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平和

§1-78

フンコロガシの世話とトリュガイオスの狂気

二人の家来が主人トリュガイオスの飼う巨大なフンコロガシに糞を供えながら不満を語り、主人が天のゼウスのもとへ行くためにそのフンコロガシをペガサスに見立てて乗ろうとしている奇妙な狂気を観客に説明する。

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1

αἶρʼ αἶρε μᾶζαν ὡς τάχιστα κανθάρῳ.

一刻も早く、フンコロガシに糞の団子を運べ、運べ。

ἰδού. δὸς αὐτῷ, τῷ κάκιστʼ ἀπολουμένῳ1

ほらよ。あいつにくれてやれ、まったく酷い死に方をすればいい奴め。

καὶ μήποτʼ αὐτῆς μᾶζαν ἡδίω φάγοι.

そして二度とこれより美味い団子を食えませんように。

δὸς μᾶζαν ἑτέραν, ἐξ ὀνίδων πεπλασμένην.

もう一つ団子をくれ、ロバの糞からこねられたやつだ。

5

ἰδοὺ μάλʼ αὖφις. ποῦ γὰρ ἣν νῦν δὴ ʼφερες;

ほら、またできたぞ。で、さっきお前が持って行ったやつはどこだ?

κατέφαγεν;

食っちまったのか?

οὐ μὰ τὸν Δίʼ ἀλλʼ ἐξαρπάσας

いや、ゼウスにかけて、そうじゃない。ひったくって、

ὅλην ἐνέκαψε περικυλίσας τοῖν ποδοῖν.

二本の後ろ脚で転がして丸めると、一口で飲み込んじまった。

ἀλλʼ ὡς τάχιστα τρῖβε πολλὰς καὶ πυκνάς.

だから、一刻も早く、たくさん、びっしりと練ってくれ。

ἄνδρες κοπρολόγοι προσλάβεσθε πρὸς θεῶν,

肥桶担ぎの皆さん、神々に免じて手伝ってくれ、

10

εἰ μή με βούλεσθʼ ἀποπνιγέντα περιιδεῖν.2

もし私が息を詰まらせて死ぬのを黙って見ていたくないのなら。

ἑτέραν ἑτέραν δός, παιδὸς ἡταιρηκότος·

もう一つ、もう一つくれ、男娼となった少年のやつを。

τετριμμένης γάρ φησιν ἐπιθυμεῖν.

よく練られたものが欲しいと、あいつが言うんでね。

ἰδού.

ほらよ。

ἑνὸς μὲν ὦνδρες ἀπολελύσθαι μοι δοκῶ·

皆さん、一つだけは私は(嫌疑を)免れたように思えます。

οὐδεὶς γὰρ ἂν φαίη με μάττοντʼ ἐσθίειν.

誰も私がこねながらつまみ食いしている、とは言わないでしょうから。

15

αἰβοῖ, φέρʼ ἄλλην χἀτέραν μοι χἀτέραν,

うわっ、もう一枚、別のも、さらにもう一枚も持ってきてくれ、

καὶ τρῖβʼ ἔθʼ ἑτέρας.

そしてもっと練ってくれ。

μὰ τὸν Ἀπόλλω ʼγὼ μὲν οὔ·

アポロンにかけて、私は御免だ。

οὐ γὰρ ἔθʼ οἶός τʼ εἴμʼ ὑπερέχειν τῆς ἀντλίας.

もうこれ以上、この汚水の悪臭に耐えられない。

αὐτὴν ἄρʼ οἴσω συλλαβὼν τὴν ἀντλίαν.

それなら、俺がその汚水桶を丸ごと持って行こう。

νὴ τὸν Δίʼ ἐς κόρακάς γε καὶ σαυτόν γε πρός.

ゼウスにかけて、地獄へ行ってしまえ、お前自身も一緒にな。

20

ὑμῶν δέ γʼ εἴ τις οἶδʼ ἐμοὶ κατειπάτω,

だが、あなた方のうちで、誰か知っている者がいたら教えてくれ、

πόθεν ἂν πριαίμην ῥῖνα μὴ τετρημένην.

穴の空いていない鼻を、どこで買えるかを。

οὐδὲν γὰρ ἔργον ἦν ἄρʼ3 ἀθλιώτερον

およそ、これほど惨めな仕事はなかったのだ、

ἢ κανθάρῳ μάττοντα παρέχειν ἐσθίειν.

フンコロガシのために糞をこねて、食い物として供することほど。

ὗς μὲν γάρ, ὥσπερ ἂν χέσῃ τις, ἢ κύων

豚や犬なら、誰かが糞をすればそのまま、

25

φαύλως ἐρείδει· τοῦτο δʼ ὑπὸ φρονήματος

容赦なく食いつく。だが、この獣はプライドが高くて、

βρενθύεταί τε καὶ φαγεῖν οὐκ ἀξιοῖ,

威張り散らして、食おうとさえしない、

ἢν μὴ παραθῶ τρίψας διʼ ἡμέρας ὅλης

一日中かけてこねあげて、供してやらなければ、

ὥσπερ γυναικὶ γογγύλην μεμαγμένην.

