クラウディウスの軽率な言動と学術的活動
クラウディウスが自らの怒りっぽさや愚行について弁明したエピソード、および彼の物忘れのひどさや不注意な失言の数々が紹介される。さらに、彼が若い頃から熱心に取り組んだ歴史研究や独自の文字考案などの学術的活動についても記述されている。
- §42-46
ギリシア学芸への傾倒とアグリッピナによる毒殺
クラウディウスのギリシア語やギリシア学術への熱心な傾倒、晩年の後悔と遺言の作成、そしてアグリッピナによる毒殺の顛末と死の不吉な前兆が描かれる。
