底本
Suetonius. De Vita Caesarum Libri VIII. Ihm, Max, editor; Leipzig: Teubner, 1908.
原文データ出典
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要旨
本書は、ローマ帝国第3代皇帝ガイウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス、通称「カリグラ」の生涯と、その極端な変貌を描いた伝記である。物語は、非凡な美徳を持ちながら早逝した高潔な父ゲルマニクスの死と、市民の深い哀悼から始まる。カリグラは兵士たちに愛されて育ち、前皇帝ティベリウスの死後、民衆の熱狂的な歓迎を受けて帝位を継承した。即位当初は寛大な政策で絶大な支持を得たものの、やがて自らを神格化して狂気と残虐性に支配され、親族の粛清や凄惨な暴政を行うようになる。奇行に満ちた遠征や贅沢による財政破綻、不条理な迫害は人々を恐怖に陥れ、最終的には近衛兵将校らの暗殺計画によって非業の死を遂げる。不吉な予兆に満ちたその最期と、独裁からの解放を模索する元老院の姿をもって作品は締めくくられる。
目次
15 チャンク
引用方式:chapter
- §1-5
ゲルマニクスの生涯と美徳およびその死
ゲルマニクスの優れた経歴、不審な死、ピソとの対立、その並外れた肉体的・精神的美徳、そして彼の死に対してローマ市民や周辺諸民族が示した前例のない深い哀悼について記述している。
- §6-8
ゲルマニクスへの哀悼とガイウスの誕生地
ゲルマニクスの訃報をめぐるローマ市民の動揺と哀悼、彼の遺児たちの状況、そして後に皇帝(カリグラ)となるガイウス・カエサルの出生地をめぐる諸説の検証とアンティウム説の確定について記述されている。
- §9-13
愛称カリグラの由来と青年期および帝位継承
ガイウスが兵士たちに親しまれたことから「カリグラ」という愛称を得た経緯、ティベリウスの監視下で従順を装いつつ残虐な本性を隠し持っていた青年期、そしてティベリウスの死後に大衆から熱狂的に歓迎されて帝位を継承するまでの過程が描かれている。
- §14-16
権力掌握と初期の善政による絶大な人気
カリグラは帝位を継承するとティベリウスの遺言を無効化して絶対的な権力を握り、数々の人気取り政策や、家族の追悼、行政・財政制度の改革を行って絶大な支持を得た。
- §17-21
贅沢な興行とバイアエの舟橋および公共事業
カリグラは自らの執政官職の経歴や、民衆や騎士への豪華な給与と饗宴、さまざまな興行について紹介され、バイアエの海上に巨大な橋を建設した奇行、ガリアでの雄弁術競技会、さらに公共建築の完遂と着手計画が記される。
- §22-23
自身の神格化と親族への迫害
第22章から第23章にかけて、ガイウス(カリグラ)が自らを神格化し、諸王や神々すら超える存在として振る舞う狂気と、アグリッパの血統を拒絶し、親族(リウィア、アントニア、弟ティベリウス、義父シラヌス)を次々と侮辱し死に追いやった残虐性が描かれる。
- §24-26
姉妹との近親相姦と婚姻の乱脈および臣民への暴政
カリグラが実の姉妹たちと近親相姦の関係を持ち、ドルシッラを偏愛したこと、そして奇抜で不面目な数々の結婚と離婚を繰り返したことを描く。また、彼が元老院や他の階級に対して傲慢な暴政を振るい、様々な不条理な迫害や暴力を行った様子を記す。
- §27-30
理不尽な処刑と残虐行為および元老院への暴言
カリグラは囚人や誓約者を不条理な残虐さで殺害し、身分の高い者たちにも容赦のない刑を科した。また、彼の恐ろしい言動は、すべての元老院議員やローマ人民に対する傲慢な非難に満ちていた。
- §31-35
宴席での冷酷な暴力と偉人や美男への異常な嫉妬
カリグラが自らの時代に公共の災難がないことを不満に思い、日常生活や宴会、各種の見世物で冷酷な暴力を振るい、さらに過去の偉大な作家や法学者、同時代の高貴な人々や美男子に対して異常な嫉妬と悪意をむき出しにした数々の蛮行が描かれる。
- §36-38
奔放な色情と浪費および財政枯渇に伴う収奪
本チャンクは、カリグラの無秩序な性的非行、贅沢極まりない公共事業や奇妙な遊興、そして財政破綻後に彼が手を染めた略奪的な裁判制度や強制的な残品競売などの奇行を描写している。
- §39-43
財政再建のための過酷な収奪とゲルマニア遠征
カリグラの貪欲な財政再建策(ガリアでの競売、新税の導入、宮廷内の売春宿開設など)と、突発的に開始されたゲルマニア遠征の極端な行軍の様子を記述している。
- §44-48
北方案遠征での偽りの戦果と貝殻拾い
カリグラはゲルマニア遠征とブリタンニアからの降伏受け入れを大げさに宣伝し、奇妙な模擬戦闘や大洋の貝殻拾いを行った後、ローマでの壮大な凱旋式を画策し、さらには過去の反乱軍団への復讐を試みる。
- §49-52
元老院への脅迫と帰還および容姿と狂気
カリグラが元老院を脅迫しながらローマに小凱旋式で帰還したこと、その死後に発見された粛清計画と毒薬、そして彼の極端に不安定な身体的・精神的特徴や奇抜な衣装について記述している。
- §53-56
芸能への異様な熱中とカッシウス・カエレアらの暗殺計画
カリグラが弁論術の才能を示し、さらに舞台芸術や剣闘に病的に没頭した様子、また寵愛する役者や馬への狂信的な執着を記述し、やがて彼の暴虐に対してカッシウス・カエレアが主導する暗殺計画が立ち上がる過程を描く。
- §57-60
死の前兆とカリグラ暗殺の顛末および死後の混乱
カリグラ暗殺に先立つ数々の不吉な前兆と、暗殺当日の詳細な経緯、その死後の世相や元老院による自由回復の試みについて述べる。