まるで高貴な婦人に丸いケーキを供するように。

ἀλλʼ εἰ πέπαυται τῆς ἐδωδῆς σκέψομαι

だが、食べるのをやめたかどうか、見てみよう。

30

τῃδὶ παροίξας τῆς θύρας, ἵνα μή μʼ ἴδῃ.

あいつに見つからないように、この扉を少し開けてな。

ἔρειδε, μὴ παύσαιο μηδέποτʼ ἐσθίων

食え、食うのを決してやめるな、

τέως ἕως σαυτὸν λάθοις διαρραγείς.4

しまいには自分でも気づかぬうちに破裂してしまうまで。

οἷον δὲ κύψας ὁ κατάρατος ἐσθίει,

それにしても、あの呪われた奴め、身をかがめて、どんなふうに食っていることか。

ὥσπερ παλαιστής, παραβαλὼν τοὺς γομφίους,

まるでレスラーのように、奥歯を噛み締め、

35

καὶ ταῦτα τὴν κεφαλήν τε καὶ τὼ χεῖρέ πως

おまけに、頭と両手をこんなふうに、

ὡδὶ περιάγων, ὥσπερ οἱ τὰ σχοινία

ぐるぐると回しながら。まるで太いロープを、

τὰ παχέα συμβάλλοντες ἐς τὰς ὁλκάδας.

商船に積み込もうと綯っている男たちのように。

μιαρὸν τὸ χρῆμα καὶ κάκοσμον καὶ βορόν·

不潔で、臭くて、貪欲な怪物め。

χὤτου ποτʼ ἐστὶ δαιμόνων ἡ προσβολὴ

いったいどの神の崇りなのか、

40

οὐκ οἶδʼ. Ἀφροδίτης μὲν γὰρ οὔ μοι φαίνεται,

私にはわからない。アプロディテのものではないのは確かだ、

οὐ μὴν Χαρίτων γε.

カリテスのものでもない。

τοῦ γάρ ἐστʼ;

では、誰のだ?

οὐκ ἔσθʼ ὅπως

まさか、

τοῦτʼ ἔστι τὸ τέρας οὐ Διὸς καταιβάτου.

この怪物が、あの「落とすゼウス」のものでないはずがない。

οὐκοῦν ἂν ἤδη τῶν θεατῶν τις λέγοι

さて、そろそろ観客の誰かがこう言うかもしれない、

νεανίας δοκησίσοφος, τὸ δὲ πρᾶγμα τί;

知ったかぶりの若者が、「この劇は何だ?

45

ὁ κάνθαρος δὲ πρὸς τί; κᾆτʼ αὐτῷ γʼ ἀνὴρ

あのフンコロガシは何のためにいるんだ?」と。するとその横で、

Ἰωνικός τίς φησι παρακαθήμενος·

イオニア人の誰かが、隣に座って言うのだ、

δοκέω μέν, ἐς Κλέωνα τοῦτʼ αἰνίσσεται,

「わしの思うに、これはクレオンを当てこすっているのだ、

ὡς κεῖνος ἀναιδέως τὴν σπατίλην ἐσθίει.

奴が厚かましくも下痢便を貪り食っているからな、と。」

ἀλλʼ εἰσιὼν τῷ κανθάρῳ δώσω πιεῖν.

まあ、私は中に入って、フンコロガシに飲み物をやろう。

50

ἐγὼ δὲ τὸν λόγον γε τοῖσι παιδίοις

そして私は、劇の筋書きを、子供たちにも、

καὶ τοῖσιν ἀνδρίοισι καὶ τοῖς ἀνδράσιν

若造どもにも、一人前の男たちにも、

καὶ τοῖς ὑπερτάτοισιν ἀνδράσιν φράσω

そして最も偉大な男たちにも、

καὶ τοῖς ὑπερηνορέουσιν ἔτι τούτοις μάλα.

さらに、傲慢極まりないあの高慢ちきな連中にも説明しよう。

ὁ δεσπότης μου μαίνεται καινὸν τρόπον,

私の主人は、奇妙なやり方で気が狂っているのだ、

55

οὐχ ὅνπερ ὑμεῖς, ἀλλʼ ἕτερον καινὸν πάνυ.

お前たちが狂っているようなやり方ではなく、まったく新しく、奇妙なやり方で。

διʼ ἡμέρας γὰρ ἐς τὸν οὐρανὸν βλέπων

というのも、一日中天を見上げて、

ὡδὶ κεχηνὼς λοιδορεῖται τῷ Διὶ

こんな風に口を開けたまま、ゼウスを罵り、

καί φησιν, ὦ Ζεῦ τί ποτε βουλεύει ποιεῖν;

こう言うのだ、「おお、ゼウスよ、お前はいったい何を企んでいるのだ?

κατάθου τὸ κόρημα· μὴ ʼκκόρει τὴν Ἑλλάδα.

ほうきを置け!ギリシアを掃き出すな!」

60

ἔα ἔα.

おお、おっと。

σιγήσαθʼ, ὡς φωνῆς ἀκούειν μοι δοκῶ.

静かにしてくれ。あの方の声が聞こえるようだ。

ὦ Ζεῦ τί δρασείεις ποθʼ ἡμῶν τὸν λεών;

「おお、ゼウスよ、我々の民をいったいどうしようというのだ?

λήσεις σεαυτὸν τὰς πόλεις ἐκκοκκίσας.5

気づかぬうちに、お前は都市の種をすべて抜き取ってしまうぞ。」

τοῦτʼ ἔστι τουτὶ τὸ κακὸν αὔθʼ οὑγὼ ʼλεγον.

ほら、これだ、これこそが私の言っていた災いそのものだ。

65

τὸ γὰρ παράδειγμα τῶν μανιῶν ἀκούετε·

あの方の狂気の現れを、今お聞きだろう。

ἃ δʼ εἶπε πρῶτον ἡνίκʼ ἤρχεθʼ ἡ χολή,

だが、狂気が始まったばかりの頃に、あの方が最初に言ったことを、

πεύσεσθʼ. ἔφασκε γὰρ πρὸς αὑτὸν ἐνθαδί·

お話ししよう。あの方はこの場所で、独り言を言っていたのだ、

πῶς ἄν ποτʼ ἀφικοίμην ἂν εὐθὺ τοῦ Διός;

「どうにかして、ゼウスのところに真っ直ぐ行けないものか?」と。

ἔπειτα λεπτὰ κλιμάκια ποιούμενος,

それから、細い梯子をいくつも作って、

70

πρὸς ταῦτʼ ἀνηρριχᾶτʼ ἂν6 ἐς τὸν οὐρανόν,

それを使って天へ登ろうとしては、

ἕως ξυνετρίβη τῆς κεφαλῆς καταρρυείς.

真っ逆さまに落ちて頭を打ちつけるのが落ちだった。

ἐχθὲς δὲ μετὰ ταῦτʼ ἐκφθαρεὶς οὐκ οἶδʼ ὅποι

そして昨日、その後でどこかへ消え失せたと思ったら、

εἰσήγαγʼ Αἰτναῖον μέγιστον κάνθαρον,

エトナ産の巨大なフンコロガシを連れて帰ってきたのだ。

κἄπειτα τοῦτον ἱπποκομεῖν μʼ ἠνάγκασεν,

そして、私にこれの馬番を強制し、

75

καὐτὸς καταψῶν αὐτὸν ὥσπερ πωλίον,

自分自身は、まるで仔馬をなでるようにそれをなでながら、

ὦ Πηγάσειον, φησί, γενναῖον πτερόν,

「おお、我がペガサスよ、」と言うのだ、「高貴なる翼よ!

ὅπως πετήσει μʼ εὐθὺ τοῦ Διὸς λαβών.

私を乗せて、ゼウスのところへ真っ直ぐ飛んで行ってくれよ!」

ἀλλʼ ὅ τι ποιεῖ τῃδὶ διακύψας ὄψομαι.

さて、何をしているか、ここから覗き込んで見てみよう。

構文注6 件
  1. 2τῷ κάκιστʼ ἀπολουμένῳ

    未来分詞の冠詞付き名詞用法で、「最悪の形で滅びるであろう者」という、喜劇に頻出する呪いや罵倒の定型表現。現在の状況に対する強い嫌悪を示す。

  2. 10ἀποπνιγέντα περιιδεῖν

    動詞 περιοράω(見過ごす、傍観する)は、補足分詞(ここでは ἀποπνιγέντα)を伴って「〜するのを黙って見過ごす」という意味になる。条件節 εἰ μή を伴い、観客への懇願を形成している。

  3. 22ἦν ἄρʼ

    未完了過去時制の ἦν に小辞 ἄρα が伴うことで、以前からそうであった事実に対して「実は〜であったのだ」と現時点で気づいた驚きや再認識(いわゆる気づきの ἄρα)を表す。

  4. 32ἕως σαυτὸν λάθοις διαρραγείς

    接続詞 ἕως(〜まで)が、主節の願望を示す希求法 μὴ παύσαιο に牽引されて希求法 λάθοις をとり、さらに λανθάνω が分詞 διαρραγείς を伴って「気づかないうちに破裂する」という完了のニュアンスを示す構文。

  5. 63λήσεις σεαυτὸν τὰς πόλεις ἐκκοκκίσας

    未来形 λήσεις(λανθάνω の未来)と再帰代名詞 σεαυτόν、および分詞 ἐκκοκκίσας の組み合わせにより、「あなた自身、気づかないうちに都市を滅ぼしてしまうだろう」という未来の自覚なき動作の完了を表現する。

  6. 70ἀνηρριχᾶτʼ ἂν

    直説法過去(未完了過去 ἀνηρριχᾶτο)に小辞 ἄν が伴うことで、過去における反復的な行為や習慣(「〜したものだった」、「よく〜しようとした」)を表す反復の ἄν 構文。

翻訳:Gemini 3.5 Flash(2026-05-22 公開)urn:cts:greekLit:tlg0019.tlg005.humanitext-grc2:1-78